ジャズ・オーディオの雑記帳
 by 6041のS
行動すれば良いことがある。(2020.7.15)

 コインランドリーのついでにハードオフに出かけ、クラシックのLPを入手し、久しぶりにクラシックの音楽を聞くきっかけとなりました。こういう時期ではあるが、外部との接触の機会を逃さずになんか行動していると良いことが起きるきっかけとなるようです。昔幸運をつかむには4つのパターンがあると、京大の先生に教えてもらったことがあります。①棚から牡丹餅、②犬も歩けば棒に当たる、③ガルバニ式、④セレンディプティの4つです。ぼくのような凡人は、犬棒式にうろうろと行動することが良いようです。
 ということで、思い立ってもう一度ハードオフに出かけ、日本コロンビアが発売したLPの残っている分を回収に行き6枚をゲットしてきました。これで先回の15枚と併せて21枚がそろいました。その中で日本コロンビア発売盤が14枚、その他が7枚です。14枚のうち録音がCBSの物が10枚、SUPURAPHONの物が3枚、日本コロンビアの物が1枚です。

 日本コロンビアの録音は、1963年にペーター・マークが来日した折に日本フィルと共演した、モーツァルトの交響曲「ジュピター」と第39番です。盤は1964年に初発売されたもので、2曲のリハーサル付の見開きジャケットの特典盤です。これにCBS盤は発売されたのか知りませんが、ぼくは持っていないので音の比較は出来ません。

 SUPURAPHONの中では1964年にイダ・ヘンデル(VN)、カレル・アンチェル指揮、チェコ・フィルで演奏したラロ作曲のスペイン交響曲が珍しいと思います。イダ・ヘンデルは鋭いテクニックと情熱的な表現が特徴の女性ヴァイオリニストであるが、録音嫌いということであまり多くの作品を残していない。しかしぼくの頭の中に彼女の名前が残っていたので、このLPを入手できたことは嬉しい。これも比較する音源は持っていない。
 ということでCBSの10枚であるが、この中にも珍しいものが有った。

 ①渡辺暁雄指揮、日本フィルの演奏のシベリウスの交響曲第3番と第6番である。これは1962年の録音で、世界初のステレオ録音によるシベリウス交響曲全集の中よりの分売であろう。意外であったのが、②オーマンディ指揮、フィラデルフィア管によるメンデルスゾーンの交響曲「イタリア」である。当然家にあると思っていたが、あちこち探してもなく、今回が初めての入手である。この調子では期待した音の比較は出来ないなと思い、次こそはとチェックしたのが、③アイザック・スターン、ジョージ・セル、コロンビア交によるモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番である。しかし、今回入手したものと、家で手持ちしているもののジャケットの絵を見比べて、思わずこれもダメかと思った。映っているスターンの年齢がとても同じには見えず、CBSのものは再録音したものと思えたからである。そこで書かれているライナーを見てみると、どちらも共演がジョージ・セルとコロンビア交となっている。なぜクリーヴランド菅でないだろうと思い、演奏時間を比べてみると両方がぴったし同じである。同じ録音なのである。今頃こんなことを詮索する人が出てくるとはレコード会社も思わなかったのであろう。
 ということで、さっそく両者の音の比較をしました。音を比較したり、録音の良し悪しを判断するときは、普段聞いている音量よりも少し大きめにすると判断しやすいので、そういうことが可能なタイミングでやってみました。やはり差があります。一番違うと思ったのはスターンのヴァイオリンの音の聞こえ方です。極端に言うと、日本コロンビアの音はコンサートホールの前列に座っているように聞こえ、CBSソニーの音はコンサートホールの中央の席に座っているように聞こえます。これはどちらが好きか好みの問題ですね。でもこんな差があるんですね。

 次は④オーマンディ指揮、フィラデルフィア管、シベリウスの交響曲第2番です。これはCBSソニーの手持ち盤が有りました。早速第1楽章の冒頭の部分を聴き比べて見る。この曲の冒頭に弦楽器の序奏があり、その後クラリネット、ファゴット、ホルン等による第1主題の提示が出てくる。これに対して日本コロンビア盤は、それぞれの管楽器の見通しの良い音作りとなっているが、反面やや平板に聞こえる。一方CBSソニー盤は、それぞれの楽器の音が非常にヴィヴィッドに聞こえ、ダイナミックである。どちらかというと日本コロンビア盤の音作りのほうが、ぼくの好みであることが多いが、この演奏の録音に関してはCBSソニー盤の方がぼくの好みである。
 

