キット屋コラム
スピーカーと真空管アンプのマッチング(1)

 皆さん、こんにちは。先週までは真空管アンプの特徴を決定づける大きな要素である出力管の個性について基本的な内容を書かせて頂きました。今回からは「スピーカーと真空管アンプのマッチング」について数回に分けて考えてみたいと思います。

ひとことでスピーカーと言ってもサイズ(ユニット口径),形式も実にさまざまです。8cmのフルレンジと38cmの4ウェイシステムでは当然組み合わせるべきアンプも異なってくることは皆さんにも想像がつくと思います。

 8/5付コラムで書きましたが電気的にはスピーカーの能率と口径によって合わせられるべきアンプが決まってきますが、これはあくまで数値上の目安であって実際にはそれぞれのスピーカーとマッチするアンプは出力よりもシングル/PP,三極管/多極管という真空管あるいは回路に依存する割合の方が遥かに大きいのです。

例えば8cmフルレンジユニットとはとても思えないスケール感と低域の量感で人気の「Y-08」は比較的アンプの出力を必要とし、多極管PPが最も合うスピーカーです。

対して「mini825」は使用しているスピーカーユニットの個性もあり、むしろ小出力の三極管アンプがベストマッチです。2A3あるいは300Bシングルで少し手綱を緩めた鳴らし方が最も相応しいスピーカーと言えるでしょう。

このようにスピーカーと真空管アンプの組み合わせには無限ともいえる選択肢があり、これがこの趣味の楽しさでもある訳ですが、次回は20cmクラス以上のスピーカーに注目してアンプ選びをしてみたいと考えております。

今日は最後に300Bシングルアンプでタンノイ「オートグラフ」を鳴らされている宮城のHさんのシステムをご紹介させて頂きます。

先日お邪魔させて頂いた際に撮らせて頂いたスナップですが、フォノイコライザ:SV-310EQ,プリアンプ:SV-310,パワーアンプ:SV-91B/LM91Aという構成です。パワーアンプの出力はいずれも10W程度ですが、実に朗々と鳴り響くアナログレコードの音を楽しまれていました。
大型スピーカーはPPで鳴らすのが一般的ですが、300Bシングルならではの美しい音が大変印象的でした。

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