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LEGO SPEAKER 第29報 ≪第28報 第30報≫ |
LEGOスピーカーの製作 第29報

バックロードホーン方式ミニスピーカー39号機
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1. はじめに |
バックロードホーンと言うと大型スピーカーシステムのイメージがある。
LEGOで造る場合、大型モデルはコスト、強度の点からも現実的でない。前回の38号機の成功に気を良くした筆者はバックロードホーンのさらにコンパクトなモデル、39号機を製作することにした。コンパクト化こそ技術の証。38号機はまだまだ大きい。驚くような低音をミニスピーカーシステムからひねり出してこそ魔法の技術なのである。
今回の素材はバスレフ方式の実験機、16号機(写真2)である。10cmフルレンジユニットを搭載したこのミニスピーカーシステムをほぼ同サイズでバックロードホーン化しようという試みである。
果たしてこのサイズで十分なホーンロードをかけることができるであろうか?
挑戦しがいがある・・・おもしろくなってきた。
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2. 39号機のコンセプト |
ミニバックロードホーンとして設計する39号機は38号機のいくつかの反省を踏まえて考える。まず、38号機は8cmフルレンジユニット搭載機としては大きい。エンクロージャサイズ(外形)が約8.6リットルもあって、LEGOスピーカーとしてはミドルサイズである。今回の素材となる16号機はバスレフモデルだが、約4.8リットルしかない。それでいて10cmフルレンジユニットを搭載している。(だが、低音域は十分とは言えない)
39号機はほぼこのサイズを踏襲したミニサイズとして10cmユニットを載せる事で駆動力をアップしようという考えである。
前報の図3を見ると、38号機の音道は水平に折りたたまれた水平ホーンタイプである。この構造はエンクロージャ強度が得やすいが、音道の壁がLEGOの2ピッチ分、すなわち16mmもあり内容積に無駄が多い。そこで、今回はホーン音道を垂直に折りたたむ垂直ホーンタイプとする。このようにすると、音道壁をプレートブロック3枚分の9.6mmに薄くすることができ、さらに、音道にジグザグの追加壁を設けることでコンパクトな体積で音道長を稼ぐ計画である。
さらに、38号機の製作経験から、バックロードホーンではスピーカーユニットの選択が極めて重要であることがわかったので、スピーカーユニットモジュールを規格化して多くの10cmフルレンジユニットを交換装着してパフォーマンスを比較研究することを考えている。
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3.構造設計 |
構造図(図1)を描いてみた。16号機の高さを32mm(4ピッチ)増やしたエンクロージャに約90cmの音道を押し込んでいる。外形体積は約5.8リットルで、さすがに16号機と同じではないが、それでも38号機と比較すると幅は同じで、高さは32mm、奥行きは58mm小型化している。これ以上の小型化は困難であろう。
音道長には90cm程度は欲しかったので、エンクロージャ内に3枚の垂直壁を設けて縦に音道を構成した。音道長を増やすためのジグザグ構造をスロート部分に用いたが、これは気流抵抗が増えるので効果については聴いてみなければわからない。やっかいなのはターミナルとスピーカーユニット間の配線であるが、ジグザグスロートを介して音道内を通すことにした。また、ホーン開口部には曲面のカーブブロックとタイルブロックを多用してなめらかに見た目良く仕上げている。
バックキャビティ容積はスピーカーユニットの背圧にも影響するが、それよりも大型マグネットのスピーカーユニットを収めるためには十分な奥行きが必要である。これは70mm確保し、約0.6リットルのバックキャビティに補強柱も設けてスピーカーユニットモジュールの固定を強化した。
音道の変化グラフ図2(スロート断面積で正規化した音道ポジションによる断面積の変化グラフ)を見ると38号機と同じような開口変化を音道長110cmから86cmに縮小した形状であることがわかる。この短縮によりホーンロードがかかりにくくなるかもしれない。
