ジャズ・オーディオの雑記帳
 by 6041のS
「FMジャズ喫茶Pitch」2018年9月1-2週放送内容(8/20収録)(2018.8.28)

 収録の前の世間話で、マスターが突然“魚屋、床屋、八百屋、百姓”という言葉は、放送自主規制用語だということを知っているかいと言い出した。本当かと局の人に聞いたら、そうだというではないか。 そもそもこういういい方は、使われだしたときに、上から目線で呼ぶときの使い方でまずいということのようである。 こういう言葉を使ってはいけないと言われると、日常で使っている言葉とずれているように思って確認してみると、“魚屋さん、床屋さん、八百屋さん、お百姓さん”などと丁寧に言えば問題ないようである。 FMジャズ喫茶Pitchがスタートして1年と11か月目になるが、まだこの程度の知識である。

 

1)神谷;Countdown (2:21) & Countdown (4:33) Total(6:54)
・John Coltrane ‎– Giant Steps & Alternate Takes
・Atlantic ‎– 1311 & Atlantic ‎– SD 1668,
・Recorded on May 4, 1959
  Bass – Paul Chambers
  Drums – Art Taylor
  Piano –Tommy Flanagan
  Tenor Saxophone – John Coltrane

 マスターがまた興味深いアルバムを持ってきた。1959年に発売されたGiant StepsというアルバムのCountdownを聞いて、続いて1974年に発売されたAlternate TakesというアルバムのCountdownを聞き比べようというのである。 この二つの曲は本テイクと別テイクの関係にあり、しかも演奏時間が倍違うというものである。しかし聞いてみると、別の所に関心が移ってしまった。 マスターの持ってきたGiant Stepsはオリジナル盤で、音圧も高く、リズム隊に次いでコルトレーンのサックスが鳴ると前に飛び出してくるような、臨場感のある演奏が聞こえてくる。 これに対してAlternate Takesの日本盤は、音が平板で、サックスもリズム隊の後ろにいるように聞こえる。これを聞いてしまうと、Giant StepsのCountdownの演奏のほうが、たとえ短くともテンションの高い凝縮した演奏に聞こえ、 これで十分と思ってしまう。録音が良いということは大変な魅力である。 

 

2)清水;The Necessary Blues(8:15, F/O)
・George Adams - Don Pullen Quartet ‎– Live At Village Vanguard
・Soul Note ‎– SN 1094
・Recorded August 19, 1983 at the Village Vanguard, New York City
  Bass – Cameron Brown
  Drums – Dannie Richmond
  Piano – Don Pullen
  Tenor Saxophone – George Adams

 先月の収録時にマスターがDon Pullenのピアノソロ・アルバムを持ってきた。彼の名前が出ればGeorge Adams - Don Pullen Quartet ‎を思い出すのは簡単だ。 彼らの情熱的な演奏を聴くにはライブ演奏が良いだろうと思い、Live At Village Vanguardというアルバムを選び、彼らの重要なレパートリーと思われるThe Necessary Bluesという曲を取り上げた。 この曲は1983年に録音されたCity Gatesというアルバムで,Thank You Very Much Mr. Monkというタイトルで演奏されており、このThe Necessary Bluesの副タイトルとなっている。 しかしGiant Stepsのオリジナル盤の素晴らしい録音を聞いた後では、やはり音が少し寂しく聞こえる。

 

3)大橋;Plexis (5:51)
・Art Blakey & The Jazz Messengers ‎– 3 Blind Mice
・United Artists Jazz ‎– UAJ 14002
・Recorded live at the Renaissance Club, Hollywood in March 1962
  Bass – Jimmy Merritt
  Drums – Art Blakey
  Piano – Cedar Walton
  Tenor Saxophone – Wayne Shorter
  Trombone – Curtis Fuller
  Trumpet – Freddie Hubbard

 大橋さんがまた懐かしいアルバムを持ってきた。Jazz Messengers ‎の3 Blind Miceというアルバムである。1961年の6月に、当時はやりの3管編成にしてAlamodeというアルバムを発表して1年たち脂ののって来たときに出した3 Blind Miceというアルバムである。 選んだ曲が、冒頭より切れの良いドラムソロから演奏が始まるという、いかにも大橋さん好みのPlexis(これはPlexusのミスタイトル)という曲である。

 

4)神谷;Un Poco Loco (1st, 2nd Take) (8:18)
・Bud Powell ‎– The Amazing Bud Powell (Volume 1)
・Blue Note ‎– BLP 1503
・Recorded on May 1, 1951
  Bass – Curly Russell
  Drums – Max Roach
  Piano – Bud Powell

 マスターがBud PowellのThe Amazing Bud Powell Volume 1というブルーノートの名盤を持ち出して、名演の誉れ高いUn Poco Locoの1st & 2nd takeを聴けという。 確かにUn Poco Locoは聞きごたえのある演奏であるが、ぼくは1曲だけで充分である。正直言って、少々手がもつれても、クレオパトラの夢やディア・オールド・ストックホルムのような曲のほうがぼくには聞きやすい。

 

5)清水;Minor Meeting (4:36)
・The Sonny Clark Memorial Quartet ‎– Voodoo
・Solid Records ‎– CDSOL-45007
・Recorded November 25 and 26, 1985 at Classic Sound N.Y.
・リリース:21 Sep 2016 Japan (Original ; Black Saint BSR 0109, LP)
  Alto Saxophone – John Zorn
  Bass – Ray Drummond
  Drums – Bobby Previte
  Piano – Wayne Horvitz

 John Zornという人は、アルトサックスをバップからフリーまでどんなスタイルでも演奏できる稀有な人である。 そんな中でぼくが持ち出したThe Sonny Clark Memorial Quartetというグループ名で演奏したVoodooというアルバムは、ソニー・クラークの作品をバップスタイルで演奏した、彼の作品としては大変聞きやすいアルバムである。 このくらいの演奏のJohn Zornは聞いていて大変心地良い。

 

 

 この番組の売りが、オールアナログ音源を用いて、真空管アンプを通した音作りというコンセプトですが、今回のJohn Zornのアルバムに関してはCDの音源を使いました。 原則は従来のコンセプト通りですが、どうしても紹介したい音源についてはCDも時には採用しようと思っています。
 




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