 おまけの話であるが、シベリウスの交響曲第2番の入ったCBSソニー盤(SONW 20027-8)は2枚組の物であり、もう片方にはシベリウスの交響曲第1番が収録されている。CBSソニー盤はカッティングの時期で音が大きく音が異なるというので、それを確認してみようと思った。取り出したのは、レコード番号がSOCT 16というアルバムである。シベリウスの交響曲第1番の第3楽章の出だしを比較して聞いてみると、SONW盤は第2番の交響曲と同じ傾向のダイナミックな音であるが、SOCT盤は音の傾向は同じであるが、さらにカッティングレベルを上げたような、ダイナミックでメリハリのあるサウンドとなっている。
 興味のない人にとっては、こんな話は重箱の隅をつつくようで、面白くもなんともない話であろうが、音の聴き比べという点で言えば、真空管アンプを使って、使用する球のブランドの違いによる、音の聴き比べを楽しむのと同じような面白さをぼくは感じている。
 こんな調子で残りのレコードについても聞いてみようと思っている。







盛り上がったオフ会(2020.7.18)

 我が家で毎月1回ジャズのオフ会を開いていましたが、コロナ対応で中止し様子を伺っていました。そして先月からまたスタートさせました。今月はいつもの参加メンバーのYタケさん、Iカワさん、Iベさんとぼくだけの4人でなく、グッド・ベイトのマスターが顔を出してくれました。さらに飛び入りで農業の用事で急遽訪れてくれたKさんも、何をやっているのかちらっと様子伺いをしていかれました。今回はマスターがジャズのLPを厳選して持ってこられたので、マスターのLPからスタートしました。それでは順番に紹介していきます。

1)マスター:Monoceros 1(21:30)
・演奏者:Evan Parker
・アルバム:Monoceros
・レーベル:Incus – INCUS 27

 マスターが色々考えてスタートに出してきたのが、あっと驚く(ぼくが)Evan Parkerの超前衛の曲です。それもソロで延々と21分30秒の演奏です。でもさすがに聞きどころだけを指定して7分くらいの集中で聞けました。この演奏であれば集中していれば、聞き手も演奏の中に引きずり込まれてEvan Parkerの世界に入っていくことが出来るなと思いました。

 

2)Yタケさん:St. James Infirmary (Gambler's Blues)(4:56)
・Louis Armstrong & His Orch.
・Satchmo Plays King Oliver
・Audio Fidelity – AFSD 5930

 Yタケさんはマスターが前衛の曲を選んでいるという情報を事前に仕入れて、コロッと趣向を変えるという意味で、クラシカルなジャズのレジェンドであるルイ・アームストロングの、これまた渋い名曲であるセントジェームス病院を出してきました。この曲については色々な歌手が歌っているが、サッチモの特に歌が絶品であろう。日本では浅川マキさんが歌っていた。ぼくはレッド・ガーランドのピアノ演奏も好きである。

 

3)Iベさん:Life's A Little Blue(6:53)
・Booker Little
・Booker Little
・Time Records – S/2011

 Iベさんはブッカー・リトルのBOOKER LITTLEという名盤を出してきました。Life's A Little Blueという曲では、ピアノがウイントン・ケリー、ベースがスコット・ラファロとブッカーのトランペット以外にも聞きどころ満載です。
 次はぼくの番ですが、その前に寄り道をしました。なんといってもマスターの前衛の印象が強く、マスターのジャズの聞き始めが、なんといってもアルバート・アイラーのサマータイムという話になり、聞きたいという声がかかりました。サマータイムについては、色々なジャズの演奏があり、それをコツコツとLPとかエアーチェックとか色々な音源より長年集めたのが相当あります。(150曲くらいか)そのリストを持ち出して、アイラ―の演奏を探していたら、飛び入りのKさんから八代亜紀も歌っているのかの声がかかり、八代亜紀の歌、アルバート・アイラー演奏を聞いていると、サマータイムはなんといってもジャニス・ジョプリンだよと言う声が出ました。ということでジャニスの歌とエラ・フィッツジェラルドの歌と併せてサマータイムの曲を4曲続けて聞いてしまいました。雰囲気としてはまだまだみんなの興味は尽きないところでしたが、ここで打ち切り、ぼくの選曲となりました。