後ほどの章で詳しく述べるが、5種類の10cmフルレンジユニットを載せ変えて、結果的にスピーカーユニットにはPARC Audio のDCU-F121Kを選択した。この状態での基本仕様を以下に記す。
<39号機 基本仕様>(調整後)
・ 形式:バックロードホーン・ミニスピーカーシステム
・ 方式:バックロードホーン方式
・ 組み立て方法:ホリゾンタルタイプ(水平組み立て)
・ エンクロージャ方式:4段フォールディングCW垂直ホーンタイプ
・ 使用ユニット:PARC Audio DCU-F121K 10cmフルレンジケブラーコーン
・ 外形寸法:W128mm H256mm D176mm
・ ホーン音道長:約860mm
・ スロート断面積:15.4cm2
・ ホーン開口面積:84.5cm2(開口面積比 5.5倍)
・ バックキャビティ容積:約0.6リットル
・ ユニット最低共振周波数:70Hz
・ システムインピーダンス:6Ω
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4.製作過程 |
本機の全構成部品を写真3に示す。ミニスピーカーシステムであるが、複雑な音道を持つバックロードホーン方式のためLEGO部品の数は多い。
写真4はスピーカーユニットモジュールである。今回、唯一16号機から流用した部品だ。16号機に使われていたスピーカーユニットMarkAudioのCHR-70が付いている。アルミ・マグネシウムコーンの10cmフルレンジユニットである。このスピーカーユニットはプラスチックフレームだが意匠はカッコ良い。しかし、バックロードホーンに適しているかは実際に聴いてみないとわからない。今回はスピーカーユニットを交換する実験を行うので、このスピーカーユニットモジュールを2セット用意して交換を容易にした。10cmフルレンジユニットはスピーカーフレームや取り付け穴位置がほぼそろっているので、共用ができるのだ。
前方のフロントフレームを写真5に示す。このバックロードホーンでは大きなホーン開口部があるのでバッフルパネルがなく、フレームがそのまま前面をかねている。ホーン開口部とバックキャビティを形成する部品である。ワンポイントデザインとしてダークブルーのタイルブロックにエンブレムを入れてみた。バックロードホーンではバッフルパネルの面積が少ないのもメリットのひとつだ。
ミドルフレームを写真6示す。このパーツには中央にプレートブロック3枚によるパネルが入り、この前面3箇所に1ピッチ8mm、高さ9.6mmの仕切り板が付いており、スロート部分のジグザグの音道を構成する。下部にはホーン開口の一部がある。
リアフレームを写真7に示す。ターミナル取り付け用の穴の開いたプレートブロック3枚の板の周囲に1段のエッジを持つバスタブ構造で強度を得ている。しかし、音道壁による補強の得られた38号機と比較すると強度は少なく、たたくとボコボコいってしまうのが欠点。下部にはタイルブロックでホーン開口から見える部分を化粧した。
写真8はインナーパネルAである。表面にはホーン開口の一部が、裏面にはスロート部のジグザグ音道の仕切り板が3枚付いている。このパネルもバックキャビティを形成する。
インナーパネルBを写真9に示す。このパネルはプレートブロック3枚によるただの板で、リアフレームと音道の一部を形成する。
その他の部品を写真10に示す。バックキャビティ内の補強柱、ホーン開口部の部品、ターミナル、配線ケーブル、インシュレーターである。今回はバックキャビティがとても小さいので吸音材は用いない。
組み立てはリアフレームから行う(写真11)。ターミナルと配線ケーブルを接続し固定する。(写真12)
次にインナーパネルBをリアフレームに取り付ける(写真13)。上部に3ピッチ24mmの隙間が開くように注意する。(写真14)
ミドルフレームを完成したリアフレームに固定する(写真15)。ミドルフレームにはインナーパネルA、Bの入る溝がある。
写真16のように配線ケーブルを音道に通しながらミドルフレームを取り付ける。裏面にはターミナルがあるので、表面を下にしてしっかり固定する。
インナーパネルAを固定する(写真17)。ホーン下部に音道高調整用の部品も付ける。
