スピーカー設計製作ログ
10cmユニット・バックロードホーンの改良

令和元年8月

 最初に製作した10cmユニット・バックロードホーンのAddHornは、開口角度を適切にするために、後で少し角度を狭めたこともあって予定より開口面積が小さくなってしまった。そして、この面積ではまだ効果が弱いと思った。そこで、開口面積をもう少し広げる改良を行なった。変更点は、開口面積を約20%増やすことで、これによって空振りを少しでも少なくすることを目指した。音道も6cm伸ばすことで開口角度は75度を維持した。これまでの経験上、開口角度を75度以上にすると、単なるバッフル板に近付くためにホーン効果が弱くなる傾向があったし、開口角度を75度以下に狭くすると癖が出やすくなると考えたからだ。もう少しAddHornの開口面積を大きくすることも考えたが、本体に比べてAddHorn部が大きくなり過ぎるのは実用的ではないし、デザイン的にもバランスが悪くなると思ったので、このサイズに留めることにした。

<改良前>

<改良後>

 この結果、最初のAddHorn開口面積はスロート面積の8倍であったのに対して、改良AddHornの開口面積はスロート面積の9.6倍に拡大した。この効果は低音の押し出しが良くなっている様に感じた。最初のAddHornの開口面積は18cmウ-ファー並みで、改良後は22cmウーファー並みということになる。
 10cmユニット用のバックロードホーンは、前回のレポートで書いたが、音道の平行面に吸音材を貼るのを省略したためか、完成状態で中音域に少し癖が出ていると感じた。そこで、BH本体開口部内の下面にカーペット材を置きタッカーステープルで固定した。この効果はかなり明確に出て、癖のある中音が抑えられ、相対的に低音域の音量が上がった様に感じる。この開口部の下面に吸音材を置く手法は長岡鉄男氏が著書で紹介されているが、確かに良い効果が得られると思った。10cmユニット用のバックロードホーンはこれで完成とした。

 <追記>
 BH本体開口部内の下面に吸音材を敷く方法は、自作の16cmユニットのBHでも少し癖が出ている気がしたので試してみた。そしてやはり癖を軽減する効果があると感じた。しかし、その16cmユニットのBHはもともと低域が十分出ていたので、吸音材を敷き過ぎると中音域が減衰し過ぎて相対的に低音量が増えてブーミーになると感じたので、吸音材を貼る面積を少し減らして、できるだけバランスが良くなる様に調節した。

<設計図7>FE108Σ16W1AD2 AddHorn部(改良)

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<設計データ7>108Σ16W1AD2 ホーン断面積

<設計データ8>FE108Σ16W1AD2 仕様表

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