ジャズ・オーディオの雑記帳
 by 6041のS
スタン・ゲッツのアルバムのカタログ作成(2020.2.6)

 ぼくは、以前から関心のある「ジャズマンのアルバムリストをこつこつと作成している。その中でスタン・ゲッツについて、以前(2008年2月)作成したものを今回全面改訂しました。どのように改定したかは、添付の図を見ながら説明します。①まず通し番号を付けてアルバムのタイトルとリーダー名を記入します。②次に発売レーベルと番号、発売日を記入します。③録音日と場所を記入します。④ジャケットを添付します。⑤クレジットされているメンバーを記入します。⑥曲目とわかれば録音されている時間を記入します。⑦最後に記入できればちょっとしたコメントを記入します。そしてアルバムの年代順に並べます。取り上げるアルバムはオリジナルの演奏が取り上げられているものに限定し、オムニバス盤のようなものは外します。参考にしたデータは、主にネット上のDiscogs.comとWikipediaです。今回は改定ということで、骨格はおおよそ出来上がっていたのです。
 では最初は取り上げるアルバムのリストをどうやって作成するか。それはスイングジャーナルとかジャズ批評といった雑誌や、ネット上のJazz Discography Projectなどが作成しているディスコグラフィーを参考にして決めています。ネットでよく参考にするのはAMG (All Music Guide to Jazz)やネット上でCDを販売している、HMV とかAmazon やVirginレコードなども検索してみます。このようにしてリストが完成すれば、①から⑦までの作業は根気仕事で、時間との勝負です。こういった作業は完成というのはありえないので、80%くらい出来たと思ったらそれでいったん終了です。
 今回はデータの欠落をなくすという意味でネット上のDiscogs.comとWikipediaのデータによって足りないところを補充し取り上げたアルバムについては100%を目指しました。
 では何故こんなことをしているのかというと、面白いからである。取り上げた演奏者の一生を、演奏を通して眺めてみると色々な事が理解できてくる。それから、世界には必ず一人や二人は同じようなことをやっている人がいて、そういう人たちが見えてくる。ひとの作ったものをそのまま利用するのも一つの手であるが、それではこういったことは見えてこない、面倒でも厄介なプロセスを自分でやることによって得られる物も有るのである。
 でも自分で作らなくても、マイルス・デイヴィスとビル・エヴァンスについては中山康樹さんが、ジョン・コルトレーンについては原田和典さんが書いた本で十分である。もちろん何万円も出せばもっと本格的なコレクターズ・アイテムの本も有るようであるが。今ぼくが手を染めているのは、アート・ペッパー、スタン・ゲッツ、ズート・シムズ、ブッカー・リトル、ローランド・カーク、スコット・ラファロの6人である。
 今回はスタン・ゲッツについて175枚のアルバムを取り上げて、このアルバムのデータについてほぼ完璧に調べた。ディスコグラフィーとあえて言わないのは、ゲッツのすべてのアルバムを取り上げたのではないからである。(その予定もない)

 

 

「FMジャズ喫茶Pitch」2020年2月3-4週放送内容(1.21収録)(2020.2.10)

 次の文はあるアルバムの曲を解説したライナーノートである。「(マイ・ファニー・ヴァレンタイン)テーマ後、テナーとピアノがチェイス風にソロを展開していくところが面白い。テナーに対してピアノのプレイがなかなか刺激的。ブラッシュに始まり、スティックに持ち替えて、後半部ではソロもとるドラムの切れ味の鋭さも印象的だ」演奏の展開の中での聞きどころを的確に指摘していて、そういう聞き方もあるのかと大変参考になります。でもこういう解説では、なんか評論家風で自分らしさがないなと思ってしまいます。もっと独断と偏見で良い悪いを言った方が、個人の見方が出てよいのかなとも思います。ジャズの曲について語るときに、どういったらよいのかあれこれ迷います。

 

1)大橋:Waiter, Make Mine Blues (3:24)
・Anita O'Day – Waiter, Make Mine Blues
・Verve Records – MG V-2145 (release 1961)
・Recorded August 1, October 4, 7, 1960 Los Angeles
  Guitar – Barney Kessel
  Saxophone, Flute – Bud Shank
  Russell Garcia & His Orchestra
  Vocal - Anita O'Day

