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 「FMジャズ喫茶Pitch」のマスターである神谷さんは、知立市にあるジャズ喫茶「Good Bait」のマスターでもある。
      この店については「ジャズ喫茶が熱かった日々-おれたちのジャズ喫茶誕生物語-、2015年、ぱる出版」に“レコードバーゲン一番乗り競争は我らが宿命”という文をマスター自ら書き起こしている。
      そんなマスターの一番お気に入りのジャズマンがエリック・ドルフィーである。「ジャズ批評」という雑誌のエリック・ドルフィー特集があれば、必ず声がかかる一人である。
      ジャズに関しては膨大な知識を持っていて、底なし沼のような人である。
            

        1)神谷:Status Seeking (11:30)
      ・Eric Dolphy – Here And There
      ・Prestige – PR 7382
      ・Recorded on July 16, 1961 at the Five Spot, New York City
        Alto Saxophone – Eric Dolphy
        Bass – Richard Davis
 
        Drums – Ed Blackwell
        Piano – Mal Waldron
 
        Trumpet – Booker Little
          
      
      エリック・ドルフィーの演奏の中で、最も好きな曲がStatus Seekingであると公言しているマスターが、今日は最初にその演奏を取り上げてきた。
      これはFive SpotでのEric Dolphyグループのライブ演奏の中で、未発表Takeを後からレコード化したもので、ぼくが聞いても演奏者全員の演奏のテンションが高く素晴らしいと思うが、マスターに語らせると止まらなくなってしまう。
      

      2)清水:Old Fisherman's Daughter (8:30)
      ・Dusko Goykovich – After Hours
      ・Enja Records – 2020
      ・Recorded November 1971
        Bass – Rob Langereis
        Drums – Joe Nay
 
        Piano – Tete Montoliu
        Trumpet – Dusko Goykovich
           
      
      ぼくが選んだダスコ・ゴイコヴィッチのOld Fisherman's Daughterという曲も、思い出深い曲である。
      この曲は作曲もゴイコヴィッチで、日本人の好みのリリカルなマイナー調の曲で、購入時ぼくもこの演奏を何回もかけては聞いていた。
      曲のイントロで、左のスピーカーからテテ・モントリューのピアノソロが始まるのであるが、当時使用していたJBL4344 MkⅡのドライバーの音が歪みだした経験がある。
      

      3)大橋:Night Mare (7:05)
      ・Jeremy Steig - Eddie Gomez – Outlaws
      ・Enja Records – enja 2098
      ・Played live at Die Glocke, Bremen on December 15, 1976.
        Alto Flute – Jeremy Steig
        Bass – Eddie Gomez
       
      
      大橋さんが持ってきたOutlawsというアルバムはJeremy Steig とEddie Gomezのデュオ演奏であるが、今日選曲したNight Mareという曲はJeremy Steigのソロ演奏である。
      彼のフルートは大変エモーショナルなもので、ときには尺八のような音も飛び出してくる。彼の魅力がいっぱい詰まった演奏であり、じっくリと楽しめる演奏である。
      

      4)神谷:Stardust (7:29)
      ・Ron Carter And Jim Hall – Telephone
      ・Concord Jazz – CJ-270
      ・Recorded live at the Concord Pavilion, Concord, California August 1984
        Bass – Ron Carter
        Guitar – Jim Hall
     
      
      マスターもデュオ・アルバムを持ってきた。Ron CarterとJim Hallである。この二人はAlone Together(1973)、Live At Village West(1984)、Telephone(1985)という3枚のアルバムを発表しているが、
      その最後のアルバムTelephoneよりStardustである。ぼくは今までデュオ形式のアルバムはあまり聞かなかったが、マスターの影響でその魅力と楽しみ方をわかるようになってきた。
      この二人の3枚のアルバムの中では、Alone Togetherが取り上げている曲目等で一番僕には親しみやすい。
      

今回は、今思い返してみても、どこで、誰が長々と喋ったのか思い出せないが、終わってみると演奏は4曲しかかからなかった。 ということはすべての曲の前で、いつもよりさらにあれこれとお喋りをしていたのだろう。これがなかなか面白かったと言われると良いのだが。
  もう一台プリアンプが欲しいと思っていたので、サンバレーが企画したSV-pre 1616Dキットを予約し、さっそく組み立てました。 大橋さんが組み立ての手順・要領をブログに載せて解説されたので、大変わかりやすく組み立て出来ました。球はオール12AX7とし、整流管5AR4仕様としました。 現在エージングを兼ねて鳴らしていますが、SV722とよく似たクリヤーな音がします。音を大きくするとまだ少し硬さを感じますが、エージングが進めばそれも取れると思います。 ぼくのイメージ通りの音です。作って楽しみ、聞いて楽しんでいます。
	
