ジャズ・オーディオの雑記帳
 by 6041のS
「FMジャズ喫茶Pitch」2019年4月1-2週放送内容(3/18収録)(2019.3.25)

 単純なことであるがぼくがジャズを聞くのは、聞いていてある種の心地よさを感じるからである。それはぼくの気分に対する活力であったり、共感であったり、慰めであったり、未知のものに対する発見であったりと、その時々で求めるものが変わることもあるが。
 そんな中でビル・エヴァンスの演奏は、ぼくを一時熱狂的な虜にしたものである。特にリバーサイド時代の内省的な演奏は、ぼくが昔抒情詩を書いていたころにはいつもぼくのそばで鳴っていた。その頃の演奏を彷彿とさせ、しのぐような演奏をするYou Must Believe In Springというアルバムから今日はスタートする。

 

1)大橋:Gary's Theme (4:23)
・Bill Evans – You Must Believe In Spring
・Warner Bros. Records – HS 3504 (release 1981)
・Recorded at Capitol Studios, Hollywood, CA, Aug. 23,24,25, 1977
  Bass – Eddie Gomez
  Drums – Eliot Zigmund
  Piano – Bill Evans

 先回の放送で、ぼくがビル・エヴァンスのInterplayというアルバムからYou And The Night And The Musicという曲を取り上げたところで放送が終了してしまった。次に予定していたのがこのアルバムだったので、大橋さんからぜひこの曲でスタートしたいと提案があった。

 

2)神谷:The Rake (6:06)
・Dizzy Reece – Star Bright
・Blue Note – BLP 4023 (release 1959)
・Recorded on November 19, 1959
  Bass – Paul Chambers
  Drums – Art Taylor
  Piano – Wynton Kelly
  Tenor Saxophone – Hank Mobley
  Trumpet – Dizzy Reece

 ディジー・リースは主に英国で活動しながら、米国のレーベルに録音を残しているが、米国ではあまり人気が出なかったようである。中域を使ったマイルドなトランペットであり、日本人好みの演奏をする。ちょうどピアニストのソニー・クラークのような存在であろうか。

 

 

3)清水:Jackie-ing (6:01)
・Thelonious Monk Quintet – 5 By Monk By 5
・Riverside Records – RLP 12-305 (release1959)
・Recorded in New York; June 1 and 2, 1959
  Bass – Sam Jones
  Cornet – Thad Jones
  Drums – Art Taylor
  Piano – Thelonious Monk
  Tenor Saxophone – Charlie Rouse

 セロニアス・モンクの演奏するピアノは、彼独特の間とリズム、和音の構成で成り立っており、到底他の演奏者がまねのできるものではない。ぼくはこの演奏に共感を覚える。そして不思議なことに、サド・ジョーンズのような名手でも、モンクと演奏するとモンクの音楽になってしまうのである。

 

4-1)大橋:Get Me To The Church On Time (4:21)
・Shelly Manne & His Friends – Modern Jazz Performances Of Songs From My Fair Lady
・Stereo Records – S7002 (release 1956)
・Recorded August 17, 1956 at Contemporary's Studio in Los Angeles, Stereo Records In Association With Contemporary Records,Black label with gold lettering
  Bass – Leroy Vinnegar
  Drums – Shelly Manne
  Piano – André Previn

 大橋さんがアンドレ・プレヴィンの演奏するジャズを持ってきた。彼が今年の2月末に89歳の生涯を閉じたのを記念してである。

 

4-2)大橋:Remind Me (3:58)
・Doris Day And Andre Previn With The Andre Previn Trio – Duet
・Columbia – CL 1752 (release 1962)
  Bass – Red Mitchell
  Drums – Frank Capp
  Piano [Uncredited] – André Previn

 1曲目はシェリー・マン名義のModern Jazz Performances Of Songs From My Fair LadyというアルバムよりGet Me To The Church On Timeという曲である。このアルバムはコンテンポラリ・レコードが最初に録音したステレオ盤で、演奏も素晴らしいが録音も特筆すべきものである。ぼくは特にレロイ・ヴィネガーの地を這うようなウォーキング・ベースが大好きである。そしてもう1曲ドリス・デイがピアノトリオをバックにうたったアルバムである。

 

5)神谷:Reets Neet (7:11)
・Phil Woods / Tommy Flanagan / Red Mitchell – Three For All
・Enja Records – 3081 (release 1981)
・Recorded at Sound Ideas Studio, New York City on January 6th and 7th, 1981
  Bass – Red Mitchell
  Clarinet, Alto Saxophone – Phil Woods
  Piano – Tommy Flanagan

 マスターが選曲したのはPhil Woods / Tommy Flanagan / Red Mitchell – Three For AllというアルバムよりReets Neetという曲である。中身的にはトリオの演奏ではあるがベースとアルト、ベースとピアノのデュオのように演奏される、マスター好みのめずらしい演奏である。

 

 今回大橋さんが取り上げたアンドレ・プレヴィンは、若いころはジャズのピアニストや映画音楽の作曲などで活躍したが、一般の人にはクラシック・オーケストラの指揮者としてのほうが良く知られているのではないか。大橋さんはここから発想を飛ばして、次回はクラシック界の有名ピアニストであるフリードリッヒ・グルダの演奏するジャズを取り上げる予定と言っている。
 “誰でも一度は耳にする名演”を取り上げるのが大橋さんの基本コンセプトであるが、こういった彼独特のユニークな企画も面白いと思うので、ぜひ知恵を絞ってまた何か別の発想のものを取り上げてください。




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