ジャズ・オーディオの雑記帳
 by 6041のS
廉価古本の半額セール (2016.9.3)

 丁度1週間前の土曜日に、車で出かける用事があったついでにブックオフに寄ったところ、廉価古本の半額セールが行われていた。ということは0.2kの本が0.1kになるということである。金額的には高額本の0.5kセールとか半額セールのほうが助かるのだが、それでもとにかく見ることにした。あまり気に入った本はないなと思いながら、列外のワゴンを覗いてみると、そこにぼくの興味を引くような本がずらっと並んでいた。
 ・「日本細見」ドナルド・キーン著、中央公論社、1977年
 ・「日本の庭」立原正秋著、新潮社、1972年
 ・「古都転生」栗田勇著、筑摩書房、1980年
 ・「岡倉天心」大岡信著、朝日新聞社、1975年
 ・「日本史の虚像と実像」和歌森太郎著、毎日新聞社、1975年
 ・「梅原猛著作集第2巻 仏像・羅漢」、集英社、1981年
 ドナルド・キーンさんの本はすべて読んでみたいと思っている。立原正秋が日本の代表的庭園について語っているのは面白いと思った。フランス文学者の栗田勇さんはいつもユニークな本を書いている。詩人の大岡信さんが岡倉天心のことを書いている関係に注目している。
 またこの本たちが同じワゴンにかためて置いてあること、出版年が近いこと、同じような傾向の本が多いこと、などからすると出本は同じかもしれないと思った。これ以外にも森有正とか江藤淳とか小林秀雄とかの著作もあったが、そんなに読み切れないと思ってやめた。時代劇小説のコーナーでは澤田ふじ子さんの本を買ってきた。
 ・公事宿事件書留帳シリーズより第19巻「血は欲の色」
 京都東町奉行所同心組頭の家に長男として生まれながら、訳あって公事宿(訴訟人専用旅籠)「鯉屋」に居候する田村菊太郎。京都の四季の風物を背景に、人の心の闇に迫る菊太郎の活躍を追う時代小説シリーズ(Amaon内容紹介)
 ・高瀬川女舟歌シリーズより第6巻「仇討ちの客」
 京・高瀬川のほとりに立つ旅籠の柏屋は、主の惣左衛門と伊勢夫婦に加え、父親が濡れ衣をきせられて逐電、母親も非業の死をとげ、惣左衛門の養女となった娘・お鶴が切り盛りしている。女船頭のお時、庚申堂に住み着いた謎の男・宗因――。人と荷でごったがえす高瀬川に集う市井の人々の喜びと悲しみを描き深い感動を呼ぶ人情時代小説の傑作シリーズ(Amaon内容紹介)
 ・足引き寺閻魔帳シリーズより第9巻「女敵にあらず」
 ・足引き寺閻魔帳シリーズより第10巻「再びの海」
 京都、堺町綾小路に名ばかりのお堂と小さな庫裡をかまえる地蔵寺。東山知恩院の末寺で、檀家もないこの寺には、もうひとつの顔があった。怨みを抱く相手の足を引っぱり、ひそかに誅伐を加えてくれる“足引き寺”―。闇の仕事師は住職の宗徳、町絵師のお琳、羅宇屋の与惣次、西町奉行所に出仕する蓮根左仲、そして紀州犬の豪。今日も地蔵寺の賽銭箱に、願文と銭が投げ入れられる…。傑作時代連作。(Amaon内容紹介)
 ぼくは宇江佐真理さんの「髪結い伊三次捕物余話」シリーズ、北原亜以子さんの「慶次郎縁側日記」シリーズと併せて澤田ふじ子さんのこのシリーズも愛読しているので、また楽しみが増えた。思いがけなく好きな本に巡り合えて、ちょっと得した気分となった。


Chiaroscuroのズート・シムズ (2016.9.14)

キアロスキューロ・レコードは1964年にハンク・オニールによって設立されたジャズ専門のレーベルである。この当時はノーマン・グランツのPabloとかカール・ジェファーソンのConcordといったジャズのレーベルが設立され、新たなジャズ復興の年でもあった。Pabloがノーマン・グランツが呼び寄せた大物ジャズミュージシャンを擁し、Concordがメインストリーム・ジャズの路線を打ち出したのに対し、Chiaroscuroはどちらかというとスイング系とか中間派の路線で地味なレーベルである。そしてハンク・オニールはこのレーベルを1978年にAudiophile Enterprises社に譲渡してしまった。この間に250枚近くのLPが発売された。この中にズート・シムズの名前で発売されたアルバムは1枚もないが、ジョー・ベナッティとの3回のセッションやデイブ・マッケンナとの共演、バック・クレイトンとのジャムセッションという形で発売されたアルバムが6枚ばかりある。

1.Joe Venuti/Zoot Sims - Joe And Zoot And More (Chiaroscuro CR 128)


Zoot Sims (tenor, soprano sax)
Joe Venuti (violin)
ick Wellstood (piano)
George Duvivier (bass)
Cliff Leeman (drums)
NYC, September 27, 1973
1~8がオリジナルで、9から17がMoreでの追加曲

