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「FMジャズ喫茶Pitch」は前の月に事前収録をしています。それも1時間番組を2本続けて収録しています。
その事前収録した日付をこのブログのタイトルに入れているので、先回分と今回分は(2018.4.16)という日付になっていますが、このプログの内容を書いているのは、
収録結果を反映させて書いているので5月6日から書き始めて3日くらいかかっています。毎回3人で最低2曲ずつ、合計で6曲以上を準備していますが、曲の長さとか、3人の話の成り行きとかで何曲かかるかは、収録が終わってみるまで分りません。
先回は4曲で終わり、今回は5曲で終わっています。曲をかける順番も当日大橋さんより提案されます。それらのこともあり、その内容を反映させようとすると収録後にブログを書くことになります。
先回と今回は収録が比較的早かったので時間があると思って余裕でいたら、5月のゴールデンウィークがやってきて、先回の放送の第1回にブログのアップを間に合わせられなかったというへまをぼくがやってしまいました。
読んでくださる皆さんには申し訳ありませんでした。

1)神谷:The Prophet (7:05 )
・Oliver Lake Quintet – Prophet
・Black Saint – BSR 0044
・Recorded on 11, 12 August 1980 at Sound Heights Studios, Brooklyn, NY
Alto Saxophone – Oliver Lake
Drums – Pheeroan Ak Laff
Electric Bass – Jerry Harris
Piano – Donald Smith
Trumpet, Flugelhorn – Baikida Carrol

先回、神谷マスターが大好きなエリック・ドルフィーのStatus Seekingという曲を紹介したが、その勢いが止まらないかのように、Oliver LakeのThe Prophetを持ち出してきました。
Oliver Lakeという人はWorld Saxophone Quartetというフリー系のジャズを演奏するグループのメンバーでもあるが、自己のグループではEric Dolphyの曲を取り上げて、Prophet、Dedicated To Dolphyなどといったアルバムを制作している。
このアルバムのタイトル曲The ProphetでOliver LakeのDolphyへのオマージュを聞いてください。
このアルバムを制作したBLACK SAINTというレーベルはLPのA面にはレーベルの表紙のようなものを使用し、B面側のラベルにA面、B面、両方の曲紹介をしており、知らないと一瞬戸惑う。

2)清水:Autumn in New York (7:50)
・Dexter Gordon – Daddy Plays The Horn
・Bethlehem Records – BCP-36
・Recorded September, 1955 in Hollywood, California
Bass – Leroy Vinnegar
Drums – Larry Marable
Piano – Kenny Drew
Tenor Saxophone – Dexter Gordon
ぼくが準備したDexter GordonのDaddy Plays The Hornというアルバムに入っているAutumn in New Yorkという曲は、Dexter Gordonが主役を演じたRound Midnightという映画でのやり取りと重なる思い出の曲である。
若い男性がAutumn in New Yorkをリクエストすると、主人公が歌詞を忘れたから演奏できないという。メロディーだけではだめだというのである。
そこで男がたどたどしく歌いだすと、歌詞をかみしめるように演奏を始めるのである。こういう話は、ベン・ウェブスターも言っていると、どこかのジャズマンが言っていたのを思い出す。そういう演奏のAutumn in New Yorkを聞いてください。

3)大橋:Blues March (6:15)
・Art Blakey And The Jazz Messengers
・Blue Note – BLP 4003
・RVG Studio, 1958
Lee Morgan (tp)
Benny Golson (ts)
Bobby Timmons (p)
Jymie Merritt (b)
Art Blakey (ds)
このところ、隠れた名盤を持ってきていた大橋さんが、今回直球勝負で持ってきたのが、ブルー・ノートのアート・ブレイキーの代表作であるこのアルバムである。
曲はベニー・ゴルソンの代表作ブルース・マーチだ。ぼくはこのアルバムを聴こうかと思うときには、どうしてもサンジェルマンのライブ・アルバムを手に取ることが多いので、久しぶりにこのアルバムを聴く。

4)神谷:Drie Kus Man Total Loss (9:00)
・The Misja Mengelberg Quartet (As Featured At The Newport Jazz Festival 1966)
・Artone – MGOS 9467
・Recorded in Amsterdam on 4 March 1966
Alto Saxophone – Piet Noordijk
Bass – Rob Langereis
Drums – Han Bennink
Piano – Misja Mengelberg
ピアノのMisja MengelbergとドラムスのHan BenninkはEric DolphyのLast Dateというアルバムに参加したメンバーで、アルトサックスのPiet Noordijkは、まさにドルフィー・スタイルの演奏を得意としている。
ということで、マスターの取り上げたこのアルバムも、どこかでドルフィーとつながっている。Misja Mengelberg自体のピアノはセロニアス・モンクを連想させるようなスタイルである。

5)清水:Tickle Toe (5:35)
・Zoot Sims Live In Japan 1977: Vol.1
・Marshmallow Export MMEX-125-LP
・Recorded at Yomiuri Hall, Tokyo, June 29,1977
Zoot Sims (ts)
Dave McKenna (p)
Bucky Pizzarelli (g)
Major Holley (b)
Jake Hanna (ds)
今回の最後になってしまいましたが、Zoot SimsのLive In Japan 1977 Vol.1というアルバムを準備しました。
このアルバムは日本のMarshmallowレコードが録音・制作したもので、マシュマロレコードではこのLive in JapanのVol.1およびVol.2に続いて、Live In YamagataのVol.1およびVol.2の、計4枚のズート・シムズのライブレコードを製作しています。
それとは別にAt Birdlandという1952年と1960年の音源(一部未発表)を発掘してレコード化しています。
今回ぼくが取り上げた曲は、Tickle Toeというカウント・ベイシー楽団でレスター・ヤングがソロを取った演奏で知られた曲で、軽快にスイングする良い曲です。
大好きなズート・シムズのライブ演奏を製作してくれた、マシュマロレコードの上不社長に感謝です。

5月上旬分の収録時に、マスターがジャズ演奏のスリリングは即興演奏にあり、デュオ演奏はその自由度がビッグ・バンドに比べて非常に高い、と説明していた。 これに対してぼくが、ある面ではその通りであるが、ビッグ・バンドでもベイシーのバンドは譜面に制約されることの少ないバンドであると、力説してしまった。 そして続いた5月下旬分の収録時にZootの演奏するTickle Toeを聞いて、収録終了時には無性にベイシーの演奏を聴きたくなった。家に帰りThe Count Basie Story(Basie Plays Basie)というアルバムを引っ張り出して聴いている。 これは1930年代末から40年代初頭にかけてのベイシーのレパートリーを、1960年にステレオで再録音したもので、オリジナルの味わいを残しながら高音質化したアルバムである。やはりこれはどこかで紹介しなくてはと思う。