ジグザグのスロート部分に配線ケーブルを上手に通して固定し、ケーブルをスロート入り口から出す。(写真18)
フロントフレームと補強柱を取り付ける(写真19)。これでエンクロージャ本体は組み上がる。写真ではわかりにくいが補強柱はスピーカーユニットモジュールにかかるように1ピッチずらして固定する。(写真20)
スピーカーユニットモジュールは容易に交換できる構造となっている(写真21)。配線したスピーカーユニットモジュールとインシュレーターを取り付けて組み立て完了である。(写真22)
裏面はターミナルのみとシンプルだ。(写真23)
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5. 評価と研究 |
(1)CHR-70
試聴ポジションに設置して音を聴いてみる(写真24)。・・・ホーンロードはかかっている。だが、サイズなりという感じで38号機ほどの迫力はない。10cmフルレンジユニットの駆動力に期待したのだが、このスピーカーユニットはバックロードホーン向きではないようで低音に力がない。たしかにこのスピーカーユニットはQ値も0.65と大きく、マグネットがあまり強力でないことがわかる。いつも低音域のチェックに利用している音楽があるのだが、ヴィブラートのような振動音になってしまった。このスピーカーユニットは十分な背圧をかけてダンプして使用するように設計されたものであると想像される。
前回と同じ問題である。バックロードホーンは好きなユニットをチョイスするわけにはいかないようだ。早速マグネットの強力なQ値の低いスピーカーユニットに交換しよう。
(2)FE108EΣ
FOSTEXのFE108EΣに交換してみた(写真25、26)。バックロードホーン専用の超強力スピーカーユニットである。マグネットが大きくQ値も0.3と極めて低い。しかし、残念ながらまったく低音が出ずにキンキンとうるさい音になってしまった。
このスピーカーユニットはもっと本格的な大容積のバックロードホーンで使わなければ真価を発揮しないようだ。十分なホーン容積の空気の重しが必要なのだ。これは解ってはいたことだが、あまりの破綻に驚いてしまった。
(3)DCU-F121W
PARC Audio DCU-F121W に入れ替え(写真27、28)。このスピーカーユニットのマグネットは大きいがQ値は0.5とそれほど低くない。実際はQ値だけで駆動力を評価するのは間違いで、機械系のダンプもあるので出力音圧レベルにも注目する必要がある。もちろんレベルが高いほうが駆動力も大きい。だが、このユニットは音圧レベル86.5dBでそれほど大きくはない。マグネットがとても大きいのでスピーカーユニットモジュールの奥行きを6mm前方に延長してバックキャビティを増加した。それでも中はマグネットでいっぱい。大きいことはうれしいことだが、これでは気流抵抗が心配である。
音は・・・小信号の再現性が良い。奏者の息遣いが、椅子のきしみ音が明瞭に聴き取れる。このCDにこんな音が入っていたのか?とびっくりさせられる。この高感度もバックロードホーンの利点の一つだ。
ウッドコーンのデザインも高級感がある。ただ、残念なのは駆動力がそれほどでもないので低音域が物足りない。それに振動性も生じている。
(4)DCU-F121A
PARCAudioの新作DCU-F121Aを入れてみた(写真29、30)。アルミ・マグネシウムコーンのフルレンジユニットである。後方に追加されたダブルマグネットが巨大でQ値は0.34、出力音圧レベルも89dBとこれは期待が持てる。ゴールドのセンターキャップのデザインも良く、精悍な印象となった。
音はどうか?・・・これはいい。低音域も出ており、高音域もきれい。歪み感が少ない。
ジェントルなイメージでレベルの高い音になった。問題であった低音域の振動もない。さすがに強大マグネットだ。
このコンパクトサイズでこれだけの低音域を再生できるとは・・・バックロードホーンと呼ぶにはあまりに小さく、本来のバックロードホーンの魅力は少ないのだろうが、この音は技術の成果であると言える。
これで39号機は完成なのか?・・・ひとつ気になる点がある。マグネットが巨大すぎてバックキャビティは少ないのだ。これではホーンの駆動に問題があるだろう。かといってバックキャビティを大きくするにはサイズアップが必要となる。どうしたものか?
