第12回 グッドマンスピーカーの音と英国ヴィンテージスピーカー
SUNVALLEY AUDIOさんのコラムでの私の情報の発信の場として紹介させて頂いておりますが今回はグッドマンスピーカーと私が愛蔵しています英国ヴィンテージスピーカーの全容を写真付きで公開したいと思います。写真撮影とそれに付随する文面は素人です。その辺はご考慮をお願いしたいのと音に関しては私個人の主観ですから参考程度にしてください。
最近入手した非常に珍しいスピーカー、このスピーカーに見憶えのある方は長くオーディオに携わった諸先輩の方と存じます。名前は○○製で12インチです、英国ヴィンテージスピーカー(パートⅡ)で詳しくご紹介させて頂きます。
グッドマンを鳴らす真空管アンプ
グッドマン3Wayを鳴らすには現代の半導体アンプでは鳴らない、このようなヴィンテージスピーカーは真空管アンプで駆動するのがベストである。このスピーカーに合わせて試作した出力管はチェコで生産されていたKRのPX-25ナス管を清水の舞台から飛び降りる気持で大奮発して購入したのはよいがこのPX-25は古典球ではなく現代の技術で製作されたらしいから鳴らすまでは未知数である。
いよいよグッドマン3Wayシステムのユニットを実装しました、ネットワークは予め製作しておきましたのでスピーカーシステムは完成、さぁ?英国のスピーカーはどんな音色と音質なのか未体験ゾーンに突入であるが試聴する音源は安物のCDプレーヤーで出力をダイレクトにメインアンプに接続しての試聴方法です。
スピーカーは自分の個性が主張できる
オーディオの音に関してはあくまで個人の主観になります。言葉や文章で色々書いても読まれた方は想像だけで終わってしまう、過去の名器でもひどい音の出し方を聴けばそれがそのスピーカーの能力と判断してしまえば大変残念なことになります。セッティングもデタラメでボックスも簡易型でアンプなら何でも良いではスピーカーが惨めになるだけでこの辺を弁えないと違った評価になってしまう、今まで色んなマニアの能書きを聞かされて耳にタコが出来たがよ~く話を聞いていくと単なる個人の主義主張にしかならない、世のオーディオマニアは能書きは一流、音は三流になっているのが多い、もっと素直な気持ちになれば音も素直な音になるのにと思うこともある。オーディオの世界は不思議なもので20年30年経っても良い音がでなければ死ぬまで出ないと思う、どこかで方向を転換すれば道が開けるはずだが・・・・良い音を出そうと思ったら耳より性格を治す事と言いたい、(これは私にも言える)
又スピーカーに限らずオーディオもそうだが他人まかせの評価を鵜呑みにせずにじっくり聴きこんで決めないと必ず後悔する。
グッドマンスピーカーの音
グッドマンスピーカーとアンプを接続して少しづつ音量を上げてみる、出てきた音は言葉では言い表わせない音である。アメリカのスピーカーとはまったく違う音である、一言で言うと地味な多少暗さを伴った響きで個性の強い音色でもある。ホーンスピーカーなのにホーン臭さがなくアルテックのA5、A7とは明らかに音作りが違う、この答えではグッドマンスピーカーは理解できない、ここで比較対照できるスピーカーがなければ答えにならない、
皆さんがお持ちのタンノイスピーカーと比較してみた、比較対照は私の友人が愛用しているタンノイのオートグラフで内蔵ユニットはモニターシルバーである、勿論部屋もアンプ違うから絶対的な評価ではないことを付けくわえさせていただきたい、
タンノイのモニターシルバーの音は上質な木作りのコンサートホールの響きでゆったりとして雰囲気を大切にした音、それに対してグッドマンは宮殿のホールで聴くエレガントな響きになる、タンノイもグッドマンも同じヴィンテージスピーカーである以上は音の傾向として似たような色感だ、どちらも優劣を付けられないレアなスピーカーでもある。タンノイもグッドマンも音の共通点は品位があり中域に厚みとコクをプラスした音になっている。(これが英国の伝統あるサウンドなのか?)現代のタンノイスピーカーはこれに多少繊細感がプラスされ上も下も伸ばした音になっているが人によっては中域がうすいと言う人もいる(この部分が日本人好みかも)音のコクとか味は少なめな感じで料理で言えば薄味的な印象と感じとれるがタンノイが好きなマニアなら気にもならない、タンノイもグッドマンも同じ英国製ですから極端には音の方向性は違わない、なぜだろう?ヴィンテージマニアにこの点を指摘したら「タンノイはグッドマンにOEMで作らせていたから似たような音」「タンノイもグッドマンも同じである」と言われる「やっぱり」昔も今も同じなのか、そう考えると必死にタンノイを探さなくてもグッドマンでも十分ではないか、
同じグッドマンでもAXIOM-80を聴いたことがあるが多少高域が煌びやかになるぐらいで大きな差はないが過去に聴いた記憶を紐解いてこちらの3Wayタイプと比較すると中音ホーンの抜けの良さや緻密さではAXIOM-80とは異なる音色です。
グッドマンはもう過去の古いスピーカーになってしまったが、今このスピーカーを聴くと現代のスピーカーとは見劣りは感じられないぐらい良いユニットなのだが一般的には手に入りにくいのとユニットを実装して音楽を楽しむマニアが減少したのも原因ではなかろうか、中古ショップに出ているグッドマンもあってもAXIOM-301か80ぐらいでその他のユニットはあまり見かけない、売れた本数が少なかったかも知れない、
VITAVOX,DU-120
