キット屋コラム
アンプの選び方

 皆さん、こんにちは。「これから真空管アンプを始めてみよう」という方にも分かりやすくアンプ選びが出来るノウハウを何回かに分けて解説をしていきたいと思います。

まず真空管アンプには「シングルアンプ」(以下”シングル”)と「プッシュプルアンプ」(以下”PP”)という大きな2つのグループに分かれます。簡単に言えばシングルは

のように大きな真空管(「出力管」といいます)が2本,PPは

出力管が4本並んでいます。一般に出力管が多い方がパワーが大きいことはご理解いただけると思います。電気的な解説は別の機会に譲るとして、シングルは「球それぞれの音色(ねいろ)」をストレートに表現し、PPは「厚みと豊かな響き」を楽しむことが出来ます。

 次に真空管には「三極管」と「多極管」(ビーム管,五極管の総称)の二種類に大別できます。代表的なところでは三極管は「300B」,「2A3」,「845」、多極管では「KT88」,「EL34」,「6L6」等がよく知られています。単純にどちらが優れているということは決められませんが、分かりやすく表現すると”三極管は柔らかく拡がりのある音”、”多極管はトランジェント(音の立ち上がり)が俊敏で、エッジ(音の輪郭)が明晰な音”という事が出来ます。

 では具体的に検討していきたいと思います。お使いのスピーカーのカタログデータを確認してみて下さい。必ずどこかに「能率」(単位dB)が明示されています。最近はスピーカーの小型化に伴い、能率も低下傾向にあります。家庭内で一般的音量で音楽を楽しむのであれば、能率が88dB以上ある場合、出力8W以上のアンプであれば音量的に足らないということはありません。ただスピーカーが3ウェイ以上でウーハーが30cm以上の場合は、シングルではドライブしきれない場合もありますので、PPから選ぶことが基本となります。

余談になりますが、時々”私のスピーカーには40Wと書いてありますが、アンプも40W以上必要なのでしょうか”とご質問を頂くことがありますが、これは誤りです。スピーカーに記載されているW(ワット)はアンプの必要出力ではなく、スピーカー自体の耐入力ですので、アンプの出力とは基本的には無関係とお考え下さい。

 次週からはいよいよ

1.シングルかPPか
2.三極管か多極管か

この2つの分岐から皆さんに最適なアンプは何かを少しづつ紐解いていきたいと思います。再度先週のチャートをよくご覧いただき、それぞれのアンプ(品番)がシングルなのかPPなのか、三極管なのか多極管なのかを掴んでおいて頂くと非常に分かりやすいと思います。皆さんにとって最適なアンプ選びのお手伝いが出来れば幸いです。

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