(5)DCU-F121K
PARC Audio のDCU-F121Kに交換してみる(写真31、32)。マグネットサイズがDCU-F121Aの半分なのにQ値は0.35と十分に低く、出力音圧レベルも88dBと高い、軽量ケブラーコーンの優秀なユニットだ。これも期待が持てる。
音は?・・・これはすばらしい。低音がさらに充実し、バックロードホーンらしいダイナミズムが出てきた。低音域の振動性の問題もない。高音域も歪み感が少なく明るい表現である。バックキャビティに余裕ができてホーンの駆動力も上がったようで、このスピーカーユニットは39号機にベストマッチングだ。ようやく最適なユニットを見つけることができた。(写真33)
38号機と比較すると(写真34)38号機のスリムな黄色いデザインの効果もあり、10cmユニットを搭載している39号機の方が横幅は大きく見えるが、実際は同じ幅で高さ、奥行きともにコンパクトになり外形体積は約70%に小型化できた。しかし、残念ながら低音域のレスポンスは38号機の方がまだ良い。10cmスピーカーユニットを搭載しているのに、やはりエンクロージャサイズが必要なのだろうか?
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6. 追加報告と考察 |
先日、音を評価していただくために38号機を持参して大橋さんのご自宅を訪問した。そこで、バックロードホーンに適したスピーカーユニットとしてDIYAUDIOの8cmフルレンジスピーカーSA/F80AMGを紹介いただいた。このSA/F80AMGはバックロードホーンの既製品に採用例が多く、定評のあるスピーカーユニットである。実は私も何度か使用した経験があり、その実力は知っていた。その時の評価スピーカーユニットは現在ではタンデムドライブ方式29号機の内部ユニットとして利用している。今回の39号機は10cmフルレンジユニット搭載モデルと考えていたので候補に挙げていなかったのだが、早速入手して試して見ることにした。
(6)SA/F80AMG
DIY AUDIOの8cmフルレンジスピーカーSA/F80AMGを39号機に入れてみる。(写真35、36)
このスピーカーユニットはバックロードホーン用として定番のユニットであるが、Q値が0.8とかなり大きい。考えてみればこのでかいマグネットが非力なはずはないのであるが。
結果は・・・39号機から驚くような低音が出てきた。とても8cmフルレンジユニットとは思えない駆動力である。なるほど決定版というのもうなずける。
ただし、振動板は壮大にストロークしているので、大音量には弱いかもしれない。低音域で振動性も生じてしまった。駆動力に対して制動力が不足しているようである。そこで、バックキャビティを縮小して背圧をかけることにした。図3のように補強柱部分をバックキャビティの壁にして内容積を0.4リットルに少なくしたのだ。これは大変効果的で振動性が減少した。さらに、パワーアンプを適切に選択することで振動性の問題を解決することができた。
6種類のスピーカーユニットを39号機のミニバックロードホーンに試してみたのであるが、結果を簡単に考察して見たい。表1に今回使用したスピーカーユニットの主要仕様を示す。(一部不明の仕様あり)
前報でも記したがこの表でバックロードホーンに重要な項目は下記である。
・出力音圧レベル:能率が高いほうが駆動力も大きい
・最低共振周波数 fo:低いほうが好ましいが実動作上は変化する
・マグネット強度・巻線長:マグネットが強力な方が適している
・振動板質量 Mms:軽量な方が小信号の感度が高い
・最大振幅 X-max:リニアリティのある大振幅がほしい
・総合共振先鋭度 Qts:小さいほうが制動力は大きく振動性を抑えられる
・電気的共振先鋭度 Qes:上のQtsよりもこちらの電気的特性の方が重要
CHR-70はマグネットの大きさも小さく、強度も小さい。このためQesが大きく振動性になってしまったこともうなずける。やはりバックロードホーン向きのスピーカーユニットではない。ただし、X-maxが大きいことは特筆に値する。バスレフ方式で真価を発揮しそうだ。
FE108EΣはマグネットが強力でQesが小さく、バックロードホーン向きのスピーカーユニットであることがわかる。また、振動板質量が軽いのも良い。しかし、X-maxが小さいことが気になる。測定方法が異なるのかもしれないが、十分にホーンロードをかけて振幅を抑制して使用しなければならないようだ。39号機のような極めて小さなホーンでは相性は最悪なのだろう。
