by Y下 
第24回 伝説の名ユニットと男たちのロマン

 今回は伝説の名ユニットと男たちのロマンを題材にします。
 オーディオ(ステレオ)が華々しい頃、国産品でも大変素晴らしいスピーカーユニットが販売されていました。ナショナルの8P-W1ゲンコツ。三菱のP-610 パイオニアのPAXシリーズ等クラフトマニアなら一度は使った経験をお持ちの方も沢山いるのではないだろうか、
 デジタルオーディオになってからオーディオを始められた方や既製品のスピーカーシステムしか使ったことのない方は興味が薄いかも知れませんがクラフトが趣味の方ならこのようなユニットは見覚えがあるはずです。今回は日本の伝説の名ユニットの紹介になりますから海外のスピーカーしか興味がない方も楽しく読んで頂けるコラムにしました。
 後半はオーディオを離れて誰もが経験したことのあるキットでの初心者に帰ってもの作りの楽しさを一読して下さい。(多分こちらのが面白いかも)
伝説の名ユニット、コーラル BETA-10
伝説の名ユニット、コーラル BETA-10

 このスピーカーは昭和40年代に発売されたユニットでコーラルと言えば必ずBETA-8 BETA-10を思い浮かべます。それ以外にもコアキシャルタイプやフルレンジのフラットシリーズが発売されていましたがこのBETAシリーズは特別に高価だった記憶があります。GOODMANSのAXIOM-80、ローサのPM-6辺りに対抗すべき国産初の超が付く高級ユニットになります。まずは写真を見て下さい。

肌色のコーン紙は大変綺麗な状態でほとんど無傷です。今時珍しい
BETA-10の超が付く極上品でボイスコイルの断線もコスレもまったくない、

フレーム仕上げは赤色に塗装を施したダイキャストと思われるがマグネットカバーは高級感溢れるクロームメッキ仕上げ

 このユニットを見ますとスピーカーの工芸品に相応しい佇まいを持っていていかにも良い音で音楽を楽しませてくれそうなスピーカーユニットでこれこそヴィンテージの称号を与えてもおかしくはない一つではないだろうか、BETA-8,10は40年以上の前のユニットですからコーン紙はボロボロの状態かエッジが破れて廃棄処分にされた運命にあるか状態が良ければ今でも大切に使っているマニアもいると思う、この伝説のユニットで音楽を楽しんでいる方は絶対手放すことはないから巷ではほとんど見かけない、
 コーラルのBETAシリーズこそ歴代の国産ユニットの中では名器中の名器でマニアの間では伝説のユニットと言われているがこのユニットをじっくり眺めるとフレームの仕上げの良さとマグネット部分をクロームメッキで施し磁束密度は15500ガウスを搭載した強力なマグネット、高域の指向性を考慮した星型の特徴あるディフューザーを採用、これこそはスピーカーの工芸品と思えてくるのは私だけではないと思うのだが果たしてどんな音を奏でてくれるのか、このコラムを読まれるマニアの方は懐かしさと面白さで興味深々ではなかろうか、

星型のディフューザーが印象的なスピーカー

いま愛用しているヴァイタボックスと比較すると音を聴くより飾っておいた方のが楽しそうだ、

信じられない体験
信じられない体験

 このユニットを入手出来たのは自分でも信じられないと思っている。
 1月の後半に知り合いの方からアパートの部屋の廃材すべてを処分するから手伝ってほしいと依頼があり休みの日にお手伝いをさせて頂いた時に押入れの奥から一つのスピーカーユニットが出てきた、そのユニットがコーラルのBETA-10である、コーン紙は汚れも日焼けも無く大事なエッジ部分も痛みはほとんどない美品である。
 どうしてこんなのが有るのか理解できなかったが戦利品として勿論私が貰うことにしたが前に住んでいる方は何方か存じ上げませんが相当なステレオマニアであったと想像します。オーディオマニアでも過去のスピーカーユニットを知らない人は多分ゴミ扱いにしてごみ袋に入れて捨てたと思う、
 本当に信じられない体験で粗大ゴミの中からダイヤモンドを見つけたような嘘のような本当の話である。
名器の音とはどんな音?
名器の音とはどんな音?

