ジャズ・オーディオの雑記帳
 by 6041のS
FM Pitchの新番組「Midnight Classic」を聞きました。(2018.7.5)

 今日、知立のジャズ喫茶「グッドベイト」に顔を出すと、帰り際にマスターからお土産を二つもらいました。 一つは2枚の柊の葉で、普通は左図のように葉にとげがあるが、年を経ると丸くなって右の葉のように棘がなくなるよ、と言われました。しかしよく見ると棘がゼロではありませんでした。もう一つは大橋さんがFM Pitchで新しい音楽番組を始めると書いた短冊です。
 家に帰って確認してみると、毎週木曜日の夜10:00~11:00の時間帯で、「ミッドナイト クラシック」という番組タイトルで、「知立のピアニスト、霜浦陽子さんと二人で素敵なクラシックを聴きながら、曲や演奏について語り合う番組(2週目,4週目は再放送)。
 早速10:00より始まった放送を聞いていると、今日が最初の放送だそうです。番組としては大橋さんと知立在住のピアニスト霜浦陽子さんが、それぞれ選曲したクラシックの演奏曲を持ち寄って、それに関するお話をしながら曲を聞いていくという構成です。 今回二人が選曲した曲、1~5を下に示します。奇数曲3曲を霜浦陽子さんが選曲し、偶数曲2曲を大橋さんが選曲しています。

1)シューベルト/即興曲D899作品90より変ト長調、ルプー(p)
2)ブラームス/クラリネット・ソナタ第2番変ホ長調作品120-2より第1楽章、パユ(fl)
3)バッハ/六つのイギリス組曲より第3組曲(前奏曲、クーラント、ジグ)、アンデルジェフスキ(p)
4)バッハ/ヴァイオリン協奏曲第1番イ長調より第2楽章、クイケン(vn)
5)ショパン/英雄ポロネーズ、イヴ・アンリ(p)

 音源がLPなのかCDなのかの紹介もなく、アルバムタイトルの紹介もなかったので、これ以上のことは判りませんでした。(ただし、音源はこれだろうという推定はつくと思います)
 クラシックの番組は最近では少なくなったので、こういう曲のリストを見て興味のある方は、ぜひこの番組を聞いてみてください。 FMでは83.8MHz、ネットラジオではPitch FMのホームページを見れば聞き方が案内されています。
 ぼくが番組を聞いて個人的に興味を持った感想を付け加えると、霜浦陽子さんが冒頭にラドゥ・ルプーの演奏するシューベルトの即興曲を取り上げたのは、おっ!と思いました。 というのは、ぼくは最近シューベルトのピアノ・ソナタに興味を持っていて、なかでもルプーの演奏はシューベルトのピアノ曲との相性がとても良いと思っていたからです。
 それから大橋さんが選曲した、クイケンの演奏するバッハのヴァイオリン協奏曲第1番の録音は、ぼくにとってはとても心地良いということが、極端に言えばパッと聞いただけで感じました。こういう曲はぜひ音源のCD(たぶん)を紹介してもらえると良いと思いました。
 霜浦陽子さんが締めくくりに、ショパンの英雄ポロネーズを選曲しましたが、ぼくはショパンのピアノ曲ではマズルカが大好きなので、このリスナーの声が届くと良いですね。今後どんな曲の紹介があり、興味あるお話が聞けるか、期待がもてる第1回の放送内容でした。

 以上、番組を聞きましたので紹介させてもらいます。多分次週(7・12)に再放送があると思います。

 

「FMジャズ喫茶Pitch」7月3-4週放送内容(6/25収録)(2018.7.6)

 最近ぼくがよく聞くテナー奏者はJohn Klemmer、Dave Liebman、Wayne Shorterであり、それからBennie Wallaceです。 もちろん好きなテナーマンはと聞かれれば、Stan Getz でありZoot Simsの名が出ますが、そういった演奏者と少し離れた演奏をする人のテナーを聞いてみたくて、今まであまり聞いてこなかった人を取り上げるようになりました。 (もちろんWayne ShorterなどはMiles Davisのグループの演奏は聞いていますが)その中で今回はBennie Wallaceのアルバムを取り上げてみました。やはり、神谷マスターから突っ込みがありました。  

 

1)神谷:Softly, As In A Morning Sunrise (3:13)
・Howard McGhee ‎– Maggie's Back In Town!!
・Contemporary Records ‎– S7596
・Recorded June 26, 1961 at Contemporary Records in Los Angeles
  Bass – Leroy Vinnegar
  Drums – Shelly Manne
  Piano – Phineas Newborn Jr.
  Trumpet – Howard McGhee

