ジャズ・オーディオの雑記帳
 by 6041のS
「FMジャズ喫茶Pitch」2018年12月3-5週放送内容(11/19収録)(2018.12.10)

 美術館に絵画を見に行くと、絵の横に紹介の短文が添えられているが、その書き方が美術館によって様々である。非常に詳しくその絵が製作された意図とか、動機のようなものまで紹介しているものもあれば、年代とタイトル等を簡単に記したところもある。周辺の知識をインプットすることによって絵への理解を深めるのに役立つと考えるか、余分なことは考えずに絵への鑑賞に集中してもらう方が良いと考えるか、それぞれである。ある人がこの番組を聞いて、「ジャズという音楽はなかなか取っ付きにくかったが、色々と解説してもらえるので、ジャズという音楽が分かるようになってきた」と、ぼくに言った。12月から大橋さんの前口上が変化し、偏屈マスターとコテコテ常連客とジャズ修行中のオーディオおたくの3人と紹介されました。幸いなことに3人が選ぶジャズのコンセプトがマスターは、名盤特集に出てこない名盤、ぼくは、メインストリーム系、大橋さんは、耳タコ盤から迷走曲まで、とコンセプトが重ならないというか金太郎あめのようにならず、色々とバラエティーに富んでいるので、3人があれこれ言いながら選曲すれば幅広いジャズを楽しんでもらえるのではないかと思っています。
 

 

1)神谷:Radar (8:50)
・Christof Lauer – Christof Lauer
・CMP Records – CMP 39 ST (release 1989)
・Recorded April 1989
  Double Bass – Palle Danielsson
  Drums – Peter Erskine
  Piano – Joachim Kühn
  Tenor Saxophone – Christof Lauer

 マスターがまた名盤特集に出てこない名盤を持ってきた。今でも毎月100枚近くのアルバムを仕入れているそうで、そうなるとジャケ買いとか、曲買いとか色々なキーワードで注文するものが出てくるが、このアルバムは、CMP Recordsというドイツのアヴァンギャルド系のジャズを得意とするレーベルであること、ピアノがヨアヒム・キューンであることなどを手掛かりに注文したそうである。そして聞いてみると、クリストフ・ラウアーのテナーがフリーキーなトーン満載で好みにぴったりだということである。 

 

2)清水:Will You Still Be Mine (4:24)
・The Kenny Burrell Trio – A Night At The Vanguard
・Argo – LP 655 (release 1960)
・Recorded Sept, 16 and 17, 1959, during actual performance at the Village Vanguard in New York
  Bass – Richard Davis
  Drums – Roy Haynes
  Guitar – Kenny Burrell

 先回の番組にマスターが「ミントンハウスのチャーリー・クリスチャン」という歴史的名盤を持ってきて、「サヴォイでストンプ」という素晴らしい曲をかけた。それに刺激を受けて、チャーリー・クリスチャン直系のギタリスト、ケニーバレルの傑作「ヴィレッジ・ヴァンガードの夜」を持ち出した。ホーンライクな素晴らしいギターソロを聞いてください。

 

3)大橋:Amen (8:18)
・John Coltrane – Sun Ship
・Impulse! – AS-9211 (release 1971)
・Recorded August 26, 1965, at RCA Victor Studios, New York City
  Bass – Jimmy Garrison
  Drums – Elvin Jones
  Piano – McCoy Tyner
  Tenor Saxophone – John Coltrane

 大橋さんが「名盤に近い迷盤」のようなものを持ってきた。1965年にコルトレーンはこのカルテットの解散を予期したかのように、多くのスタジオ録音を残している。このアルバムは1967年の彼の死後に発売された。大橋さんが取り上げたAmenという単純なフレーズを繰り返して盛り上がって行く曲は、まさにコルトレーン節満開である。

 

4)神谷:Cheek To Cheek/The Way You Look Tonight (5:27)
・Fred Astaire – The Astaire Story
・Book-Of-The-Month Records – 70-5554 (release 1978) 3LP Box Set
  Bass – Ray Brown
  Drums – Alvin Stoller
  Guitar – Barney Kessel
  Piano, Celesta – Oscar Peterson
  Saxophone [Tenor] – Flip Phillips
  Trumpet – Charlie Shavers
  Vocals, Tap Dance – Fred Astaire

 この演奏に参加しているメンバーを見れば、まさに錚々たるジャズメンの集まりであるが、フレッド・アステアの唄となると、これが良いかどうかは聞く人の判断に任せる、というのがぼくのスタンスである。大きいジャケットは米国発売のオリジナル盤のものであり、小さいほうは日本発売のもの。

 

5)清水:Doxie (9:10)
・The Tubby Hayes Sextet Featuring Clark Terry And Eddie Costa – Tubby The Tenor
・Epic – LA 16023(release 1962)
・Recorded in New York City, October 3 & 4 1961
  Bass – George Duvivier
  Drums – Dave Bailey
  Piano – Horace Parlan
  Tenor Saxophone – Tubby Hayes
  Trumpet – Clark Terry
  Vibraphone – Eddie Costa

 タビー・ヘイズという英国出身のテナーマンは、ヨーロッパではフランス出身のバルネ・ウィランと人気を二分するハードバッパーであった。そういう彼の演奏はぼくの好みであり、彼のハードバップぶりを聞いてください。

 

 

 2018年最後の放送の収録を終えました。この番組が長く続くためには、興味を持って聞いてくださるリスナーの皆さんの支持が大切ですが、参加するものとしてはジャズに対する熱意を失わないことが大切です。やっている本人が面白いと思わなければ、リスナーには当然伝わりません。
 マスターのように毎月100枚近くのアルバムを手に入れるというわけには行きませんが、ぼくだってゼロということは避けたいと思っています。(今年は1年で100枚近く増えました)
  “名盤特集に出てこない名盤”や“耳タコ盤から迷走曲まで”と言われるアルバムを避けて、さっそく来年1月のジャズのメインストリーム盤を選曲しなくては!




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