このキットの中でもう一つぼくを驚かせたことがあります。それがオプションのエレキットUSB-DACモジュール [ PS-3249R ]です。 これが最初のロット購入時には無料でついていました。これをパソコンにUSBケーブルでつなぐだけで、自動認識し音楽がデジタル出力されます。これは大変便利で、音もパソコンからのアナログ出力よりも魅力的です。

    そこでサンバレー・オーディオにもう一つエレキットUSB-DACモジュール [ PS-3249R ]を注文し、現在パソコンとつないでいるSV-14LBにも導入することにしました。
   併せてオペ・アンプの変更で音が変わるということなので、価格的にも手ごろなバー・ブラウンのOPA2107AP(F)、¥1.45kも手配しました。
    二つの[ PS-3249R ]がそろったので、デフォルトのオペ・アンプJRC NJM4580DD(B)の音がバー・ブラウンのOPA2107AP(F)に変更することによりどう変化するか、Jazzの演奏で聞き比べてみました。
   そうすると、確かに変わります。音に倍音感が加わることにより、音楽が豊かに聞こえます。Jazzの演奏でもそうですから、これがクラシックの弦の音であればもっと差が大きくなるような気がします。
   ¥1.45kの投資でこれだけの効果があるのであれば、試してみる価値は十分にあると思います。
   パソコンに音楽データを取り込んで楽しんでいられる方は、ぜひUSB-DACモジュールをプリアンプとつなぐことをお勧めします。そしてオペ・アンプを変えてみて、音の変化を楽しむと良いと思います。
   
  
   大型連休の後半となり、全国チェーンの中古本屋が全品20%引きセールというのを始めた。いつもであれば駐車場がないということは生じないが、今回は近くを数軒回ったが、どこも満杯で近づくこともできなかった。
  それでも粘って何とか2件ばかり覘いてみた。というのも伝記文学作家・小島直記さんの本を探していたからである。ところが残念ながらどこにも一冊も見つからなかった。
   小島直記は、1919年5月に福岡県八女郡福島町に生まれ、2008年9月に89歳で死亡した小説家で政治家や経済人などの伝記小説を書き、高い志で生きた人を高く評価し、
  利害や権力、名誉にとらわれて生きた人を鋭く批判した、硬派の小説家であり、読んでいて共感できるところが多い。
   ぼくが彼を知ったきっかけが何であったかは覚えていないが、機会があるたびに彼の作品を集めて、今では30冊以上が手元にある。
  でも流行作家の小説のようにベストセラーとして多く出回ることもなく、亡くなって10年以上にもなるので、最近は探しても彼の作品が中古本として出回ることが少なくなってしまった。
  もちろんamazonを覘くと多くの中古本が見つかるが、多くの場合、1冊につき300円前後の送料を取られるので、結果として割安にはならない。
   彼の作品の多くが伝記小説であるが、それ以外に色々な人物像を描いたエッセイも多くあり、それがなかなか面白い。その中でも“男たち”シリーズの5冊は、ぼくが時々読み返す5冊である。
   ・出世を急がぬ男たち(1981)
   ・逆境を愛する男たち(1984)
   ・回り道を選んだ男たち(1987)
   ・老いに挫けぬ男たち(1993)
   ・一燈を提げた男たち(1999)
  

    
   タイトルからもわかるように、出世目的で仕事をしない男とか、あえて苦労を買って出る男とか、他人が避けて通るようなことに挑んだ男とか、老いてからも新しいことに挑んだ男とか、
  信念を貫いてそれで運命を切り開いた男、といった生きざまに共感して綴ったエッセイであり、中でも5冊目の「一燈を提げた男たち」は彼の最後に出版された作品である。
  このタイトルは「一燈を提げて暗夜を行く、暗夜を憂うることなかれ。ただ一燈を頼め。」という佐藤一斎の言誌四録よりの言葉を用いたものである。
  佐藤一斎の言誌四録(これは「言志録」、「言志後録」、「言志晩録」、「言志耋録」の4書の総称である)は作者の愛読書であり、「私の『言誌四録』、実業之日本社」という本も書いている。
   昨今の新聞紙面をにぎわすニュースを見てみると、権力にすり寄る男たちとか、逆境をさける男たち、とか言ったタイトルがふさわしいような出来事が多い中では、自分の立ち位置を確認するのに良い本ではないかと思う。
   今後とも粘り強く中古本屋で彼の本を探していこうと思っている。
  


            


