ジャズ・オーディオの雑記帳
 by 6041のS
「FMジャズ喫茶Pitch」2018年1月1-2週放送分の収録(2017.12.18)

 Ladies and Gentlemen, the Dave Brubeck Quartet ! 司会者の紹介の後に、ブルーベックのピアノがシングルトーンで力強く演奏を始めるのが、セントルイスブルースであり、1963年のカーネギーホールコンサートの幕開けである。 ぼくが高校生の時に、先輩がブルーベックのカーネギーホールコンサートのLPを聞かせてくれて“どうだ!素晴らしいだろう”といったのが、ブルーベックカルテットの演奏を聞いたはじめであり、セントルイスブルースっていい曲だなぁ、と思ったきっかけである。
 今日大橋さんが、新年の初めの放送にこのアルバムを取り上げたのを知って、そんな感慨にふけっていた。神谷マスター、清水、大橋店主の順でスタートだ。

 

1)神谷:Umbrella Dance Part I (4:50)
・Yosuke Yamashita Trio - Umbrella Dance
・Frasco - FS-7022
・Recorded June 16, 1977 at Tonstudio Bauer, Ludwigsburg, West Germany
  Alto Saxophone, Alto Clarinet - Akira Sakata
  Drums - Shohta Koyama
  Piano - Yosuke Yamashita

 新年早々からマスターがハイテンションなアルバムを選定してきた。山下洋輔の作曲したアンブレラ・ダンスである。ジャケットの動物は猫であるが、マスターはこれがウサギに見えたらしい。 (詳細は放送を聞いてください)演奏内容はマスターの好きな山下洋輔や坂田明のフリーキートーン満載のホットな演奏である。ジョン・クレーマーの演奏にしびれているぼくも、こういう演奏は歓迎である。

 

2)清水:My Melancholy Baby & Leap Frog (Total 5:48)
・Charlie Parker And Dizzy Gillespie - Bird And Diz
・Verve Records - MGV-8006
・Recorded June 6, 1950 in New York
  Alto Saxophone - Charlie Parker
  Bass - Curly Russell
  Drums - Buddy Rich
  Piano - Thelonious Monk
  Trumpet - Dizzy Gillespie

 マイルス・デイヴィスは帝王と呼ばれており、確かにそれにふさわしい存在であるが、彼がチャーリー・パーカーの楽団に在籍した当初は、トランペッターとしてはディジー・ガレスピーが山のような存在としてそびえたっており、 とても真似はできないと悩んで自分のスタイルを模索した。このアルバムはビバップを確立した巨人、バードとディズそしてセロニアス・モンクの素晴らしさを記録した1枚である。 ガレスピーのハイノートを連ねて高速フレーズで演奏するアドリブのすごさに注目して聞いてください。

 

3)大橋:Empty Pockets (6:12)
・Herbie Hancock - Takin' Off
・Blue Note - BLP 4109
・Recorded on May 28, 1962
  Bass - Butch Warren
  Drums - Billy Higgins
  Piano, Written-By - Herbie Hancock
  Tenor Saxophone - Dexter Gordon
  Trumpet - Freddie Hubbard

 ドナルド・バードのグループでピアノを弾いて、腕を磨いていたハービー・ハンコックが、初めて製作したリーダーアルバムが1962年のTakin’ Offである。このアルバムの冒頭を飾るのが、彼が作曲したWatermelon Manである。 しかし大変有名となったこの曲を外して、Empty Pocketsという曲を指定するところなどは、大橋さんも“耳タコ”を卒業のようである。

 

4)神谷:Opening Statement(中止)→Minor Sweet(5:38)
・Booker Little - Booker Little
・Time Records - 52011
・Recorded April 13, 15, 1960
  Bass - Scott LaFaro
  Drums - Roy Haynes
  Piano - Tommy Flanagan
  Trumpet - Booker Little

 ブッカー・リトルは、クリフォード・ブラウンのような輝かしい音色で、よりエモーショナルな演奏をするトランペッターで、1961年にクラブ・ファイブスポットでのエリック・ドルフィーと共演したライブ録音での名演で記憶に生々しい。 マスターが持ってきたアルバムは、その1年前にスコット・ラファロも参加した若々しい演奏で、どうしても欲しくて、苦労してオリジナル盤を入手したものである。 予定の曲の冒頭で針飛びが発生したので、急遽曲目を変更したが、さすがにどの曲を聞いてもスカッとした演奏をしている。

 

5)清水:Dizzy Meets Sonny (7:59)
・The Modern Jazz Sextet - The Modern Jazz Sextet
・Norgran Records - MG N-1076
・Recorded on January 12th, 1956 at Fine Sound, New York City
  Alto Saxophone - Sonny Stitt
  Double Bass - Percy Heath
  Drums - Charlie Persip
  Guitar - Skeeter Best
  Piano - John Lewis
  Trumpet - Dizzy Gillespie

 今回ぼくはディジー・ガレスピーのトランペットの凄さを聞いてもらいたいと思いアルバムを選定したが、このアルバムはチャーリー・パーカーが亡くなった翌年に、ソニー・スティットとガレスピーが共演したものである。 ソニー・スティットのアルトはあまりにもパーカーに似ているということで、パーカーの生前中はもっぱらテナーで演奏していたが、ここではアルトを持ってアルバムBird And Dizに負けないような火の出る演奏をしている。

 

6)大橋: It's A Raggy Waltz (6:30)
・The Dave Brubeck Quartet - At Carnegie Hall
・Columbia - C2S 826, Columbia - C2S-826
・Recorded Live at Carnegie Hall, February 22, 1963
  Bass - Eugene Wright
  Drums - Joe Morello
  Piano - Dave Brubeck
  Saxophone Alto - Paul Desmond

 大橋さんの最後のアルバムは、ぼくにとっては冒頭に書いたように思い入れのあるアルバムである。これはどの曲を聞いてもぼくは大好きである。 このIt's A Raggy Waltzという曲は、名前通り3拍子の曲で、ジョー・モレロのドラムスが軽快にリズムを刻み大変心地よい。そんな中でブルーベックが2拍子or4拍子のようなソロを取っているのが面白い。 このコンサートの最後にアンコール曲として大ヒットしたTake Fiveが演奏されるが、これが通常の演奏に比べ大変速いテンポで演奏されるのが印象的だったことを覚えている。 このカーネギー・コンサートの翌年にデイブ・ブルーベック・カルテットは初来日するが、もちろん聞きに行きました。懐かしい思い出です。

 

 2018年の干支は戌で、ぼくにとっては6回目の年男です。自分で野菜を作ったり、野菜作りの講師をしたり、地域の団体に参加したりして、そこそこ忙しく過ごしています。中でも大橋さんに協力してこの番組に参加して、色々と刺激を受けて、Jazzの新しい発見もでき、この年になってもまだ未知の領域に足を踏み込めるということは大変幸せだと思っています。若い二人に負けないように頑張ります。

 




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