VITAVOXと聞くと私以上の諸先輩はよくご存じですがこのスピーカーを知らない方に少し付け加えていただきます。VITAVOX(ヴァイタボックス)は戦前からある有名なスピーカーでロンドンウェスタン直系のスピーカーメーカーと聞いている。シアター用が専門ですが家庭用にも素晴らしいシステムも出していました、特に有名なのはVITAVOX191コーナーホーンとバイトンメィジャーがあります。191コーナーホーンはタンノイのオートグラフと二分するぐらい素晴らしいのが特徴で家具の調度品にはピッタリ当てはまるデザインでもあります。昔私がエレクトロボイスの3Wayでオーディオを楽しんだ時に京都のジャズ喫茶「ヤマトヤ」にこの191コーナーホーンが鎮座してあった、音は芳醇な響きで非常に奥ゆかしく鳴っていたのを記憶しています。この音を初めて聴いた時「オーディオは聴かせてくれる音」これこそ自分が求めていた音だったのかも知れません、その夢は30数年経っても忘れられないぐらい私に強烈なインパクトを与えてた、VITAVOXと聞くだけで私にとっては未体験な音に感じる不思議と謎の多いスピーカーである。今回ご紹介するDU-120はVITAVOXではコアキシャルスピーカーユニットでこのタイプ以外にDU-121もあるがこちらはフェライトのマグネットの2本しか発売されなかった、このスピーカーの詳細を少しご説明します。ユニットは多分1950年の後半から1960年の前半に発売されたものでマグネットは大型のアルニコマグネットを搭載、ツィーターは特殊なポリエステルフィルムの振動板になっておりツィーターの音だし部分はアルミのパンチングで保護されている。クロスオーバーは2000HZで低域側をカットせずにそのままスルーになっている、ネットワークはコンデンサー1本だけで高域のみのカットになっています。この時代の同軸はネットワークを使用せずにコンデンサーのみでのカットが結構ありましたが私に言わせればケチな方法と思う、本格的に使うならネットワークもアッティネーターも必要ではないだろうか、その点タンノイのユニットは高いだけあってしっかりしているがあのネットワークを収容してあるケースがプラモデルのイメージと重なるので少しマイナスだ、
ヴァイタボックス12インチのコアキシャルスピーカーでフレームをよ~く見ますとタンノイのモニターレッドによく似ています。マグネットは強力なアルニコマグネット
スピーカーユニットの中心にツィーターが飛び出している。ツィーターの振動板はポリエステルフィルムで珍しい振動板でもある。
マグネットカバーにVITAVOX-DU120のシールが貼ってある。スピーカーからの引出し線は私が一部改造した部分です。
ヴァイタボックスの音
グッドマンのウーファーを外してこのユニットを実装しての試聴になりました、
出てきた音は「何んだ!こりゃ~」こんなスピーカーの音は今まで聴いたことがない!ひどいのも限度がある、低音がまるでなく中高音はカミソリを振り回したような鋭い響きで音楽を聴くには耐えないスピーカーではないか、これがVITAVOXの音なのか!今回の購入は大失敗かも?言葉が出ない絶句である。昔はエレボイのスピーカーで苦汁を味わされて泣かされた経験が蘇ってきた、このスピーカーこそ名器ではなく迷器であるが考えようによっては良いスピーカーこそテクニックと苦労が必要ではないだろうか、上手く鳴らせば感動ものであるが今の時点では落胆の言葉がぴったりだ、
DU-120の改造
このスピーカーを宿らせるにはこのままの状態では不可能のなで大手術が必要だ、病院に行ってユニットに点滴を打てば治る問題ではない、手術をすればきっと当時の音が必ず宿るはずの気持ちで早速改造に取り組んだ、改造はこれに合わせたネットワークを自作するのとボックスを新たに特注で作ってもらう事、吸音材の量を調整しながら耳で確認する方法しかない、ボックスはグッドマンは米松合板を使用していたから今回はフィンランドバーチで作っていただくことに決定した、
改造後のVITAVOX.DU-120
ボックスが完成してユニットを取り付けて音だしで固唾を飲んでヴァイタの音を待った、出てきた音は最初に聴いた音とは似ても似つかない実に渋い音である。この時代のスピーカーの開発者は多分この世にはいないと思う、このスピーカーの本当の音などは私にもわからない、知っているのはスピーカーの開発者と当時携わった方だけだと思う、何十年も前のスピーカーに使用してあるカットオフ用のオイルコンデンサーははっきり言って塵である、オイルコンデンサーが当時の状態を維持しているはずはない、こんな塵コンデンサーでもオリジナル崇拝者は使っていると聞く、はっきり言って良い音を出す以前の問題では・・・・これはアンプにも言える、私に言わせればビンテージアンプもそうですが今の時代からすればパーツはすべて当時の状態ではないのにマニアはオリジナルを尊重している、これは一種の宗教のようなもので不思議なマニアが沢山いる、
グッドマンスピーカーとの比較
同じ英国の伝統あるスピーカーなのに音の傾向はずいぶんと違う、グッドマンはどちらかと言えばふくよかさが前面に出していたがこのヴァイタボックスはより古典的なドライな音色を持っているがボックスの材質も違えば容積も違うから「これがヴァイタの音だ!」とは断言できない、クレデンザ、HMV,ウェスタンと発展してきた音響技術の延長線上にあるような大変地味な音でかの有名な191コーナーホーンの音に似た奥ゆかしく暗い響きを伴っている、大橋氏が日記に書かれた「石作りの教会で聴く音」と表現されていますが的を得た答えだと思う、
最後にこのスピーカーの音の印象を大橋氏が店主日記で的確に表現されていますからこれを参考にして頂ければ幸いです。(2006年6月13日の第3試聴室現る?)の日記(店主日記は終了致しました。)です。
次回予定
次回はヴィンテージスピーカーのパートⅡを予定しています。その後に私の愛用しています真空管アンプをご紹介します。