by Y下 
第36回 最後の真空管自作アンプ

 ご無沙汰しておりました、今回のコラムは「これからはPCオーディオだ!」
 を題材に取り上げる予定でしたが今回新たに新作のアンプが完成しましたのでこちらを先に取り上げたいと思います。

良い音で鳴ればアナログもデジタルも同じ
良い音で鳴ればアナログもデジタルも同じ

 最近のオーディオ界の傾向はPCオーディオ花盛りでメーカーの試聴会に行きますとCDをパソコンにリッピングしたりハイレゾ音源を使用して最新のサウンドを聴かせてくれますがどのブースを覗いても似たようなサウンドで面白味に欠ける。多分これが流行の音なのかも知れません。
 またPCオーディオをマニア宅で聴かせて頂くことがありますがCDPを使ったCDサウンドのがPCオーディオよりメリハリがあり良く聴こえてくる。また私はパソコンには詳しくありませんがセッティングの悪いPCオーディオとアナログを比較しますとアナログの良さが歴然と出ます。
 アナログマニアはCDは音が悪いと決め付けてしまう方が沢山います。CDは44,1kHZ/16bitではカクカクした波形での再生音はデジタル臭いのと無機質な音に加えて平面的なサウンドになってアナログレコードとは比較になりませんがPCオーディオも上手くセッティングして裏ワザを使えばアナログサウンドと同等もしくはそれ以上の音で音楽を楽しませてくれます。
 アナログレコードしか興味のない方達が行う試聴会に足を運んきましたがアナログオンリーの試聴では自分の趣味で楽しむのは良いが皆さんに楽しんで貰う試聴会ですから参加される方は最新のPCオーディオやハイレゾがどんな音なのか興味があるはずだが残念ながら主催者側はPCオーディオの良さがわからないからいくら説明しても理解できないのは残念に思う、アナログレコードも最近の演奏家や最新録音のレコードが出てくれば興味も湧くが過去の演奏家ばかりではアナログ一辺倒にはなれないがアナログプレーヤーの場合は自分でモーターを取り付け気に入ったトンアームを使いプレーヤーケースを自作して楽しむことが出来る。また好きなカートリッジを交換して色んな音色を切り換えることが魅力と云えば魅力だ、
 アナログオンリーのマニアはアナログに対しては熟知しているがPCオーディオの場合はパソコンを使ってオーディオをやってみたいのだがパソコン画面はすべて英語文字ばかりだからセッティングが難しく簡単には理解が出来ない、またパソコンに詳しい方に教えて貰ってPCオーディオを始めるにはプライドが許せないのとトラブルになった時の対処方がわからないのも一つの要因かも・・・・・
 考えてみればPCオーディオはヘッドホン端子の付いているDACを購入してヘッドホンで十分音楽を楽しませてくれる。これが普通ですからアナログ一辺倒のマニアからすればデジタルで聴くCDサウンドやハイレゾには興味すら湧かないと思う、同好会が行う試聴会でも主催者側はPCオーディオにはまったく関心を示さずこれが名盤とかオリジナル盤と云うだけでアナログレコードをドンチャカドンチャカ鳴らしているがどこが楽しいのだろう、
 PCオーディオに真空管アンプを使えばもっと楽しいはずで上手くセッティングすればアナログ同等かマスターテープに近いサウンドが出るはずだが残念ながらPCのセッティングが上手く出来ないため平凡なサウンドになってしまう、上手く鳴らせればアナログもデジタルも同じと思う、

最後の自作アンプ
最後の自作アンプ

 もうアンプ作りはやめようと以前から思っていました、自作の場合はシャーシー設計から始まり回路設計を行い組立てますから大変苦労を要します。特にシャーシー加工は工具が無いと仕上げは惨めな物になります。
また最近はヴィンテージ管の価格がとんでもない価格になり簡単には自作できないレベルになってしまいましたのとまともなアンプを作ろうと思うと費用面では限界が生じるから自分が考えた良いものが出来なくなった、
今回はこれで最後にしようと思っても良いパーツも少なくなり金銭的にも限界があります。良い素材を使ったアンプなら将来金銭的に困った時には売れるはずだが、
真空管アンプに関心のある方は年齢的に高齢になっていますから価値は下がるのかそれとも希少価値を考えたらとんでもない価格で取引されるのか、先のことはわかりませんが世界的に真空管アンプは沢山販売されていますからきっと価値は今以上に上がるのではないだろうか、そう思うと自分で納得したアンプを作ろう、今回が最後の自作アンプに相応しい有終の美を飾るアンプを作りたい、

