|
今月の12日に梅原猛さんが93歳で亡くなられました。ぼくが会社に入社してすぐのころに、単なる興味で「仏像―心とかたち 上、下NHKブックス」という本を読んだときにこの人を知りました。梅原猛さんは京都大学の哲学科を卒業しておられます。ここで哲学と仏教思想を学ばれ、のちに「梅原日本学」と呼ばれる独自の世界を開拓されました。ぼくは特に仏教についていろいろと書かれた本を折に触れて読んできました。巨星落つという感じであるが、この人が書かれた本で読みたいと思っている本がまだまだたくさん残っています。今は「仏教の思想、全12巻、角川書店」(現在は角川ソフィア文庫に収録)にチャレンジしています。このシリーズの梅原さんの執筆部分をまとめたものが「仏教の思想 上、下、梅原猛、角川文庫」として出版されていますが、全体を理解する意味で全12巻に挑んでいます。それでは音楽に移りましょう。

1)神谷:Jordu (4:54)
・Clifford Brown Max Roach – Clifford Brown Max Roach
・EmArcy – MG 36036 (release 1955)
・Recorded August 3 & 6, 1954 and February 25, 1955
Bass – George Morrow
Drums – Max Roach
Piano – Richie Powell
Tenor Saxophone – Harold Land
Trumpet – Clifford Brown
EmArcy の Clifford Brown、 Max Roach双頭バンドの演奏はどのアルバムを選択してもみな素晴らしいと思うが、マスターの選んだこのアルバムのJorduという曲は、クリフォード・ブラウンのソロに焦点を絞った演奏で、彼のトランペットの美しいメロディラインと、ブリリアントな音色が楽しめる。

2)清水:Russian Lullaby (5:35)
・John Coltrane With Red Garland – Soultrane
・Prestige – 7142 (release 1958)
・Recorded in New York City; February 7, 1958
Bass – Paul Chambers
Drums – Art Taylor
Piano – Red Garland
Tenor Saxophone – John Coltrane
Soultraneというアルバムは、A面に入っているグッドベイトという曲がこの番組のテーマ曲となっているように、大変よく知られているが、意外とB面が聞かれるのが少ないと思う。今回はB面のロシアの子守歌という曲を聞いてもらうことにした。コルトレーンの高速フレーズによるシーツ・オブ・サウンドがたっぷりと聞ける。このアルバムとこの後録音したジャイアント・ステップスというアルバムあたりで彼のスタイルが確立したと言われている。

3)大橋:October (3:43)
・Gil Mellé Quintet / Sextet – New Faces – New Sounds
・Blue Note – BLP 5020 (release 1953)
・Recorded January 31
Bass – Clyde Lombardi
Drums – Joe Morello
Guitar – Tal Farlow
Tenor Saxophone – Gil Mellé
Trombone –X. Kentonite
大橋さんがGil Melléのこういったどちらかというと地味でマニアックなアルバムにどこから目を付けたのか不思議である。ブルーノートの10インチ盤というキーワードあたりで発掘したのか。こういうアルバムを紹介するときは、どういうかかわりでこれを持ってきたか熱く語ってもらえると理解しやすいのだが。ぼくにとっては演奏者としての彼のイメージは薄く、ブルーノートのアルフレッド・ライオンにルディ・バンゲルダーを紹介したエピソードだけが印象的である。

4)神谷:Jordu (8:48)
・Barney Wilen – Barney
・RCA – 430.053 (release 1960)
・Recorded live at the Club Saint-Germain, Paris, France on April 24 & 25, 1959
Bass – Paul Rovère
Drums – Daniel Humair
Piano – Duke Jordan
Tenor Saxophone – Barney Wilen
Trumpet – Kenny Dorham
今回のマスターは、本流を外さない王道の選曲をしてきたと思える。このBarney(バルネ)というアルバムは、ぼくも大好きなアルバムで、1959年パリのクラブ・サンジェルマンでのライブ録音である。Jorduという曲はゲスト出演したDuke Jordanが作曲した曲で、バルネのテナーも素晴らしいが、ジョーダンのピアノがそれにもまして素晴らしいと思う。どう素晴らしいかは曲を聞けばわかると思う。

5)清水:Katz' Meow (4:25)
・Tony Scott Quartet – Tony Scott Quartet
・Brunswick – BL 58056 (release 1954)
・Recorded 1953
Bass – Percy Heath
Clarinet – Tony Scott
Drums – Osie Johnson
Piano – Dick Katz
正直言ってクラリネットという楽器が、ジャズで華やかだったのはベニー・グッドマンが活躍したスイング時代までであった。モダンジャズの時代ではマイナーな楽器になってしまった。しかしトニー・スコットが演奏するクラリネットは、チャーリー・パーカーのバップスタイルの奏法で演奏している。

6)大橋:The Masquerade Is Over (5:50)
・Lou Donaldson – Blues Walk
・Blue Note – BLP 1593 (release 1958)
・Recorded on July 28, 1958
Alto Saxophone – Lou Donaldson
Bass – 'Peck' Morrison
Congas – Ray Barretto
Drums – Dave Bailey
Piano – Herman Foster
ブルーノートの1500番台のルー・ドナルドソンは、いかにもモダンジャズの王道を行くアルトの演奏者である。ブルーノートの1521番“A Night At Birdland, Volume 1”の第1曲目Split Kickでの火の出るようなルー・ドナルドソンのアルトのソロは、そのあと登場するクリフォード・ブラウンのトランペットと共に、ハードバップのライブの名演として長く語り継がれている。このThe Masquerade Is Overという曲も明るいラテン調のリズムに乗って、ドナルドソンのブリリアントなアルトが歌っている。

ぼくは今でもLPの中古レコードを買っており、その数はCDよりも圧倒的に多い。それと同時にあるきっかけでカセットテープとMDも聞くようになった。また昔ミュージックバードでPCMジャズ喫茶という番組があり、その50回分くらいの音源をDATで持っているので、DATも聞く。この中でLPとかカセットテープは再生用の製品がいまでも生産されているので、安心して聞けるが心配なのがDATとMDである。DATについては中古品しか市場になく、MDについては新品の生産は1社しかなく、中古品市場では再生装置としては問題ないが、録音機としては使えないものが多く、かつ修理も困難な状況にある。すべての音源をデジタルデータ化する手もあるが、ぼくとしては、アナログはアナログで、MDはMDデッキで再生して聞きたいと思っている。