 当時からこのユニットはクラフトマニアの間では評判が高く1本の価格がサラリーマンの初任給と同じぐらいであるから実際に購入して使われた方はごく少数だと思う、巷の話を総合するとアルテックやJBL、タンノイなどのユニット以上に良い音で鳴るとしか答えが返って来ないが私もこのスピーカーは一度も聴いた経験はない、
 今愛用している英国のワーフェデール、グッドマン、ヴァイタボックス等のヴィンテージスピーカーを使用しているから大変面白い比較になるのではないだろうか、また当時のステレオマニアは予算がないのでSPボックスは適当な箱に入れ音の悪い真空管アンプか半導体アンプで聴いていたのでは・・・・・
 ステレオ好きなマニアでも高級なスピーカーを買ってしまったらもう他の物は簡単に買えない金銭的に余裕などなかった時代です。
 また当時は真空管でもWE-300Bなどは聞いたこともなければ見たこともない、このような球で鳴らしている方は皆無に等しかったと思われる。そう思うとこのユニットの評価はまったく当てにならない、あまり期待するとがっかりする場合が往々にしてあるのがオーディオの世界ですから期待半分にしましょう、
 今回もスピーカーユニットの実装はいつもコラム等でご紹介しているフィンランドバーチで製作して頂いたタンノイGRF似のボックスにリングアダプターを自作してこのユニットを取り付けて聴くことにします。本来はこのユニットはバックロードタイプがメーカー指定になっていますがバスレフ仕様でも内部の吸音材やバスレフポートの調整を上手くすれば十分と考えているのと同じ名器でもあるサンパレーのSV-91Bを使えば力でねじ伏せて鳴るのではないか、伝説の名器コーラルのBETA-10にマランツ#7、SV-91Bを使った組み合わせで試聴します。試聴結果は次回のコラムで乞うご期待!
男たちのロマン
男たちのロマン

 もの作りでの趣味の世界では真空管アンプを始めプラモデル等のキットで組み立てる商品を扱った物は沢山あります。テレビで放映されていた蒸気機関車D51、トヨタ2000GT、スカイライン2000GTRなどを作るコマーシャルが流れていましたがあのCMを見ますと男なら一度は作りたい気持ちになるのではないか、
 遠い昔プラモデルに興味を抱いて飛行機、戦車、軍艦等を作った経験をお持ちの方は沢山いるはずで(その一人が私でもある)上手く出来ずに最終的に粗大ゴミになってしまった方、上手く出来ても埃まみれになり邪魔になって処分をされた方、このように書くと「俺の事を言っているのか」と思い当たる方が沢山いるはずだ、
 真空管の自作アンプとプラモデルとは同じ土俵での「もの作り」は多少方向性が異なる。プラモデルは製作の過程を楽しむのと飾って眺めるだけで終わりの趣味であるが真空管アンプの製作は作りながらどんな音が出るのか想像する楽しみが残っている。また上手く鳴れば苦労をして作ったアンプには愛着が出てきて手放さないはずだ、そこが自作アンプとプラモデルの違いかも?でも一度は作って見たい「男たちのロマン」がプラモデルだ、
 最近のプラモデルは大変精巧かつ精密でリアル感があります。勿論それなりに価格が高くなっているが、模型雑誌などでの製作記や作られた写真を見ますと本当にこれがプラモデルなのか本物に近い感じには驚かされてしまいます。
 「Y下のオーディオ人生」からは外れますがオーディオはちょっと一休みしてリラックスして「男たちのロマンをお読みください。
大日本帝国海軍の戦艦の写真
大日本帝国海軍の戦艦の写真

