皆さん、こんにちは。今回は先週に引き続き中~大型スピーカーと真空管アンプのマッチングについて考えてみたいと思います。基本的には
・口径が大きくなるほどスピーカーの能率は上がる(低出力で鳴らせる)
という電気的前提がある訳ですが、その一方で
・口径が大きくなるほどアンプに駆動力が求められる
という二律背反によってスピーカーシステムが大型化するほどアンプとの最適なマッチングが難しくなっていきます。真空管アンプファンの皆さんにとって永遠の課題であり、最も奥深い楽しさ感じられる部分でもあります。
一般的には口径25cm以上の中~大型のスピーカーシステム(能率88dB以上)を前提とした場合、
・フルレンジまたは同軸2ウェイ・・・シングル(推奨8W以上)でドライブ可
・2ウェイ・・・シングル(推奨8W以上)でドライブ可
・3ウェイ以上・・・PP(または15W以上のシングル)を推奨
が基本的な考え方となります。”Autograph MID”を例にとって考えますと
同軸2ウェイで口径25cmのスピーカーシステム(能率92dB)ですから、上記の分類からシングルアンプでも十分鳴らせることが分かります。特に三極管が音色的にお奨めです。しかしその一方で理解する必要があるのが、使用されているユニットが同じでもエンクロージャー(SPボックス)のチューニングによってアンプの選択も変わってくるということです。
例えば”Y-25ver.2" ですが、
このスピーカーは上記MIDと全く同じユニットを使用しながらエンクロージャーの設計(チューニング)が大きく異なり、箱の響きを抑え、締まった低域を出そうという思想のスピーカーですので基本的にPPが推奨されます。それも多極管のシャープな音のエッジ(縁取り感)が優れたマッチングを示します。
つまりスピーカーとアンプのマッチングは単に電気的整合だけではなく、ぞれぞれの個性を活かした組合せが必要であり、その選択によって再生音もかなり変化します。以前に書いたシングル/PP,三極管/多極管の特徴をもう一度読み返して頂きながら皆さんがお使いのスピーカーに最適なアンプは何か、ということをイメージすることも大変有意義です。
来週はアンプの形式(プリメインとセパレートアンプ)について考えてみたいと思います。