ジャズ・オーディオの雑記帳
 by 6041のS
「FMジャズ喫茶Pitch」2019年8月3-4週放送内容(7・29収録)(2019.8.5)

 ジャズは黒っぽくなければというのが口癖のマスターが、なんと今回アート・ペッパーとハーブ・ゲラーを持ってきた。ぼくにとっては好きな演奏であり大歓迎だが、やはり色々な演奏が放送される方が番組としては面白いような気がする。

 

1)神谷:Just Friends (5:21)
・Bill Watrous Quintet – Funk'n Fun
・Yupiteru Records – YJ25-7024 (release 1979)
・Recorded at Sage & Sound Los Angeles, California on 26, 27 arch 1979
  Alto Saxophone – Art Pepper
  Bass – Bob Magnason
  Drums – Carl Burnett
  Piano – Russ Freeman
  Trombone – Bill Watrous

 ビル・ワトラスのリーダー作であるが、メンバーを見るとアート・ペッパーのバンドにビル・ワトラスが客演したような配置で、事実アート・ペッパーが大活躍している。Just Friendsという曲もペッパーの得意なスタンダードである。このアルバムも今となってはなかなか入手の難しい1枚である。

 

2)清水:St.James Infirmary (6:36)
・Red Garland – When There Are Grey Skies
・Prestige – PRLP 7258 (release 1962)
・Recorded October 9, 1962
  Bass – Wendell Marshall
  Drums – Charlie Persip
  Piano – Red Garland

 セント・ジェームス病院という曲は、キャブ・キャロウェイの演奏と歌で知られたディキシー風の古いスタンダード曲であり、現代風の演奏になかなか出会わない。そんな中でレッド・ガーランドの演奏は曲の雰囲気を良くとらえた哀愁を帯びていて、ぼくの好きな演奏である。

 

3)大橋:I've Never Been In Love Before (4:18)
・Marty Paich – The Broadway Bit
・Warner Bros. Records – WS 1296 (release 1959)
・Recorded May 13th, 1959
  Alto Saxophone – Art Pepper
  Baritone Saxophone – Jimmy Giuffre
  Bass – Scott LaFaro
  Clarinet – Jimmy Giuffre
  Drums – Mel Lewis
  Piano, Conductor, Arranged By – Marty Paich
  Tenor Saxophone – Bill Perkins, Bob Enevoldsen
  Trombone – George Roberts
  Trumpet – Frank Beach, Stu Williamson
  Valve Trombone – Bob Enevoldsen
  Vibraphone – Victor Feldman

 有名なアート・ペッパーをフィーチャーしたマーティ・ペ一の通称「踊り子」というアルバム。踊り子が「ダウンビート」を読んでいるという凝ったジャケットである。このアルバムではアート・ペッパーとベースのスコット・ラファロの演奏が聴きどころである。通称「お風呂」と呼ばれるアルバムとこのアルバムは、録音の良いことでも知られているが、大橋さんの持ってきたこの盤はさらに磨きのかかった音となっている。

 

4)神谷:Alone Together (6:44)
・Herb Geller – Herb Geller Plays
・EmArcy – MG-36045 (release 1955)
・Tracks A1-A2 and B1-B2 recorded August 24, 1955, Tracks A3-A5 and B6 recorded August 9, 1954, Tracks A6 and B3-B5 recorded August 6, 1954
  Alto Saxophone – Herb Geller
  Double Bass – Curtis Counce
  Drums – Lawrence Marable
  Piano – Lorraine Geller

 ハーブ・ゲラーの演奏は、1954-55年にかけてのEmArcyへの録音が好きである。奥さんのロレイン・ゲラーとの共演がとても気に入っている。自分でもベニー・カーターを尊敬していると言っているようであるが、このAlone Togetherのような曲では、アート・ペッパーのような感じもあると思う。アルバムすべてを通して聴きたいと思う。

 

5)清水:Tea For Two (6:18)
・Charlie Mingus, Wally Cirillo, Teo Macero, John La Porta – Jazz Composers Workshop
・Savoy Records – MG 12059 (release 1956)
・A1-A4, B5 recorded in Hackensack, N.J. October 31, 1954, B1-B4 recorded in Hackensack, N.J. January 30, 1955
  Alto Saxophone – John LaPorta
  Baritone Saxophone, Tenor Saxophone – George Barrow
  Bass – Charlie Mingus
  Drums – Rudy Nichols
  Piano – Mal Waldron

 若きチャールス・ミンガスの演奏である。力強いミンガスのベースに合わせて、ジョージ・バロウのバリトンがとても気持ち良い。ミンガス版のエリントン・サウンドといったところか。

 

6)清水:Searchlight (7:00)
・Jaki Byard – Out Front!
・Prestige – PR 7397 (1975)
・Tracks A1, A2: Recorded May 28, 1964, Tracks A3, B1, B2: Recorded May 21, 1964, Track B3: Recorded March 14, 1961
  Bass – Bob Cranshaw
  Drums –Walter Perkins
  Piano – Jaki Byard
  Tenor Saxophone – Booker Ervin
  Trumpet – Richard Williams

 今回はあまり長い曲がかからなかったので、もう1曲ということで、ぼくが用意したジャッキー・バイヤードのアルバムOut Front!からSearchlightをお送りします。バイヤードのピアノと共にブッカー・アーヴィンのテナーが聞きどころと思います。

 

 先回大橋さんが持ってきたTony Fruscellaのアルバムについて、テナーのALLEN EAGERの話をしたが、この人は録音も少なく幻のテナーマンと言われている。というのも1940年代と50年代にあちこちのバンドで演奏したのち、ジャズをやめてレーサーとして活動したりしていて、また1980年代に一時期活動したという経歴のようである。
この人については、“original-jazzville/jojoのブログ”の2013年10月20日の記事にABOUT ALLEN EAGERという素晴らしい記事が載っているので、興味のある人は是非一読ください。
Tony Fruscellaのアルバムを筆者は“私の、アレン・イーガー開眼LP”と言っている。




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