ジャズ・オーディオの雑記帳
 by 6041のS
「FMジャズ喫茶Pitch」2019年3月1-2週放送内容(2/18収録)(2019.2.25)

 収録日の1週間前に、お互いが使用したい音源のリストを持ち寄って、事前打ち合わせをしたところ、マスターから地元(刈谷市在住)のジャズミュージシャン、水野修平(作・編曲家、ピアニスト)さんがこの番組に顔を出したい希望があると言われ、本人にマスターが電話し、大橋さんとも話されて急遽ゲスト出演が決まりました。

 水野修平さんは、作・編曲家、ピアノの演奏家、名古屋音楽大学の講師など多彩な活躍をされ、多くのCD作品に名を連ねていますが、簡単な経歴を紹介します。 「1970年、愛知県刈谷市生まれ。中学生の頃から独学でジャズピアノを弾きだす。18歳の時、現在CUG jazz orchestraのリーダーでもある小濱安浩(tenor sax)と知り合いライブハウスを中心に演奏活動を始める。大学在学時に原朋直(tp)大坂昌彦(drs)クインテットをはじめとした多くのセッションに加わり数多くのレコーディングにも参加する。卒業後は、村田浩(tp)The Bop Bandにも加わり全国的なツアーも開始する。又、作・編曲家としてもCUG jazz orchestraを中心とし、宮間利之and New Hard Jazz Orchestraに作品を提供している。2001秋にはCUG jazz orchestraにてアメリカ西海岸ツアーを行い、特に自己の楽曲、編曲に対し高い評価を得る。2005夏、初のリーダーアルバムにしてソロ・ピアノ作品「レインボウタッチ」を発表する」(名古屋音楽大学の講師紹介欄より引用)
 当日は、水野修平さんの参加を前提に、今回マスターとぼくのそれぞれがたまたま選んだピアノトリオを1曲ずつかけ、あとは水野周辺さんの作品を紹介する、という進行で行こうと決めました。
 ぼくにとっては初対面で、まるきりぶっつけ本番で行くわけですが、ワクワク楽しみです。

 

1)神谷:Evidence (5:21)
・Thelonious Monk – Something In Blue
・Black Lion Records – BLP 30119 (release 1972)
・Recorded at Chappell Studios, London 15th November 1971
  Bass – Al McKibbon (tracks: A2, A4, B2, B4)
  Drums – Art Blakey (tracks: A2, A4, B2, B4)
  Piano – Thelonious Monk

 セロニアス・モンクの若い特は、ニューヨークのピアノコンクールに出場し、あちこちで優勝をかっさらい出禁の処置を受けたようである。しかしジャズ・ピアニストとして初めて彼の演奏に接すると、ヘタウマに聞こえる。ピアノの音数が少なく、独特のタイム間隔、不協和音のようなテンションコードの多様など、大変個性が強いからである。一度彼の描き出す世界にはまると、なかなか抜け出せない。

 

2)清水:Dear Old Stockholm (3:51)
・Bud Powell – Bud Powell In Paris
・Reprise Records – R-6098 (release 1963)
・Recorded in Paris, February, 1963
  Bass – Gilbert Rovere
  Drums – Carl Donnell "Kansas" Fields
  Piano – Bud Powell

 バド・パウエルの演奏には、聞き手を圧倒させてしまう超絶技巧の演奏と、少しテクニックは衰えたが、彼特有の叙情性に富んだ演奏とがある。このアルバムは後者に属するもので、フランスのパリでの録音である。パウエルという人は、ミントンズ・ハウス・クラブでハウス・ピアニストをしていたセロニアス・モンクによって高く評価され、チャーリー・パーカー、デジィ・ガレスピーと共にバップ・スタイルの確立に貢献した人である。

 

 

ここからは水野修平特集で、彼が持ち込んだCDより選択して、お届けします。

3)水野:シェルブールの雨傘 Les Parapluies
・なまえは まだ ない 1巻
・CUG records SPF-002
・2015年8月31日リリース
  水野修平 Solo Piano

 最初は、水野修平のソロ・ピアノを録音したアルバム「なまえは まだない 1、2巻」よりシェルブールの雨傘という曲をチョイスされ、ジャズなのに譜面通り演奏しているよとコメントがありました。どういうことだろうと演奏を聞いてみると、メロディ・ラインに対して対位法的に3声、4声のカウンターパートをつけて演奏されており、バッハのような雰囲気の演奏である。

 

4)水野:Nagoya castle (7:57)
・C.U.G.Jazz Orchestra 8th Album『Twenty Five and Counting!』
・CUG records RKCU-2614
・Recorded on March 26,27,28 2014
(SAX SECTION) Yasuhiro Kohama(leader / ts), Kaoru Tsubakida(as / ss), Atsushi Ikeda(as), Masanori Okazaki(ts), Yoshihiro Iwamochi(bs)
(TRUMPET SECTION) Tsutomu Watanabe(except9), Yasushi Mityamoto, Jay Thomas, Yoshiro Okazaki, Yuto Komatsu
(TROMBONE SECTION) Tomomi Taniguchi(except1,3,4,6,10), Hirotsugu Sakemoto, Donald Gibson, Akira Mizuno, Nana Sakamoto(except2,5,7), Yuichiro Etori(track2)
(RHYTHM SECTION) Shuhei Mizuno(pf), Go Shimada(b), Daisuke Kurata(ds)
(VOCAL) Maya Hatch(track6,10)
(KOTO) Tomoko Kihara(track2,10)

 CUGオーケストラは、テナーサックス奏者小濱安浩によって1989年に結成され、名古屋を中心に活動している。水野修平さんは設立当時よりこのバンドに参加され、作・編曲者としてこのバンドカラーの確立に寄与され、ピアニストとしても活躍されている。これまでに「C.U.G.Jazz Orchestra 001」「USE US」「ON THE ROAD」「GOINGON THE ROAD」「Takin' The Road」「Road to a Better Planet」「HOPE」「Twenty Five and Counting」「NOW!」9枚のアルバムをリリースしている。今日選択されたのがTwenty Five and Countingというアルバムの中よりNagoya castleという曲である。このバンドが名古屋市の観光大使に選ばれたということで、和のテイストを含んで水野さんが作曲され、Tomoko Kihara(koto),Jay Thomas(tp),Yasuhiro Kohama(ts),Daisuke Kurata(ds)の順にソロを取っている。

 

5)水野:Amame Otra Vez (2:41)
・AMAME OTRA VEZ / SONOKO
・FHMC-1802
・2017年2月20日・21日 スタジオ フルハウス(名古屋)にて録音
  Vocal : SONOKO
  Guitar : Sunao Wada
  Piano : Shuhei Mizuno

 水野さんの3曲目は、和田直さんのギターとSONOKOさんのヴォーカルといった異色の組み合わせのアルバムよりAmame Otra Vez(スペイン語:もう一度愛して)という曲です。ここではピアノをバックにSONOKOさんが歌っています。

 

 

 水野修平さんというプロのジャズミュージシャンがゲストに加わっていただき、話の幅がぐっと広がり楽しい1時間でした。
 水野さんは“水野修平ビッグバンド”というのを立ち上げてご自分の作品のみを演奏するという、特徴ある活動をされています。この放送がオンエアーされる3月2日(土)には金山のジャズライブハウス、ケニーズで公演されます。
 またもう一つの活動の場であるCUGオーケストラは3月30日(土)に名古屋市の能楽堂での公演が決まっています。ご興味のある方はぜひ足を運んでください。




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