真空管アンプ作りは芸術である。
真空管アンプ作りは芸術である。

 SUNVALLEY AUDIOさんのコラムの中でPP5/400の製作記事を書きましたが「自作アンプは芸術である」これが私のアンプ作りのコンセプトでもあります。良い悪いは別にして自分の作ったアンプこそ主張が出来る。
 今回の自作アンプは最後ですから自分の持てる力を発揮して納得のいくアンプを作ろう、他人が何と云おうとも心の中では「自作アンプは芸術である」を前面に押し出して作ろう、

汚ねぇアンプだ
汚ねぇアンプだ

 1台の自作アンプを作るには真空管の特性を調べて簡単なバラックで組み立てて実験を行いながら音決めをやります。特に今回製作するアンプの球は私も含めて皆さんもあまり聞いたことのない球ですからなおさら慎重に作るしかないが実験アンプですから見た目も中身も自慢ではないが「汚ねぇアンプ」になってしまいましたがキットを含め自作マニアの皆さんが製作されるアンプのが 遥かに綺麗でこのアンプは参考にしないでいただきたい、(こんな汚いアンプは芸術ではなくゴミだ)まずは写真をご覧ください。

アルミの弁当箱のようなシャーシーを使い適当に配置して組立
アンプ内部の通称ハラワタと云われるがあまりにも汚いのを通り越してゴミアンプになった、
外観はモノラルタイプで取りあえず組立、まぁ実験機だからこれで良しとしょう、果たしてどんな音が出るのだろう?トランスや球は何を使っているのかは次回までのお楽しみ、

シャーシーはアルミの弁当箱タイプで余分な穴が沢山空いています。また内部の配線や部品取り付けは素人丸出しのアンプになりました、自作マニアがよく云う「ハラワタ」は見せたくない酷いものです。
※ハラワタとはアンプ内部のワイヤリング、部品配置、部品の取付けを言います。

汚ねぇアンプの音出し
汚ねぇアンプの音出し

 こんな汚いアンプでも設計回路を間違えなければ立派に鳴るはずです。
 早速音出ししてみました、引き回し配線や部品配置の汚なさから若干ではあるがスピーカーからはハム音が聞えますがいい加減な私ですから即妥協して鳴らしてみました、対象になるアンプはコラムでもご紹介しましたGECのKT66を使ったメトロアンプとの比較です。

 音源のCDは マィスキーのバッハ無伴奏チェロ

キースジャレット ケルンコンサート
キースジャレット ケルンコンサート

 スピーカーは往年の名器GOODMANS AXIOM80オリジナル

 早速メトロアンプからの試聴開始である。このアンプは中域のふくよかさと空気感を伴った音で自慢ではないが私の家に試聴された方全員が二重丸を頂いたウィリアムソン回路の自作アンプです。この音を聴きながら自分自身納得してバラックアンプに変えて試聴開始、出てきた音はビーム管とは違う直熱三極管の良さを出した素晴らしいサウンドで自分自身この音の良さに少なからずカルチャーショックを受けたのは事実だ、
 ではどんな球を使ったのか、まだ秘密ですが直熱三極管で違う球と切り換えて聴けるように製作途中で新たに改造した二刀流のアンプでこの自作アンプを
 二刀流の剣豪宮本武蔵からとった「武蔵アンプ」と呼んでくれ!

ウェスタンサウンドは人の声が良い
ウェスタンサウンドは人の声が良い

 今まで沢山のウェスタンサウンドを聴いてきましたがどのサウンドも一つの共通点がありました、ウェスタンの音は一言で云うなら音にコクと味が少なくしかも奥に展開するサウンドにはならない、聴いていると味のない食パンを食べているようなサウンドだ、また劇場用のサウンドは観客席に攻めてくるサウンドが特徴ですが以前有名な方がウェスタンの594を持ち込んで試聴会を開いたことがありましたがウェスタン特有の音の浸透力に乏しくこのサウンドには魅力を感じなかったのが残念であったが人の声だけは良かった、
 ウェスタンのシステムを採用した劇場を調べますとピンク映画館が多いのがわかった、なぜならピンク映画館の女性の声は生々しく聞こえないとしらけますね、皆さんはピンク映画館に何回か通われた常連だと思いますが私は一度も行ったことがありませんからわかりませんが特に人気のあった日活ロマンポルノあれは良かった!
 ウェスタンで聴かされる大事な場面での彼女達の声に色気があった、今思うとウェスタンサウンドは人の声は素晴らしい!
バカなことを書いてしまったがこの部分の文章は軽~く素通りしてください。

次回予定
次回予定

 次回は「最後の自作真空管アンプ武蔵」を題材にします。宜しく
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