ジャズ・オーディオの雑記帳
 by 6041のS
「FMジャズ喫茶Pitch」2019年7月1-2週放送内容(6・17収録)(2019.6.22)

 もう何十年と、朝食に納豆を食べている。納豆を食べるときには薬味としてネギを使用する。使用するネギは葉ネギを使う。愛知県で最もよく使われるのは越津ネギだと思う。越津ネギの旬はなんといっても秋から冬である。夏ネギとしては少し硬い。そこでぼくは夏用の薬味ネギとしてはヤグラネギを育てて使っている。
 一般的なネギは春に左写真のようなネギ坊主が出来て種が取れるが、ヤグラネギはネギ坊主の代わりに右写真のように塔立ちした先に小葱が生えてくる。これが1段、2段とできるのがヤグラネギの由来であろう。このネギは冬になると地上部が枯れてしまい、春先に新しいネギが芽吹く。そして今時分から夏にかけて柔らかいネギに育つので、夏ネギとして最適である。なかなかアヴァンギャルドなねぎである。(こじつけか)
 今回はマスターの思いで深いAlbert Ayler ‎のSummertimeからスタートする。今回はFree Jazzというアルバムから音源を選択しているが、このアルバムの最初のタイトルはMy Name Is Albert Aylerである。

 

1)神谷:Summertime (9:00)
・Albert Ayler ‎– Free Jazz
・America Records ‎– 30 AM 6100 (release 1970)
・Recorded in Copenhagen, Denmark, on January 14, 1963 by the Danish Radio
  Bass – Niels-Henning Orsted Petersen
  Drums – Ronnie Gardiner
  Piano – Niels Bronsted
  Soprano Saxophone, Tenor Saxophone – Albert Ayler

 サマータイムという曲は「夏の暮らしは楽よ。魚は飛び跳ね、綿もすくすく育ってる。だから赤ちゃん、もう泣かないで」という子守歌である。この曲想にぴったりの歌はエラ&ルイが歌ったSummertimeではないかとぼくは思っている。ところがマスターが聞いたのはジャニス・ジョプリンの苦痛を絞り出すようなシャウトしたサマータイムが最初で、その後にこのアルバート・アイラ―のこれも肉声がシャウトするような演奏だそうだ。これでサマータイムが大好きになり、サマータイムの演奏や歌唱に出会うとCDに録音し、そのコレクションがCD20枚近くになっているということである。思いで深いアイラーのサマータイムを早速聞きましょう。アイラーのこの演奏が気に入った人は、このアルバムではこんな調子で他のスタンダード曲も演奏しているので聞いてみると良いでしょう。

 

2)清水:I Got Rhythm(B-3) (6:01)
・Paul Chambers ‎– Go
・Vee Jay Records ‎– VJLP 1014 (release 1959)
・Recorded 1959-2-2 (tracks A2 to B3) and 1959-2-3 (tack A1) at NYC
  Alto Saxophone – Julian "Cannonball" Adderley
  Bass – Paul Chambers
  Drums – Philly Joe Jones (tracks: A1), Jimmy Cobb (tracks: A2 to B3)
  Piano – Wynton Kelly
  Trumpet – Freddie Hubbard

 このアルバムのメンバーはFreddie Hubbardを除けばマイルスバンドのメンバーである。1959年というこの年にはマイルスはKind Of Blueというアルバムを発表し、マイルスを除いたメンバーでCannonball Adderley Quintet ‎– In Chicagoを製作と、乗りに乗っていた時期である。というわけで、キャノンボールをフューチャーした, Julie Ann という曲をお送りしますという予定であったが、用意した米国製のディスクのA面にB面用のラベルが、B面にA面用のラベルが貼ってあり、結果的にI Got Rhythmという曲になってしまったが、なかなかこれも捨てがたいので、この曲をお送りします。

 

3)大橋:Orgone (4:09)
・Miles Davis & Quincy Jones ‎– Live At Montreux
・Warner Bros. Records ‎– 9362-45221-1 (release 1993)
・Recorded live at the 25th Anniversary of the Montreux Jazz Festival on July 8, 1991

 大橋さんが例によってワーナーの音の良い”ジャズ・アナログ・プレミアム・コレクション”からMiles Davis & Quincy Jones ‎– Live At Montreuxというアルバムを持ってきた。このアルバムは確かに録音は良いが、ぼくが思うにはマイルスは手抜きをしているのではないかと思える。Orgoneという曲でもセカンド・トランペットのウォレス・ルーニーがかなりの部分を吹いていて、マイルスの出番はあまりないように思える。

 


4)神谷:Tea For Two (5:55)
・Thelonious Monk ‎– The Unique Thelonious Monk
・Riverside Records ‎– RLP 12-209
・Recorded In Hackensack, N.J.; March 17 and April 3, 1956
  Bass – Oscar Pettiford
  Drums – Art Blakey
  Piano – Thelonious Monk

 アルバムジャケットに切手の絵を使用した、切手のモンクとして有名なモンクの名盤であるが、オリジナルジャケットはマスターが持ってきたこのアルバムである。ここではスタンダード曲をモンクがピアノ・トリオで演奏しており、どの曲を聞いてもモンクの個性的なピアノが楽しめる。

 