 ハワード・マギーと言えばディジー・ガレスピー、ファッツ・ナバロと並んでビバップの3大トランペッターと言えるだろう。 彼がコンテンポラリーのリロイ・ビネガー、シェリー・マン、フィニアス・ニューボーンJrといった名手を従えて、Softly, As In A Morning Sunriseという名曲を一気に吹ききった演奏の快感を堪能できるのである。 併せてぼくの大好きなリロイ・ビネガーの地を這うようなウォーキングベースも素晴らしいし、シェリー・マンの軽やかなスティックさばきも素晴らしいし、オリジナル盤の録音も良い。聞いていて演奏時間が短く感じられる1曲である。

 

2)清水:Star Eyes (7:45)
・Bennie Wallace / Tommy Flanagan / Eddie Gomez / Dannie Richmond ‎– The Free Will
・P-Vine Records ‎– PCD-93667
・Recorded at Electric Lady Studios, New York City on January 31 and February 1, 1980
  Bass – Eddie Gomez
  Drums – Dannie Richmond
  Piano – Tommy Flanagan
  Tenor Saxophone – Bennie Wallace

 ぼくが今回Bennie Wallaceを取り上げた理由について、冒頭に少し述べたが、はたしてマスターからぼくとマスターの選曲の立ち位置が逆転しているのではないかと指摘を受けた。 確かにこの人の演奏のスタイルは、エリック・ドルフィーの影響が感じられ、マスターがより興味を示すところかもしれない。 今回はStar Eyesというスタンダード曲を選曲したが、彼の持ち味をより感じるためには、彼のオリジナル曲の演奏を聞いたほうが良いかもしれない。

 

3)大橋:Sister Cheryl (7:21)
・Wynton Marsalis ‎– Wynton Marsalis
・Columbia ‎– FC 37574
・Recorded July, 1981 Tokyo
  Bass – Ron Carter
  Drums – Tony Williams
  Piano – Herbie Hancock
  Saxophone – Branford Marsalis
  Trumpet – Wynton Marsalis

 大橋さんが取り出したのが「ウィントン・マルサリスの肖像」という邦題のついた、ウィントンのデビューアルバムである。 世間の評価はなかなか高いアルバムであるが、ぼくはウィントンについては辛口な方なので、どうしても演奏が冗長に聞こえてしまい良いコメントができない。

 

4)神谷:Coco's Blues (11:30)
・Sunao Wada Quartet / Sunao Wada Sextet ‎– Coco's Blues
・Three Blind Mice ‎– TBM-12
・Recorded on 23 October 1972
  Alto Saxophone – Kenji Mori
  Bass – Mitsuaki Furuno
  Drums – Arihide Kurata
  Flugelhorn – Kunji Shigi (tracks: A2, B2)
  Guitar – Sunao Wada
  Piano – Takehiro Honda

 マスターが持ってきた和田直さんのアルバムには、2008年9月7日の日付で和田さんのサインが入っている。あれからもう10年も経ったのかという感慨がわいてくる。 突然和田さんの知人からグッドベイトに電話が入り、和田さんが今からお邪魔してグッドベイトさんで演奏したいというのだ。マスターは、うちはライブはしていないと言っていったんは断られたのだが、 どうしても記念として、ノーギャラでお願いしたいということになり、ぼくもたまたまそこにいたので、和田さんの演奏を生で聞く機会を得たのだ。しかも何曲かはマスターのドラムも参加して。 和田さんの演奏するギターのブルース感覚はすごいなという印象が強烈であった。

 

5)清水:Stardust (5:15)
・Clark Terry Quintet ‎– Serenade To A Bus Seat
・Riverside Records ‎– RLP-237
・Recorded New York, April 1957
  Bass – Paul Chambers
  Drums – "Philly" Joe Jones
  Piano – Wynton Kelly
  Tenor Saxophone – Johnny Griffin
  Trumpet – Clark Terry

 クラーク・テリーのアルバムと言えば、セロニアス・モンクと共演したIn Orbitとかオスカー・ピーターソンと共演したOscar Peterson Trio with Clark Terryと並んで このジョニー・グリフィンやウイントン・ケリーと共演したSerenade to a Bus Seatというアルバムが好みである。Stardustのチャーミングな演奏をぜひ聞いてください。

 

 今回は意図したわけではないが、マスター、店主そして僕の順でトランペッターのリーダーアルバムを紹介することになった。 ハワード・マギー(b、1918)、ウィントン・マルサリス(b、1961)、ケニー・クラーク(b、1914)である。今回のアルバムの録音年は、それぞれ61年、81年、57年となっている。 一番若いマルサリスは他の二人とは40歳以上の年齢差があり、クラークとマギーは4歳の差しかない。それぞれがどんな演奏を展開するか、特に心に訴えかける演奏とはどんなものかという観点で聞いてみると、どんな答えになるか興味のあるところだ。
 




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