1. I've Found A New Baby
2. There's A Small Hotel
3. Indiana
4. The Wild Cat
5. It's The Girl
6. Lady Be Good
7. Someday Sweetheart
8. C Jam Blues
9. My One And Only Love
10. Blue Too
11. Oh, Lady Be Good (a-take)
12. Dinah
13. Tea For Three
14. Diga Diga Do
15. I'll Never Be The Same
16. String The Blues
17. The Blue Room

2.Joe Venuti And Zoot Sims (Chiaroscuro CR 142)

Spiegle Willcox (trombone -9)
Zoot Sims (tenor sax)
Joe Venuti (violin)
John Bunch (piano)
Milt Hinton (bass)
Bobby Rosengarden (drums)
NYC, May, 1975

1. Avalon
2. I Surrender, Dear
3. Wait 'Till You See Her
4. Russian Lullaby
5. Lady Of The Evening
6. Where Or When
7. Lover Come Back To M
8. I'll See You In My Dreams
9. Don't Take Your Love From Me
10. Shine

3.Joe Venuti - Blue Four (Chiaroscuro CR 134)Zoot Sims (tenor sax)
Joe Venuti (violin)
Dick Hyman (piano)
Bucky Pizzarelli (guitar)
Milt Hinton (bass)
Spencer Clark (bass sax)
Cliff Leeman (drums)
NYC, May, 1974
1. My Honey's Lovin' Arms
2. Deep Night
3. Remember
4. I Got Rhythm


4.Dave McKenna Quartet Featuring Zoot Sims (Chiaroscuro CR 136)

Zoot Sims (tenor, soprano sax)
Dave McKenna (piano)
Major Holley (bass, vocals)
Ray Mosca (drums)
NYC, November 3 or October, 1974

1. Limehouse Blues
2. How Deep Is The Ocean (as I Cover The Waterfront)
3. 'Deed I Do
4. Grooveyard
5. One Good Turn
6. Dave's Tune
7. Linger Awhile
8. There'll Be Some Changes Made
9. Wherever There's Love

5.A Buck Clayton Jam Session, Vol. 1 (Chiaroscuro CR 132) Doc Cheatham, Joe Newman (trumpet)

Urbie Green (trombone)
Earl Warren (alto sax)
Zoot Sims (tenor sax)
Budd Johnson (tenor, soprano sax)
Joe Temperley (baritone sax)
Earl Hines (piano)
Milt Hinton (bass)
Gus Johnson (drums)
Buck Clayton (arranger)
NYC, March 25 & 26, 1974
1. Boss Blues
2. Case Closed

6.A Buck Clayton Jam Session, Vol. 4 (Chiaroscuro CR 163) same session
NYC, March 25 & 26, 1974
1. Jayhawk
★5と6の4曲を合わせて"A Buck Clayton Jam Session 1974"というタイトルでCD化されている。

 スイング系のジャズマンとズートとの相性は良く、軽快にスイングして、よく歌っているアルバムが多く、ズートのファンとしては見逃せないアルバムである。


クラーク・テリーのこの5枚この1曲 (2016.9.24)

 ジャズを聞くためのオフ会にLPを持ち寄って、それぞれがそのアルバムを紹介するときは、たいていこの1曲というのを決めていてそれを聞いてもらうようにする。アルバムによってはこの1曲というのは定番になっているものが有る。例えばCannonball AdderleyのSomethin’ Elseというアルバムであれば「枯葉」、Dave Brubeck のTime Outであれば「Take Five」というように。ところがTommy FlanaganのJazz Poetのようなアルバムだと、どの曲も粒よりで素晴らしく、この1曲というのは個人の好みで決めるしかない、というようなものもある。こういったアルバムでこの1曲を聞いてくれと言って決めるのはなかなか楽しい。
 クラーク・テリーの場合は後者のようなアルバムが多いので、個人の好みで決めればよいのであるが、彼のアルバムには彼の作曲したオリジナル曲を演奏することが多く、スタンダード曲のように聞けば良さがすぐわかるというより、じっくり聞きこまないといけないという難しさもある。

・Introducing Clark Terry、EmArcy、 1955
 この1曲: 「Swahili」
 若きクラーク・テリーの溌剌とした演奏がいっぱい詰まっている。

・Serenade To A Bus Seat、 Riverside、1957
この1曲: 「Stardust」
クラーク・テリーには珍しく、このスタンダード曲のStardustはなかなか素晴らしい。

・In Orbit、 Riverside、1958
この1曲: 「In Orbit」
やはり彼の作曲によるタイトル曲であるが、味のある演奏である。それとこのアルバムではセロニアス・モンクの共演が光っている。

・Clark Terry & Bob Brookmeyer、Verve、1973
この1曲: 「Things Ain’t What They Used To Be(昔は良かったね)」
エリントンの作曲したこの曲を挙げておく。
The Power Of Positive Swinging、Mainstream、 1964やTonight、Mainstream、1964といったBob Brookmyerとの共演盤も見逃せないが、ここでは1973年のVerve盤で代表させておく。

・The Clark Terry Spacemen、Chiaroscuro、1989
この1曲: 「Swingin' the Blues」
カウント・ベイシーの作曲したこの曲を軽快に演奏している

 以上、彼の演奏したアルバムは100枚以上あるが、そのうちでわずか20枚程度を聞いた中でぼくが選んだ“この5枚この1曲”である。彼にはデューク・エリントンやカウント・ベイシーにちなんだアルバムがあるが、残念ながら僕はまだ聞いていない。(これからの楽しみでもある)






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