 大橋さんが、ジャズヴォーカルの中で数少ないぼくのお気に入り、アニタ・オディを持ってきました。どうしたのかと聞いたら、真夏の世のジャズというドキュメンタリーでアニタを見てかっこいいと思ったそうです。確かあの映画では、彼女はレディーの雰囲気を漂わせてスィート・ジョージア・ブラウンとティ・フォー・トゥの2曲を歌っていたと思います。

 

2)神谷:Epistrophy(A-1) (17:52)
・Eric Dolphy / Misha Mengelberg / Jacques Schols / Han Bennink – Playing: Epistrophy, June 1, 1964 In Eindhoven, Holland
・Instant Composers Pool – ICP 015 (release 1974)
・A-1: Recorded in Eindhoven (De Poort van Kleef), Holland, June 1, 1964,
 B-1: Recorded in Amsterdam (Mengelberg's residence), Holland, June 6, 1972
  Bass – Jacques Schols (tracks: A-1)
  Clarinet – Eric Dolphy (tracks: A-1)
  Drums – Han Bennink (tracks: A-1)
  Piano – Misha Mengelberg (tracks: A-1, B-1)

 マスターがまたまためったに聞けないLPを持ってきました。ドルフィーがラスト・デイトの録音の前にリハーサル演奏しているのは記録したものです。ジャケットを見てもいかにも私家盤の雰囲気をたたえたもので、こういう曲はおそらくよほどのことがない限り聞くことはないでしょう。ドルフィー・コレクターの面目躍如です。

 

3)清水: I Got Rhythm (9:41)
・Sonny Stitt – Tune-Up!
・Cobblestone – CST 9013 (release 1972)
・Recorded February 8, 1972
  Alto Saxophone, Tenor Saxophone – Sonny Stitt
  Bass – Sam Jones
  Drums – Alan Dawson
  Piano – Barry Harris

 ソニー・スティットがパーカー風にバリバリ吹きまくる演奏を聞くのは大好きです。これはそんなスティットを代表するアルバムの1枚です。

 

4)神谷: O.C. (9:28)
・Charlie Haden – Closeness
・Horizon – SP-710, A&M Records – SP-710 (release 1976),
・Recorded March 18-21, 1976 in New York City
  Alto Saxophone – Ornette Coleman
  Bass – Charlie Haden

 チャーリー・ヘイデンというベーシストは、スコット・ラファロと同じく、ウォーキングベースだけでなく、他の楽器とインタープレイの得意なベーシストです。そんな彼がオーネット・コールマンとデュオで演奏した、いかにもマスターの好みの演奏です。

 

5)清水:Straight No Chaser (8:06)
・Al Haig, Peter King , Art Themen, Kenny Baldock, Allan Ganley – Be Bop Live
・Spotlite Records – SPJLP23 (release 1983)
・University College School, Hampstead, London, Thursday - May 27th, 1982
  Alto Saxophone – Peter King
  Bass – Kenny Baldock
  Drums – Allan Ganley
  Piano – Al Haig
  Soprano, Tenor Saxophone – Art Themen

 先回モンクのストレート・ノー・チェイサーというアルバムから、ジャパニーズ・フォークソング(荒城の月)をかけました。そんなことも有りタイトル曲をかけたいなと思い、アル・ヘイグを持ち出しました。彼は1982年の11月に亡くなったので、このアルバムは彼の無くなる半年前に英国のミュージシャンとライブ演奏したものです。アルバムタイトルがBe Bop Liveとあるように、ストレートなバップの演奏です。

 

 どうでも良い様なちょっとした話ですが、スタン・ゲッツのアルバムを整理していたらStan Getz Greatest Hits (Prestige PR 7337 USA release 1964)というLPアルバムが出てきた。これはどういうアルバムであったか思い出せないので収録曲を確認したら、Stan Getz Quartets (Prestige LP7002 USA release 1955)というゲッツの初期の名盤と内容が同じであった。ジャケット違いというのは時々あるが、同じ内容でタイトルまで変更されると同じものでも買ってしまう。念のためによく利用するネットで調べてみると、もう一枚Long Island Sound (New Jazz NJLP 8214 USA release 1959)というタイトルのアルバムも同じ内容である。55年、59年、64年と比較的近い年代でこういう風に発売したのには何かいわくがあるのでしょうか。不思議ですね。

まぁ、本当にどうでも良い様な話ですね。

 

 今回も先回と同じような顔をしてぼくが映っています。理由も同じです。でもむつっとしているよりも、みんなが笑顔のほうが良いですね。
 これからの番組の雰囲気もこうありたいですね。




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