ジャズ・オーディオの雑記帳
 by 6041のS
「FMジャズ喫茶Pitch」2019年3月3-4週放送内容(2/18収録)(2019.3.9)

 先回は特別ゲストとして、ジャズ・ピアニストで作・編曲家の水野修平さんが参加され、セロニアス・モンクやバド・パウエルの演奏に対して、さすがプロと思わせる色々と深い話をしていただき、ぼくも楽しませていただきました。番組の後半では、ご自分が作・編曲、演奏にかかわったCDをお持ちいただいて3曲ばかり披露されましたが、正直言ってあれを聞いても演奏の幅が広すぎて、水野修平さんがどういうジャズを演奏する方かイメージするのは難しいと思います。事実色々な顔を持ってみえます。ソロピアニストとして、CUGオーケストラのピアニスト兼の作・編曲家として、大坂昌彦クインテットのピアニストまた水野修平オーケストラのリーダーなど、色々な顔があり、興味のある方は是非色々と聞いてみてください。

 

1)神谷:Donna Lee (2:46)
・Sadao Watanabe – Bird Of Paradise
・Flying Disk – VIJ-6017 (release 1979)
・Recorded May 4, 19
  Alto Saxophone – Sadao Watanabe
  Bass – Ron Carter
  Drums – Anthony Williams
  Piano – Hank Jones

 マスターが、渡辺貞夫がグレイト・ジャズ・トリオをバックにチャーリー・パーカーのドナリーを演奏しているBird Of Paradise を持ってきました。この曲の速いパッセージをナベサダがどう演奏するかが聞きどころです。この曲は演奏者の技量が問われる曲です。

 

2)清水:Four In One (6:06)
・Steve Lacy – Reflections (Steve Lacy plays Thelonius Monk)
・New Jazz – NJ 8206 (release 1959)
・Recorded in Hackensack, NJ on October 17, 1958
  Bass – Buell Neidlinger
  Drums – Elvin Jones
  Piano – Mal Waldron
  Soprano Saxophone – Steve Lacy

 Steve Lacyという人はSidney Bechetに影響されてソプラノ・サックスを取り上げ、ニューオリンズスタイルのジャズから始めたが、セシル・テイラーのバンドに参加しモダンジャズを演奏するようになり、中でもセロニアス・モンクの曲を取り上げて練習し、45曲をマスターし、その中の7曲を選んでこのアルバムを作ったと、自分で言っている。モンクの曲をモンク風に演奏するのは大変難しいが、レイシーはしっかりとこなしている。

 

 

3)大橋:Virgo (7:09)
・Wayne Shorter – Night Dreamer
・Blue Note – BLP 4173 (release 1964)
・Recorded on April 29, 1964
  Bass – Reginald Workman
  Drums – Elvin Jones
  Piano – McCoy Tyner
  Tenor Saxophone – Wayne Shorter
  Trumpet – Lee Morgan

 ウエイン・ショーターのモーダルといって良いテナー・サックスは自分では演奏に神秘性が必要だと言っているようだが、何かヌーボーとしているように聞こえてぼくは苦手である。彼がリーダーでないマイルスのバンドとかハービーのVSOPで演奏しているのは素晴らしいと思えるのだが、どうも彼がリーダーのアルバムはダメだ。

 

4)神谷:Duet (2:40 )
・Lester Bowie / Phillip Wilson – Duet
・Improvising Artists Inc. – IAI 37.38.54 (release 1978)
・Recorded on 19 January 1978 at Blue Rock Studio, NYC
  Percussion – Phillip Wilson
  Trumpet – Lester Bowie

 マスターが大好きなデュオ演奏のアルバムを持ってきた。それもレスター・ボウイとフィリップ・ウィルソンという前衛的な演奏者である。アルバムに収録されているのはたった3曲で、2曲は15分以上の長い演奏の曲である。ぼくは内心、心中穏やかでなかったがDuet(2:40)という短い曲でほっとした。聞いてみると少し短すぎて物足りなく、もう少し聞いていたい気持ちになったが、15分聴けるかどうか自信はない。

 

5)清水:You And The Night And The Music (7:04)
・Bill Evans – Interplay
・Riverside Records – RS 9445 (release 1962)
・Recorded at Nola Penthouse Studio, New York City on July 16-17, 1962
  Bass – Percy Heath
  Drums – Philly Joe Jones
  Guitar – Jim Hall
  Piano – Bill Evans
  Trumpet – Freddie Hubbard
  

 ビル・エヴァンスの演奏するYou And The Night And The Musicといえば、1958年にチェット・ベイカー名義のアルバムChetが浮かぶ。超スローなテンポでチェット・ベイカーのムーディなトランペットが大変印象的である。同じ日に同じリズム隊で録音したGreen Dolphin StreetというEvans名義のアルバムでYou And The Night And The Musicを演奏している。こちらはChetと打って変わって大変アップテンポで演奏し、特にドラマーのフィーリー・ジョー・ジョーンズが快調に飛ばしている。しかし、今日僕が持ってきたのは1962年のInterplayというアルバムに収められたYou And The Night And The Musicである。このアルバムはエヴァンスの提案で企画されたクインテット形式のアルバムで、彼が編曲をしてハードバップの演奏となっている。エヴァンスの演奏もブロックコードの多用を抑えたホーンライクな演奏で、ピアノトリオでの演奏とまた違った面を見せている。

 

 何がきっかけだったかはあまりはっきり覚えていないが、このFMジャズ喫茶Pitchという番組を初めてしばらく経った頃に、大橋さんから番組内容紹介のブログを書かないかと誘われ、最初は曲目のリスト作成くらいのつもりで書き始めた。番組もテーマを決めての企画とか色々あったが、いつの間にか現在のようにそれぞれが思いつくままにアルバムと演奏を紹介するスタイルとなった。ぼくの書き方も現在のような内容に落ち着いた。冒頭と最後に何か思いついたことをまとめて書き、曲紹介は取り留めもなく書くというスタイルである。
 これが書きやすいからである。しかしいくら書きやすいと言っても、何がしかこれを読んでいただける方がいるからには、少しは興味あることが書いてあったよと思っていただけると、ありがたい。と言っても当人はあまりそんなことを意識せずに能天気に思いつくままに書いているが。
 やはり、自由に、好きなようにやれるということが、結果として長続きすることなのか。そこには本人にそう思わせながら、うまくコントロールする大橋ナビゲーターの手腕が大切であろう。




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