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「FMジャズ喫茶Pitch」がスタートしたのが2016年11月です。半年くらい経ったころに大橋さんから、番組について思うところと、曲の紹介などを書きませんかと誘われ、2017年の6月放送分から書き始め、気が付いたら1年以上が経ちました。
毎回大したことを書いているわけではないのですが、3人でお喋りしたことを思い出しながら、気づいたことをちょっと書いていても、継続していると随分と頭の整理になります。
それとぼく自身のことで言うと、収録中に大橋さんほど演奏をしっかりと聞いていないことに気づきます。

1)神谷:Birth (9:40)
・Max Roach Featuring Anthony Braxton – Birth And Rebirth
・Black Saint – BSR 0024
・Recorded in September 1978 at Ricordi Studios, Milano
Alto, Soprano, Sopranino Saxophone, Clarinet – Anthony Braxton
Drums – Max Roach
ジャズをデュオで演奏するのは、最高の即興演奏が得られるというのがマスターの今までの演奏を聞いての結論で、この番組でも既に7枚もアルバムを紹介し、今回で8枚目です。 マックス・ローチのドラムに鼓舞されて、アンソニー・ブラックストンが熱の入った演奏をすると、聞いているほうも高揚してしまいます。しかしそれだからぼくなんかは疲れてしまいますが。

2)清水:Bernie`s Tune (7:10)
・Wardell Gray – Live In Hollywood
・Xanadu Records – 146
・Recorded September 9, 1952
Bass – Joe Mondragon
Drums – Shelly Manne
Piano – Hampton Hawes
Tenor Saxophone – Wardell Gray
Trumpet – Art Farmer
レスター・ヤングの演奏を聞いて、テナーを開眼したというワーデル・グレイは、レスターの雰囲気を残した演奏をしており、ぼくの好きなテナーである。
しかし彼は34歳という若さで亡くなっており、残された演奏は少ない。晩年には西海岸でたびたび演奏をしており、このアルバムもウエスト・コーストを代表するリズム隊と演奏している。

3)Everything Happens To Me (5:48)
・Elvin Jones – Dear John C
・Impulse! – A-88, Impulse! – AS-88
・Recorded February 25, 1965
Alto Saxophone – Charlie Mariano
Bass – Richard Davis
Drums – Elvin Jones
エルビンのドラムスとリチャード・ディヴィスのベースという聞き応え十分のリズム隊をバックに、チャーリー・マリアーノがアルトサックスで歌うEverything Happens To Me。
これだけでもワクワクする内容である。事実、期待通りのエルビンの熱いドラミングやリチャード・ディヴィスの地を這うようなベースがインパルスの好録音によって迫力十分である。

4)神谷:Well You Needn't (5:22)
・Don Pullen – Plays Monk
・Paddle Wheel – K28P-6368
・Recorded October 11, 1984 New York
Piano – Don Pullen
Don Pullenという人はGeorge Adamsと演奏するときは、非常にアグレッシブな面とゴスペルバラードをリリカルに演奏するメロディストという面の2面性を見せるが、本質的にはここで演奏するように、
セロニアス・モンク的なリズムを強調した演奏が合っているのではないかと思う。こういうアルバムを取り上げるマスターの選曲は素晴らしいと思う。

5)清水:Sweet Lorraine (4:24)
・Kenny Davern, Flip Phillips – John & Joe
・Chiaroscuro Records – CR 199
・Recorded 23 October 1977
Bass – George Duvivier
Drums – Bobby Rosengarden
Piano – Dave McKenna
Soprano Saxophone, C-Melody Saxophone – Kenny Davern
Tenor Saxophone, Soprano Saxophone, Bass Clarinet – Flip Phillips
Chiaroscuroというレーベル名を聞いただけで、ゆったりとした演奏の名録音を連想させる。このアルバムもそのイメージの延長戦で入手したものである。
初期のウディ・ハーマン楽団のテナー・ソロイストであるFlip PhillipsがKenny Davernと共演したもので、リラックスした演奏を聴くことが出来る。

6)大橋:I Get A Kick Out Of You (7:30)
・Brown And Roach Incorporated
・Emarcy – MG 36008
・Recorded: August 10, 1954
Bass – George Morrow
Drums – Max Roach
Piano – Richie Powell
Tenor Saxophone – Harold Land
Trumpet – Clifford Brown
今回も何とか6曲かけようということで、大橋さんの選曲したClifford BrownのI Get A Kick Out Of Youをバックに、最後のTalkをしているが、こういう曲はもう少しじっくり聞いた方が良いような気がする。

このブログを書きながら昨日(8月4日)放送された8月1-2週放送を聞いていた。その中で気になったのが、大橋さんが選曲したWynton Kelly!のSomeday My Prince Will ComeというアルバムよりChar's Bluesがかかった時に、
ベーシストをSam Jonesと紹介し、Paul Chambersに良く似たベースだねと言っているが、改めて確認してみるとこの時のベーシストはまさにPaul Chambersである。
このSomeday My Prince Will Comeというアルバムは少し複雑で、オムニバス盤的な作りになっており、一つ一つの曲の構成については下記の表に示す。
(ベース:PC;Paul Chambers、SJ;Sam Jones)
(ドラムス:JC;Jimmy Cobb、PJ;Philly Joe Jones)
Album :Someday My Prince Will Comeに 収録された曲のメンバー表 |
録音 | ベース | ドラムス | 備考(他のアルバム より流用された曲) |
||||
年 | 月 | 日 | PC | SJ | JC | PJ | ||
A-1 Someday My Prince Will Come (4:51) | 1961 | 7 | 20 | 〇 | 〇 | |||
A-2 Gone With The Wind (4:15) | 1961 | 7 | 21 | 〇 | 〇 | Wynton Kelly! | ||
A-3 Autumn Leaves (5:11) | 1961 | 7 | 21 | 〇 | 〇 | |||
A-4 Come Rain Or Come Shine (4:52) | 1961 | 7 | 21 | 〇 | 〇 | |||
A-5 Weird Lullabye (7:12 ) | 1960 | 4 | 27 | 〇 | 〇 | Kelly At Midnight | ||
B-1 Sassy (5:14) | 1961 | 7 | 21 | 〇 | 〇 | Wynton Kelly! | ||
B-2 Wrinkles (8:05) | 1959 | 8 | 12 | 〇 | 〇 | Kelly Great | ||
B-3 On Stage (5:13) | 1960 | 4 | 27 | 〇 | 〇 | Kelly At Midnight | ||
B-4 Char's Blues (4:51) | 1961 | 7 | 21 | 〇 | 〇 | |||
B-5 Love, I've Found You (2:37) | 1961 | 7 | 21 | 〇 | 〇 | Wynton Kelly! |
ということで、Char's BluesのベーシストはPaul Chambersであり、ドラマーはJimmy Cobbである。またB-2WrinklesではLee Morgan(tp)とWayne Shorter(ts)も参加している。

