ジャズ・オーディオの雑記帳
 by 6041のS
「FMジャズ喫茶Pitch」2019年9月1-2週放送内容(8.19収録)(2019.9.1)

 ブルーノートレコードの録音は、ある時期から録音技師ルディ・ヴァン・ゲルダーが一手に担当し、独特のブルーノート・サウンドというのを確立した。ひとことで言うと中音域の太くて押し出しの強いサウンドである。今回大橋さんが持ってきたブルーノートレコードのサウンドを聞くと、そのイメージと少し異なっており違和感を覚えた。高音域がスーと伸びていて、どちらかと言うと爽やかなサウンドになっている。確認すると、再生カートリッジにサテンのMCカートリッジM18Eを使用したそうである。サテンサウンドになっているのだ。以前マイルスのラウンドミッドナイトを聞いた時にマイルスの高音がとても澄んだ音で伸びていたので、質問したらやはりM18Eで再生したと聞いたことがある。あの時はぴったりと思ったが。

 

1)神谷:Avalon (3:05)
・Django Reinhardt – Django And His American Friends Vol. 1
・His Master's Voice – CLP 1890
・Recording Date; March 2, 1935 - April 5, 1938
  

 マスターの選んだAvalonという曲ではMichael Warlop And His OrchestraをバックにColeman Hawkinsがソロを取っているが、ここで強力なリズムギターを弾いているのがDjango Reinhardt である。ここではStéphane Grappelliがピアノを弾いている。やはりジャンゴのギターは聞いていて気持ち良い。

 

2)清水:Liza (5:05)
・The Ruby Braff / George Barnes Quartet
・Chiaroscuro Records – CR 121 (release 1973)
  Ruby Braff (tp)
  George Barnes (g)
  John Giuffrida (b)
  Wayne Wright (g)

 珍しい構成のカルテットである。リズム隊がギターとベースで、ソロがトランペットとギターである。ルビー・ブラフという人は中間派的な演奏をする人で、そこにギターのリズムとギターのソロが入るので、マスターが選んだジャンゴと雰囲気が似た演奏となっている。

 

3)大橋:With A Song In My Heart (7:54)
・Sonny Clark – Sonny's Crib
・Blue Note – BLP 1576 (release 1958)
・Recorded on September 1, 1957
  Bass – Paul Chambers
  Drums – Art Taylor
  Piano – Sonny Clark
  Tenor Saxophone – John Coltrane
  Trombone – Curtis Fuller
  Trumpet – Donald Byrd

 大橋さんが選んだブルーノートである。ソニークラークがリーダーとなっているが、3管編成でコルトレーン、カーティス・フラー、ドナルド・バードといった当時の錚々たる面々の演奏である。

 

4)神谷:Hi-Fly (5:37)
・Johnny Coles Quartet – The Warm Sound
・Epic – LA 16015 (release 1961)
・Recorded CBS April 10 1961 (tracks 1, 2) Other tracks recorded April 13,1961
  Bass – Peck Morrison
  Drums – Charlie Persip
  Piano – Kenny Drew
  Trumpet– Johnny Coles

 マスターが急遽選曲を予定していたECMのヤン・ガルバレクから変えたので、このジョニー・コールズというトランペッターについてはあまりよく知らない。音の特徴としてはケニー・ドーハム的な音域であるがタンギングが鋭く、音に切れは良いと思う。ヤン・ガルバレクであればノーコメントで行けたのに。

 

5)清水:This Can't Be Love (8:41)
・Stan Getz Meets Gerry Mulligan – Getz Meets Mulligan In HI-FI
・Verve Records – MG V-8249 (release 1957)
・Recorded at Los Angeles, CA, October 12, 1957
  Baritone Saxophone [A], Tenor Saxophone [B] – Stan Getz
  Bass – Ray Brown
  Drums – Stan Levey
  Piano – Lou Levy
  Tenor Saxophone [A], Baritone Saxophone [B] – Gerry Mulligan

 このLPは、A面はゲッツトマリガンが楽器を持ち替えて演奏しているのが面白いと言われているが、ぼくはB面の方が良い。この演奏を聞いていると、この二人は本当に歌心のある演奏をすると思う。

 

6)大橋:The Bridge (5:55)
・Sonny Rollins – The Bridge
・RCA Victor – LPM 2527 (release 1962)
・Recorded at RCA Victor's Studio B, New York City on January 30, 1962 (B2), February 13, 1962 (A2,A3,B3), February 14, 1962 (A1,B1)
  Bass – Bob Cranshaw
  Drums – Ben Riley, H. T. Saunders
  Guitar – Jim Hall

 ロリンズがスランプに陥り、ニューヨークの橋の上で練習をして再起を図り、最初に録音したアルバムが、このThe Bridgeというアルバムである。ロリンズの復帰後第一声というところか。

 

 トランペッターのジョニー・コールズの代表作と言えば、今回マスターが選んだEpicのThe Warm Soundというアルバムがあるが、それとは別にBlue NoteにLittle Johnny Cというアルバムがある。このアルバムの参加メンバーはJohnny Coles (tp), Leo Wright (as,fl), Joe Henderson (ts), Duke Pearson (p), Bob Cranshaw (b), Pete La Roca (tracks 4-6), Walter Perkins (tracks 1-3) (ds)といったところで、ブルーノートの錚々たるメンバーが集まっており一聴に値するアルバムである。




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