5)清水:Tin Tin Deo (6:44)
・Sonny Criss ‎– Saturday Morning
・Xanadu Records ‎– Xanadu 105 (release 1975)
・Recorded at Wally Heider's Studio, Hollywood, California, March 1, 1975
  Alto Saxophone – Sonny Criss
  Bass – LeRoy Vinnegar
  Drums – Lenny McBrowne
  Piano – Barry Harris

 ソニー・クリスのアルバムについては、過去にぼくが2枚(I'll Catch The Sun、Up Up And Away)、マスターが1枚(Out Of Nowhere)紹介しているが、今回もSaturday Morningというアルバムを紹介する。もちろんクリスの泣き節も健在であるが、ヴィネガーの重いウォーキングベースと切れの良いバリー・ハリスのピアノも素晴らしいと思う。

 

 マスターと大橋さんの前に並べてある5枚のジャケットは、今回マスターが使用したアルバート・アイラ―とセロニアス・モンクのアルバムのジャケット違い、もしくはジャケットとタイトルも異なるアルバムが並んでいる。演奏の内容が全く同じでも、ジャケットが違っていたり、録音が違っていると、必ずしもオリジナル盤でなくとも手が出てしまうことがある。コレクターの習性でもある。

 ぼくが今回Paul ChambersのGoというアルバムで、I Got Rhythmという曲を選曲したいきさつについては解説に書いておいたが、日本では不良品としてはねられてしまうようなものが、米国では堂々と売られている。①はSonny ClarkのCool Struttin’というアルバムのジャケットであるが、②のような裏焼きしたジャケットが売り出されたことがある。③はStan Getz & J.J. Johnson At The Opera Houseのステレオ盤で、ぼくの持っているのは④のようなManufactured By MGMのロゴの入ったVerve盤であるが、B面は3曲しか収録されていないのに4曲がジャケットにもラベルにも登録されている。日本で売られているモノラル盤の佐藤秀樹さんの解説にも、B面のYesterdaysはモノラル盤のみに収録された曲であると書いてある。

 この手の面白いジャケットはまだまだ色々とある。こういうのを集めて面白がっているのも、コレクターの習性であろうか。決して腹を立てては面白くない。




「時代小説」愛読の歴史(2019.6.23)

 歴史というほどのものでもないが、ぼくは時代小説をコンスタントに読んできた。古いところから作家の名前をあげると、吉川英治、山岡荘八・・・ここから名前を挙げだすときりがないので止めよう。間を飛んで、池波正太郎の剣客商売シリーズ、鬼平犯科帳シリーズ、藤沢周平の用心棒シリーズなどほとんどの小説。平岩弓枝の御宿かわせみシリーズときて、澤田ふじ子、北原亜以子、宇江佐真理、そして数年前までは佐伯泰英の数々のシリーズを読んできた。佐伯泰英さんより前は単行本で読んでいたが、彼は文庫本の書き下ろしシリーズを出していたので、文庫本中心で読むようになった。
 そしてこれらを卒業し、今年になって新しく読み始めたのが鳥羽亮、藤原緋沙子、上田秀人、鈴木英治、辻堂魁といった作家たちの時代小説である。どれも単品の話ではなくシリーズ化したもので、すべて文庫本で手に入り、中古で多く出回っているので簡単に、安く手に入る。

 ぼくが今年に入って今までの読んだ鳥羽亮さんと藤原緋沙子さんのものを挙げると、鳥羽亮さんでは「隠目付江戸日記 2/10(シリーズ10冊のうち2冊)」、「隠し目付江戸秘帳 3/6」、「剣客同心鬼隼人 6/7」、「八丁堀剣客同心 19/20」、「はぐれ長屋の用心棒 19/45」、「剣客春秋 11/11」、「八丁堀吟味帳 5/11」、「影目付仕置帳 6/6」といった調子で、藤原緋沙子さんでは「橋廻り同心・平七郎控 8/11」、「見届け人秋月伊織事件帳 5/7」、「隅田川御用帳 18/18」、「藍染袴お匙帖 11/11」、「渡り用人片桐弦一郎控 5/5」といった調子である。
 いずれの本も、事件が起こり、それを解決するための主人公たちの活躍を描いたものだ、しかもそこに登場するのは実在した人物ではなく、作者が描いた架空の主人公であり、池波正太郎の剣客商売シリーズや鬼平犯科帳シリーズと同じように気楽に楽しく読める。その中で鳥羽亮さんの小説は、本人に剣道の技量が備わっているようで、剣のやり取りの表現にかなり専門的な考察が表現されており興味深い。藤原緋沙子さんの方は、男女の心模様のようなものがテイストに加わっている。

 これとは別に上田秀人さんの「奥祐筆秘帳シリーズ」などは、小説の中に江戸時代の歴史上の人物が登場し、シリーズを通して時代の流れが表現されており、上記の二人とはまた違った趣の小説になっている。
 会社を定年退職して仕事をしていないとはいえ、農業の講師をし、自分でも野菜作りをして、孫とも遊び、音楽を聞いて、読書をするとなると、少々時間が足りないようであり、これだけ一度に時代小説にのめり込むと動きが取れなくなってきた。もうシリーズものすべてを読破するという気持ちはあきらめて、棚上げしておこうと思っている。




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