 

4)清水:Split Kick(9:27)
・Art Blakey Quintet
・A Night At Birdland, Volume 1
・Blue Note – BLP-1521

 ぼくが出したのも大定番のアルバムです。ぼくのジャズ演奏の原体験に近いアルバムで、このライブの熱狂感を味わってほしいと、久しぶりにアンプのヴォリュームを12時まで上げて爆音で聞いてもらいました。といっても全曲ではなく、アルトのルー・ドナルドソンとトランペットのクリフォード・ブラウンのソロ演奏までです。ぼくひとりではなかなかここまで大きな音では聞きませんが、みんながいるので勇気百倍でかけました。
 次にまたマスターがセシル・テイラーのピアノソロを持ち出してきました。そしてシェイラ・ジョーダンのブルーノート盤、それに反応してぼくがエラ&ルイスのアルバム、そしてYタケさんのデーブ・リーブマン、Iベさんのコルトーレーンと次々演奏がかかりましたが、ぼくも話に夢中になりメモを取るのを止めました。ということでこんな調子で今回のオフ会はお開きとなりました。







ハイドンの弦楽四重奏曲 ニ長調「ひばり」(2020.7.21)

 ぼくはハイドンの弦楽四重奏曲ニ長調の「ひばり」が好きだ。といっても全曲を聞くことは殆どなく、ほとんどは第1楽章のみである。冒頭からの第1ヴァイオリンの、のどかなヒバリの歌声のような旋律と穏やかな雰囲気に、これを聞いていると自分の心も解放されたようになり、リラックスできるのである。そういう聞き方を求めているので、禁欲的な厳しい演奏よりも、旋律をのびのびと歌わせる演奏を好んで聞く。ということで一番よく手に取るのはイタリア弦楽四重奏団の演奏である。

★ハイドン/弦楽四重奏曲「ひばり」「セレナード」「5度」
・イタリア弦楽四重奏団
・FHILIPS 13PC-116
・1965年録音、1979年発売

 このレコードはぼくがハイドンの「ひばり」を聞いた最初の物である。演奏がゆったりとして、のびやかであり、録音も良いのですっかり気に入り、「ひばり」の演奏の入ったレコードを見ると逃さず入手したが、この演奏を超える好みのものはなかなか見つからなかった。
 ところがある時ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団の演奏に出会った。

 

★ハイドン/弦楽四重奏曲「セレナード」「ひばり」「皇帝」
・ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団
・Westminster MZ5044
・1953年録音、1970年発売

 ゆったりしたテンポで、やわらかく・優雅に演奏しており、イタリア弦楽四重奏団と同じようにぼくの好みの演奏であるが、録音が1953年と古くモノラル録音であり、音の奥行きをあまり感じず平板に聞こえた。ということであまり聞かなくなった。ところが最近同じ演奏のLPをもう1枚入手した。

 

★ハイドン/三大弦楽四重奏曲集「ひばり」「皇帝」「セレナード」
・ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団
・Westminster SH5238
・1953年録音、1966年発売

 このアルバムが1953年録音の同じ音源なのにステレオで発売されていました。当然疑似ステレオです。だから音の低位という意味でチェックすると楽器の輪郭があいまいで、これぞ疑似ステレオという感じですが、音のヴィヴィッドさという点で言うと、モノラル盤よりもぼくには音が生き生きと聞こえます。ステレオというより鮮度の良いモノラルの音と割り切って聞くと、イタリア弦楽四重奏団の演奏と同じように感動的に聞けます。自分の耳にバイアスをかけるということですが、心地よければよいと割り切って楽しむことにしています。
 同じ音源の音の違いについて、こういった形で発見があり、楽しむこともできることが分かりました。




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