 何となく大げさな表題になってしまったが私が中学生の頃、同級生の友人の父親が元海軍の水兵で駆逐艦に乗艦していたと言っていた、当時のアルバムを見せて貰った時一枚の写真が目に飛び込んできた、その一枚が大日本帝国海軍の雄姿ある戦艦の写真だった、
 雑誌等では当時の艦船写真は良く掲載されていたが本物のプリントされた写真は初めてで感激したのを覚えるのと水兵さんの軍服の写真もカッコよかった、後ほどこの写真の戦艦を調べたところ「戦艦日向」とわかった、
 この戦艦の写真を無理を言って頂いたが残念ながら紛失してしまったのが心残りである。あれから50年近くの歳月が流れ記憶が薄れていたが今を持っても大日本帝国海軍の戦艦は迫力があり興味がある。
スクリーンにも登場した日本の戦艦
スクリーンにも登場した日本の戦艦

 1970年代に皆さんもご記憶にある映画「トラ・トラ・トラ」をご存じだと思う、確か帝国海軍の戦艦長門が映し出されていた、山本五十六に扮する山村聡が聯合艦隊司令長官として戦艦長門に乗艦するシーンがあったがあれはカッコ良かった、また「男たちの大和」これも見ごたえのある戦争映画の一つでしたね、
帝国海軍 1/350の戦艦金剛を作る。
帝国海軍 1/350の戦艦金剛を作る。

 ハードオフ巡りをしていたらプラモコーナーにフジミ模型の戦艦金剛が目に飛び込んできたが価格が10,395円だが高いのか安いのか、まぁ上手く作れば楽しく安い買い物だが失敗すれば高い物に付くから悩むところだ、
 購入したのは良いが家族からは上手く作れるはずはないからそのまま開封せずにオークションに出品して転売するのが利口だと馬鹿にされたがそんな事言われると不安が先に来る。
フジミ模型の戦艦金剛、サイズは1/350になります。

プレーヤー台に乗せて完成した戦艦金剛

プラモデルは難しい
プラモデルは難しい

 付属のプラだけのキットパーツだけで組み上げるのはそう難しくはないがオプションの真鍮製エッチングパーツや甲板セットを使うとパーツが細かいので神経衰弱になりそう、特にエッチングパーツは細か過ぎて目が見えないし部品をすぐに紛失してしまう、ラッタル、手すり、窓枠の取り付け及び機銃の接着は拡大鏡を使わないと見えない辛さがあったがどうにかまとめることが出来たのだがもうプラモデルは作りたくない、はっきり言って俺には無理だったのと最初から完璧を求めて作るのが間違っていた、これはキットの真空管アンプにも言えるから最初は簡単な物から作らないといけないと言う鉄則がある。良く聞くことわざで「失敗は成功の元」と言うが失敗したら「使った費用」は誰が面倒を見てくれるのかなぁ、
 老後はボケ防止にプラモデルでも作って余生を楽しむは理解できるが年を取ると目が見えなくなりイライラが先に来るからはっきり言ってやめた方が利口だ!






写真をモノトーンにしますと大変リアルに見えます。








金剛型戦艦の活躍
金剛型戦艦の活躍

 日本の戦艦で一番活躍したのは金剛と榛名の2隻でガタルカナル島のヘンダーソン飛行場に初めて36㎝砲の艦砲射撃を行ったのは有名であり金剛はフィリピンのサマール島沖で米艦隊の空母ガンビア・ベイ、駆逐艦ロバーツを砲撃で撃沈した功績がある。また日本の戦艦で潜水艦に沈められたのは金剛だけで有名な戦艦大和、武蔵は大した功績を残すことも無く大和は東シナ海で武蔵はフィリピンのシブヤン海で米軍に沈められた、金剛型戦艦の功績により今でも海上自衛隊でもこのネーミングが引き継がれている。「こんごう」と「きりしま」はイージス護衛艦、「ひえい」、「はるな」はヘリコプター搭載護衛艦の名称で活躍している。
次回予告
次回予告

 次回はコーラルのBETA-10の試聴記をお届けします。憎き米英スピーカー対日本スピーカーの対決は期待して下さい。そう言えば戦争ドラマで鬼畜米英と言っていたセリフを聞いたことがありましたね、
ページトップへ