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FMジャズ喫茶Pitch の9月分の収録は、8月の28日に上旬分と下旬分のそれぞれ1時間を、まとめて収録します。上旬分の収録を終えて、少しのお茶休憩を取ると、丁度ウォーミングアップを終えた運動選手のように、下旬分の収録時はとてもスムーズに舌が廻るような気分になります。長々と休憩せずに、気力の充実している間にスタートしましょう。今回の楽曲の提供は、大橋、清水、神谷の順番で行くことになりました。
最初に大橋さんが出してきたのが、マイルス・デイヴィスのSomeday My Prince Will Comeというアルバムです。口に出して言いませんでしたが、ぼくとしては“しめしめ”という感じです。このアルバムのタイトル曲は、実は僕の大好きな曲の1つです。CDは持っていたのですが、このアルバムの6 eyeのオリジナル盤が欲しくて、なかなか入手できなくて、苦労して探して入手したことを思い出しました。もちろんかける曲はタイトル曲のSomeday My Prince Will Come(いつか王子様が」です。この曲はディズニー映画「白雪姫」で使われた曲で、アルバムに写っている女性は当時のマイルスの奥さんであり、マイルスのことを王子様と思っていたと思います。この曲の演奏には、コルトレーンが退団したにもかかわらず参加しています。

「1」大橋:Someday My Prince Will Come
・Miles Davis Sextet - Someday My Prince Will Come
・Columbia - CS 8456
・Recorded March 7, 20, 21, 1961
Bass - Paul Chambers
Drums - Jimmy Cobb
Piano - Wynton Kelly
Tenor Saxophone - Hank Mobley, John Coltrane
Trumpet - Miles Davis
次のぼくが出したのが、フィル・ウッズのAlive And Well In Parisというアルバムです。フィル・ウッズはチャーリー・パーカーが大好きで、彼の音色もパーカーによく似ていますが、ハード・バップもこなし、ヨーロッパに渡ってこのアルバムを作った時にはフリー系のジャズもこなすといった、彼が前に突き進んでいた時でした。このアルバムのB面1曲目のFreedom Jazz Danceはまさにそういった彼の演奏です。この演奏とは別にA面1曲目の「若かりし日」という曲は、彼と親交のあったロバート・ケネディが亡くなったのに捧げた演奏で、これも素晴らしいです。

「2」清水:Freedom Jazz Dance
・Phil Woods And His European Rhythm Machine - Alive And Well In Paris
・Pathé - SPTX 340.844 T
・Recorded 1968
Alto Saxophone - Phil Woods
Bass - Henri Texier
Drums - Daniel Humair
Piano - George Gruntz
次にマスターの神谷さんが出してきたのが、クロード・ウィリアムソンのNew Departureというアルバムです。ぼくが彼のことを知ったのは、「国境の南、太陽の西」というアルバムです。このアルバムは同名の村上春樹の小説の出てくるジャズの楽曲(国境の南、スター・クロスト・ラヴァーズ、ロビンズ・ネスト、エンブレイサブル・ユー、プリテンド、コルコヴァード、時のたつまま、太陽の西)を取り上げて、曲を構成しています。ぼくはこの小説を読んでいたので、それで興味を持ってCDを買った。その後に日本のビーナス・レコードよりAutumn In New Yorkというアルバムを出し、そのライナーを村上春樹が書いていた。ぼくはそのCDを持って、聞きながらアメリカを旅したことがある。と・まぁ、個人的には思い出も色々あるが、Cleopatra's Dreamの演奏を懐かしく聞いた。

「3」神谷:Cleopatra's Dream
・Claude Williamson - New Departure
・Interplay Records - IP-7717
・Recorded on March 22, 1978 and June 8, 1978
Bass - Sam Jones
Drums - Roy Haynes
Piano - Claude Williamson
先回に続き大橋さんが、癒し系の女性ヴォーカルを出してきた。バーバラ・リーのA Woman In LoveというアルバムよりI'm Old Fashionedという曲である。この番組が放送されるのが、土曜日の夜10時だということを考えると、こういう女性ヴォーカルは誠に時を得ているというか、いいねぇ、という声が多いかもしれない。大橋さん、今後も頑張ってください。

「4」大橋:I'm Old Fashioned (A)
・Barbara Lea - A Woman In Love
・Audiophile - AP-86
・(A): recorded October 9, 1978 - Stereo
・(B): recorded March 15 & 16, 1955 - Monoraul, released on a 10" Riverside RLP 2518
Bass - Earl May
Drums - Percy Brice
Guitar - Jimmy Shirley
Piano - Billy Taylor
Trumpet - Johnny WIndhurst
Vocals - Barbara Lea
大橋さんの女性ヴォーカルが、時間帯を意識して良いと言いながら、ぼくの選曲は前に乗り出して聴くような、ジャムセッション風のアルバムである。Al Cohn, Scott Hamilton, Buddy Tateという3人のテナー奏者の饗宴によるTour De Forceというアルバムである。このメンバーはアメリカ、欧州、日本とツアー公演を行い、最後の東京での公演のライブ録音を行ったもので、3人の息の合ったBlues Up And Downの演奏を楽しんでください。

「5」清水: Blues Up And Down
・Al Cohn, Scott Hamilton, Buddy Tate - Tour De Force
・Concord Jazz - CJ-172
・Recorded live at Toranomon Hall, Tokyo, Japan on August 1981.
Bass - Bob Maize
Drums - Jake Hanna
Guitar - Cal Collins
Piano - Dave McKenna
Tenor Saxophone - Al Cohn, Buddy Tate, Scott Hamilton
さりげなく出してきましたが、マスターの大好きなエリック・ドルフィのAt The Five Spot, Volume 1というライブ盤です。この時のメンバー、エリック・ドルフィ、ブッカー・リトル、マル・ウォルドロン、リチャード・デイヴィス、エド・ブラックウェルのいずれのメンバーも素晴らしく、どの曲を聞いてもすごいと思いますが、マスターの指定はFire Waltzです。3拍子の曲ですが、4ビートの曲のように大変良くスイングさせて演奏しています。

「6」神谷:Fire Waltz
・Eric Dolphy - At The Five Spot, Volume 1
・Prestige - VICJ-60274
・Recorded at the Five Spot, New York city, July 16. 1961
Alto Saxophone, Bass Clarinet - Eric Dolphy
Bass - Richard Davis
Drums - Ed Blackwell
Piano - Mal Waldron
Trumpet - Booker Little
さすがに2本(2時間)分の収録を終えると疲れます。これで22本の収録を終えました。来月の収録で丁度1年が過ぎることになります。
あまり後先を考えずに、1つ1つをこなしてきましたが、早いですね!
(2年続けたいというのが、1つの目安です)

