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LEGO SPEAKER 第2報 ≪第1報 第3報≫ |
LEGOスピーカーの製作 第2報

測定の様子
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1. はじめに |
LEGOで製作したスピーカーは常に進化(変化?)を続けている。
2号機のヘッドユニットにフォステクスの10cmフルレンジFE-108EΣを載せたものを新たに製作し、置換した。スロートには試聴して1.6X1.6X12cmのチューブを挿入した。
この結果、バックロードホーンらしい豪快なサウンドに変化した。2号機に付いていたTBの10cmユニットW4-927SCはボックスを改造して6号機に載せた。こちらも10cmのおかげでスリム密閉らしからぬ豊かな低音がでてきた。(写真2)
しかし、エンクロージャの素材にLEGOを用いるとコストがかかる。LEGO代で5万も10万もかかっていたら誰も作らないだろう。そこで、手軽に製作できるコンパクトなシステムを8号機として製作することにした。今回はこの製作記である。
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2. 8号機の製作 |
ユニットは8cmフルレンジ DIY AUDIO SA/F80AMG とする。マグネシウムコーンの定評ユニットである。このエンクロージャにいくらくらいなら許せるだろうか?
手軽に作れる・・・目標は2万円以下としたい。LEGOはパーツで価格がまちまちだが、平均すると1個20円くらいか。したがって800個程度で1組作ればよさそうだ。
もともとLEGOでスピーカーシステムを製作したのは実験目的もあった。複雑な形状や変更が容易なためである。では、簡単なエンクロージャをわざわざコストのかかるLEGOで造るメリットはあるのか?
(1) 見た目の面白さ
言われなければLEGOと気が付かないだろう。デスクトップでも絵になる。
(2) LEGOスピーカーの音質
箱鳴りの無いLEGOエンクロージャのピュアな音。
(3) ヘッドユニット交換
今回のヘッドユニットを標準ボックスとしてシリーズ化しよう。
挿げ替えて楽しむことができる。
(4) 小型スピーカーの実験
小型こそチューニングが重要。バスレフのポート調整など自在である。
どこかの大学の音響研究室で実験用に採用してくれないかなあ。
(5) 発展性
パーツを買い足せばどんどん拡張できる。無限の面白さがある。
ということで設計にはいろう。
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2-1 コンセプトと設計 |
コンパクトデザインといえば形式はバスレフだろう。8cmユニットを最小のボックスH10 X W12 X D12(100X96X96mm)に収めてヘッドユニットとする。
ステレオイメージ創出のためにはこのボックスを浮かしたい。スピーカースタンドに乗せることが前提だから転倒安定性にも配慮したい。これらから、支柱にのせたワイングラス様のデザインとする。
ヘッドユニットの設計図面を図1、2に示す。それにしてもこのDIYのユニットはマグネットがでかい。ボックスは薄板ブロックで作らなければならないな。
もちろん、この形状になれば良いので、図は参考で個々のパーツは自由である。実際、製作したものは図面のとおりではない。図で「2-4」は2X4形状のブロックを示す。「P2-4」は3mm厚さの2X4プレート、「H1-2」は4mm穴つきのビームブロック、「T2-2」は化粧タイルである(ドア枠については後述)。化粧タイルはなくても良いが、見た目がまったく違う。あえてLEGOらしさを残すのも一考ではあるが。
図3にベース部分、図4に支柱を示す。支柱はできるだけ短くしたかったが、試聴でこの長さに決めた。見た目のバランスも重視している。
ベースの裏面にP2-2パーツにフェルトシールを貼った足を8個つける。
下部にポートを設けたリアバスレフである。図4の1-4パーツの継ぎ足しでポートのチューニングを行う。7号機のような外部ポートではないので調整は多少厄介である。
この設計でパーツを数えると表1になる。トータル880個。まあまあか。これにスピーカーユニット、接続端子(M4シャーシターミナル)、配線材、ボルト、ナット、吸音材などが必要となる。安価なスピーカーユニットを選べば2万円以下にできる。その場合も取り付け穴ピッチは同一な場合が多いので、このボックスのアレンジでいけるだろう。
完成写真を写真3、4に示す。デジカメを変えたので多少は良く撮れたかな?
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2-2 製作手順 |
・ユニット
それでは製作しよう。ユニットの固定はM3の長め(30mm)の6角穴付きボルトを用いる。ビームブロックは丈夫なABS樹脂とはいえプラスチックなので、強く締めこむと簡単に割れてしまう。ワッシャ、スプリングワッシャを通してダブルナットでゆるみ止めする。ボックスドライバーが便利である。(写真5)
・パーツの加工
このユニットはフランジが角型なので、固定枠に隙間が開いてしまう。このままではまずいので、ドア枠というパーツを2つに切り取り加工して目張りに用いる。写真6のようにニッパで簡単に加工できる。LEGOは加工なしでユニット固定できると前述したが刃物使ってごめんなさい。さらに、ビームパーツの角もユニットと干渉するので切取る。1個激しく加工してあるが、端子版との干渉のため。
・ユニットの固定
完成した固定枠を写真7、8に示す。ボルト止めする際、ブロックが緩んでくるので押さえながら行う。もともとブロックのピッチに無理やり固定するので歪が出るのである。端子版は上側が作業しやすい。(写真9、10)
・ターミナル
ビームブロックにターミナルを固定し、ケーブルを配線する。M4にぴったりの穴である。(写真11)
・ヘッドユニットの組み立て
底板にブロックとターミナルを付ける (写真12)。
ユニットの付いた固定枠を組み込み配線する (写真13~15)。
吸音材はお得意の活性炭一袋(写真16、17)。
完成したヘッドユニット(写真18、19)。
・ボディ部の組み立て
支柱はただの筒(写真20)。
ベースにポートを組み立てる。チューニング用のプレートはこのように付ける
(写真21,22)。足は8箇所。ちょっと多いが、ヘッドユニット固定時に上から押し付けるので(軽くたたき込むと良い)中央にも足が必要である(写真23)。
完成したボディ部(写真24)。
・ヘッドユニットを取り付けて完成!(写真25)
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2-3 試聴とチューニング |
早速試聴。このマグネシウムユニットはコーンのストロークが大きく、8cmなのに結構低音がでる。バスレフポートのチューニングプレートは無しでちょうど良かった。ポート長は約55mmである。小型ならではの豊かなステレオイメージ。高域はマグネシウムの明るさにキャラクターが感じられるが、個性的で面白いとも思える。
音は駆動するアンプで大きく変化する。持っているアンプをいろいろつなぎ変えて試聴した。アンプとの相性を探るのもまたとても面白い。やはり低能率の小型バスレフにはPP(プッシュプル)の多極管アンプが合う。SUNVALLEY AUDIOさんから以前購入して組み立てたVP-3488がベストであった(写真26)。
これならば発表できる。と、言うことでこの第2報を書いているのである。
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3. おわりに |
6号機から外したチタンコーンの8cmフルレンジTB W3-1231SHを使ってヘッドユニットを挿げ替え用に製作した。(ボディももう一組作ってしまった 写真27)。
このユニットは大変エレガントな音がする。ポートのチューニングプレートは3枚(ポート長約85mm)がベストバランスであった。夜中に小音量で楽しむには最高のシステムが完成した。
さて、9号機はどうするか?・・・
じつは、ずっと造ってみたいと思っている方式がある。
次はいよいよスパイラルホーンに挑戦する・・・予定。