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「FMジャズ喫茶Pitch」の放送が始まったのが2016年の11月からです。ちょうど今月でまる3年になります。石の上にも3年と言いますが、その3年が過ぎようとしています。ありがたいことに、これだけ続けていると、ずっと聞いてくださるリスナーの皆さんもいらして、感想とか、ご意見を言って下さる方も見えます。放送局の方も続けてくださいと言う意向のようなので、当分続けようと3人の暗黙の了解になっていると思います。
第1回の放送の最初に選曲したのが、マスターはClark TerryのIn Orbit(これはピアノのMonkの魅力か)、ぼくがArt BlakeyのMoanin'(最初に聴きに行ったジャズのライブ)、大橋さんがBen WebsterのStardust(好きなヴィブラートの効いたテナー)だったと思います。やはり自分で聞いて何らかの感動があったものが、選曲できると皆さんにも伝わるのかなと思っています。

1)神谷:Riff Raff (6:53)
・Jack DeJohnette's Special Edition – Tin Can Alley
・ECM Records – ECM 1189
・Recorded live at Tonstudio Bauer, Ludwigsburg, September 1980
Baritone Saxophone, Alto Saxophone – John Purcell
Bass Clarinet, Flute, Tenor Saxophone – Chico Freeman
Double Bass, Cello – Peter Warren
Drums, Piano, Vocals – Jack DeJohnette
Jack DeJohnetteがSpecial Editionというチームを結成してECMでアルバムを何枚か作りました。ピアノレスのリズムに2テナーという編成で、このテナーのメンバーが時々交代しています。アフリカ音楽のようにリズムを強調した中で、テナーが自由に演奏しています。ぼくの想像するいつものECMとは違った骨のある演奏で、気に入っています。

2)清水:Ezz-thetic (8:57)
・George Russell Sextet – Ezz-thetics
・Riverside Records – RLP 9375 (release 1961)
・Recorded at Plaza Sound Studios in New York, May 8, 1961
Alto Saxophone – Eric Dolphy
Bass – Stephen Swallow
Drums – Joe Hunt
Piano – George Russell
Trombone – Dave Baker
Trumpet – Don Ellis
ジョージ・ラッセルのこのアルバムでは、B面3曲目の 'Round Midnight という曲が、Eric Dolphyの素晴らしい即興演奏が聴けて大変お薦めですが、それはマスターに譲ってぼくは冒頭のEzz-theticという曲をかけます。ここではDave Baker、Don Ellis、Eric Dolphyの順にソロを取ります。先の2人ともになかなか味のある演奏ですが、Dolphyがソロを取ると雰囲気が変わるほどそれが素晴らしいのが分かります。

3)大橋:Someday My Prince Will Come (3:09)
・Wynton Kelly – Someday My Prince Will Come
・VJ International – VJS 3038 (release 1977)
・Recorded at Bell Sound Studios, NYC Studio A; September 20-21, 1961
Bass – Paul Chambers (Sam Jones)
Drums –Jimmy Cobb (Philly Joe Jones)
Piano – Wynton Kelly
大橋さんがまたややこしいアルバムを持ってきました。Wynton Kellyが1959年から1961年にかけてVJに録音した音源からKelly Great、Kelly at Midnight、Wynton Kelly!といったアルバムが発売されました。その時の音源の別Takeや未発表音源を集めて1977年に発売されたのがSomeday My Prince Will Comeという、このアルバムです。

4)神谷:A Foggy Day (6:05)
・Ella Fitzgerald & Joe Pass – Take Love Easy
・Pablo Records – 2310 702 (release 1974)
・Recorded 1973
Joe Pass (g)
Ella Fitzgerald (vo)
エラがジョー・パスを相手にじっくりとラブバラードを歌う、といった感じのアルバムをマスターが持ってきました。この二人はこのアルバムを最初に4枚のアルバムを製作しています。このA Foggy Dayという曲を本当にスローにじっくりと歌っています。派手さはありませんが玄人受けする歌い方です。ぼくはこの曲のイメージは、フランク・シナトラの歌にあるので、もう少しアップテンポのほうがしっくりと来ます。

5)清水:I Hear A Rhapsody (6:00)
・Bennie Wallace – The Old Songs
・AudioQuest Music – AQ-LP1017
・Recording Date : January 18-20, 1993
Bass – Bill Huntington
Drums – Alvin Queen
Piano – Lou Levy (tracks: A-2, B-3)
Tenor Saxophone – Bennie Wallace
ぼくがBennie Wallaceに注目したのは、彼がTommy Flanagan と共演したThe Free Willというアルバムを聞いてからです。彼の豪快なテナーがアップテンポで演奏を始めると、ドルフィーがテナーを吹くとこうなるだろうかと想像させるようです。The Old Songsというアルバムでは、もう少しゆったりと豪快に、まるでロリンズのように演奏しています。

6)大橋:Lotus Blossom (4:38)
・Kenny Dorham – Quiet Kenny
・New Jazz – NJLP 8225 (release 1959)
・Recorded at Van Gelder Studios, Englewood Cliffs, New Jersey, November 13th 1959
Bass – Paul Chambers
Drums – Arthur Taylor
Piano – Tommy Flanagan
Trumpet – Kenny Dorham
Kenny Dorham のQuiet Kennyといえば、たいていのジャズ好きであれば一度は手にしたことのあるアルバムだと思います。メンバーも良いですね。ヴァン・ゲルダーの録音で気持ち良くLotus Blossomを聞きながらのお別れと行きましょうか。

今月のスナップ写真も先月に続いて、いつもの3人ではなくにぎやかになっています。3年も続けてきた「FMジャズ喫茶Pitch」の収録風景がどんなものか一目見て、応援しようとマスターの奥さん、近くにお住いの娘さん、お孫さんがご一緒されました。収録中はこのスタジオAを外から眺められたり、局内を見学されたり、お茶をされたりして、我々の収録が終わるまでマスターを待っておられました。たまたま終了時に娘さんとお孫さんが近くにおられましたので、お呼びしてスナップ写真に加わってもらいました。記念すべきスナップとなりました。

