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レッド・ガーランドと言えば1955年から1958年までマイルス・デイヴィスのレギュラー・グループに参加し、ベースのポール・チェンバース、ドラムスのフィーリー・ジョー・ジョーンズと共にオール・アメリカン・リズム・セクションと呼ばれ、カウント・ベイシーのそれを凌ぐとさえ評価された。当初マイルスが求めたピアニストはアーマッド・ジャマルと言われている。大きく間を取ってシングルトーンで歌うジャマルのピアノスタイルを求めたのである。採用したレッド・ガーランドにもマイルスはジャマルのようにやってくれと言っていたようである。

A)Surrey With The Fringe On Top 2:23
・Ahmad Jamal Trio – Ahmad Jamal At The Pershing
・Argo – LP-628 (release 1958)
・Recorded live at The Pershing Lounge, January 16, 1958
Bass – Israel Crosby
Drums – Vernell Fournier
Piano – Ahmad Jamal
この飾りのついた四輪馬車という曲のジャマルの演奏を聞くと、大きく間を取ってシングルトーンで歌うジャマルのピアノスタイルというのが分かってくると思う。マイルスはこういうスタイルのリズム隊を求めていたのである。

B)C-Jam Blues 8:21
・The Red Garland Trio – Groovy
・Prestige – 7113 (release 1957)
・Recorded December 14, 1956 - August 9, 1957
Bass – Paul Chambers
Drums – Arthur Taylor
Piano – Red Garland
レッド・ガーランドのピアノ・トリオはマイルスのリズム隊からドラムスがアート・テイラーに変わっている。彼はリズムをキープすることを重視して演奏するので、全体が落ち着いた感じになっている。左手でブロックコードを叩きながら、右手のシングルトーンでスイングする、ガーランドの演奏スタイルがよくわかる演奏となっている。

C)Surrey with the Fringe on Top 9:05
・The Miles Davis Quintet – Steamin' With The Miles Davis Quintet
・Prestige – 7200 (release 1961)
・Recorded May 11 and October 26, 1956
Bass – Paul Chambers
Drums – Philly Joe Jones
Piano – Red Garland
Tenor Saxophone – John Coltrane
Trumpet – Miles Davis
このマイルスの飾りのついた四輪馬車の演奏を聞くと、マイルスがジャマルの間の取り方を意識しているのが分かると思う。
ということでマイルスのリズム隊となって活躍したレッド・ガーランドであるが、その一方でレギュラーのピアノ・トリオを結成して演奏活動を行っていた。今回は彼のピアノ・トリオに焦点を当ててぼくの好きなアルバムと曲を紹介します。興味のある方はこれらの曲を聞いてみてください。

1)A Foggy Day 4:48
・The Red Garland Trio With Paul Chambers And Art Taylor – A Garland Of Red
・Prestige – PRLP 7064 (release 1956)
・Recorded in Hackensack, NJ; August 17, 1956
Bass – Paul Chambers
Drums – Arthur Taylor
Piano – Red Garland
レッド・ガーランドが自己のバンドで最初に録音した日が1956年の8月17日である。そしてこのアルバムである。このA Foggy Dayという曲の演奏を聞くと、ガーランドのピアノも良くスイングし、ポール・チェンバースのベースがぐいぐいとサポートし、ピアノ・トリオの代表のような演奏である。

2)If I Were A Bell 6:40
・Red Garland With Paul Chambers And Art Taylor – Red Garland's Piano
・Prestige – PRLP 7086 (release 1957)
・Recorded at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; March 22, 1957 and December 14, 1956
Bass – Paul Chambers
Drums – Art Taylor
Piano – Red Garland
この曲はマイルスも演奏しているが、ガーランドの演奏もそれに匹敵するリリカルな演奏である。

3)He's A Real Gone Guy 5:09
・Red Garland – Red In Bluesville
・Prestige – PRST-7157 (release 1959)
・Recorded April 17, 1959
Bass – Sam Jones
Drums – Arthur Taylor
Piano – Red Garland
こういうアップテンポの曲をドラムがブラシでチャッ、チャッ、チャッと刻んで、その上をガーランドのシングルトーンのピアノがスイングするというのは、たまらなく好きですね。サム・ジョーンズのベースも渋くて良いですね。

4)Bye Bye Blackbird 5:05
・Red Garland – Red Garland At The Prelude
・Prestige – 7170 (release 1959)
・Recorded October 2, 1959, New York
Bass – Jimmy Rowser
Drums – Specs Wright
Piano – Red Garland
このアルバムでバイ・バイ・ブラックバードという曲を取り上げるのが妥当かどうか、サテン・ドールとかア・フォギー・デイといった曲のほうが素晴らしいのではないかという声も上がるのではないか。しかしぼくはこの曲が好きなのだ。それもマイルスの演奏する曲で好きになった。マイルスのトランペットをピアノに置き換えたようなガーランドの演奏である。ただ、ベースとドラムスが変わったので、リズムがおとなしくなったような気がする。

5)St. James Infirmary 6:36
・Red Garland – When There Are Grey Skies
・Prestige – PR 7258 (release 1962)
・Recorded October 9, 1962
Bass – Wendell Marshall
Drums – Charlie Persip
Piano – Red Garland
このアルバムのセントジェームス病院という曲は、ガーランドの演奏の中でもぼくの最も好きな曲の一つである。ベースのウェンデル・マーシャルもドラムスのチャーリー・パーシップもバックにまわってガーランドの演奏を際立たせることに徹しているようで、ガーランドのリリカルな演奏が心にしみてくる。
レッド・ガーランドは1958年にマイルスのバンドを退団した後、主に自己のピアノ・トリオでもって1962年まで活動した後突然引退状態となった。1974年から再度活動を本格的に再開するが、彼の演奏スタイルは生涯にわたって変わることはなかった。
FMジャズ喫茶Pitchの放送でレッド・ガーランドの演奏は3回取り上げられました。2017年9月上旬に大橋さんがSoul JunctionというアルバムよりBirk’s Worksという曲を、同じく大橋さんが2017年12月下旬にRed Garland’s PianoというアルバムよりPlease Send Me Someone To Loveという曲を取り上げています。3回目は、ぼくがセントジェームス病院を取り上げています。