DCU-F121Wは振動板質量に対してマグネットが弱い感じで、この巨大なマグネットは実は今回唯一の防磁型構造のためである。実際のマグネットはもっと小さいと考えられる。このためQesも大きく振動性となってしまった。
DCU-F121Aはマグネットが巨大で、強度も大きく、Qesも十分に小さい。今回最も期待したスピーカーユニットである。しかし、巨大すぎるマグネットの体積でバックキャビティがいっぱいになり、気流抵抗の増加と背圧の発生のために不利ではないかと考えている。もっと大型のシステムにマッチしたスピーカーユニットであると言える。
DCU-F121Kはマグネット体積がDCU-F121Aの半分であり、それでいて十分なマグネット強度と低いQesを備えている。実際、低音域のレスポンスも良かった。高音域にはケブラーコーン特有の音調が感じられたのは残念であるが、これはエージングで解消するかもしれない。デザインも高級感があり、今回の10cmフルレンジユニットとしてはベストチョイスと考えた。
驚くべきは8cmフルレンジユニットのSA/F80AMGが、10cmフルレンジユニットよりも低音域のレスポンスが高く、振動性の問題は生じたがバックキャビティ容積を減少することで対策を行い、最終的に最も高いパフォーマンスを示したことである。さすがに8cm振動板は軽量だがQesは大きく、マグネットサイズの割には振動性の出やすいスピーカーユニットなのかもしれない。しかしながら、低音域の優れたレスポンスは、このスピーカーユニットがバックロードホーンでの駆動力を重視してウーハーのような設計がなされているのではないかと考えられる。
<パワーアンプの影響>
私は新作スピーカーシステムの評価には真空管パワーアンプVP-3488(5極管EL34プッシュプルアンプ)を使っている。十分な出力パワーと音質が気に入っているからであるが、出力インピーダンスは半導体パワーアンプの方がずっと低く、ダンピングファクタ的には不利であろう。今回のようなミニスピーカーで低音域を伸ばそうとするとパワーアンプに負担がかかる。本来、真空管パワーアンプはもっと大型の異なった思想で設計されたスピーカーシステム用であって、最近の小型スピーカーシステムは出力インピーダンスの十分に低い半導体パワーアンプで駆動することを前提に設計されていると言える。したがって、この39号機のスピーカーユニット交換による評価結果もパワーアンプの影響を強く受けていると考えられる。半導体パワーアンプで評価したら振動性の影響もなかったかもしれない。これは出力インピーダンスの低いパワーアンプではスピーカーユニットの逆起電力を吸収して余計な振動を制動するからだ。
しかし、私は真空管パワーアンプが、その音質が好きなのだ。だから、できるだけダンピングファクタの良いプッシュプル回路の高出力パワーアンプにて駆動することで問題を解決したいと考えている。また、負帰還による出力インピーダンスの低減も重要であろう。
スピーカーシステムに応じてパワーアンプも適切な選択が必要なのである。バックロードホーン方式ではこの必要性を強く感じた。
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7.まとめ |
今回は苦労もあったが、ユニット選択の重要性を再認識することができた。
ベテランの自作派先輩方にはあたりまえのことかもしれないが、こうして実践してみるとスピーカーユニットの支配力が如何に高いかがわかる。マグネットサイズやQ値だけでは判断できないユニットの設計思想が重要なのである。
38号機よりも30%も小型なこのミニサイズのLEGOスピーカーでこれほどの低音が出せるようになるとは・・・快挙である。
新たに導入したTRIODEのTRV-88SEで39号機を聴く。
KT88は私が最も好きなタマだ。このプッシュプルパワーアンプはパワフルでソリッドステートアンプ並みの駆動力でミニバックロードホーンシステムをガンガン鳴らす。それでいて潤いがあるのがいい。(写真38)
それにしてもSA/F80AMGを載せた39号機はすごい。こんなにコンパクトなのに低音の豊かなワイドレンジな音になっている。
・・・私は驚くようなこの音を魔法の技術で造りたかったのだ。
さて、次は第40号記念モデルだ。当然、方式はバックロードホーン。LEGOで造る以上、四角いハコである必要など無い。コンセプトは「必然のデザイン」である。
(2014.1.5)

TRV-88SEで39号機を聴く