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           LEGO SPEAKER 第31報 ≪第30報 第32報≫ | 
    
LEGOスピーカーの製作 第31報
        
         
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         1. LEGOスピーカーを作ろう  | 
    
       LEGOブロックはさまざまな形を自由に作れる玩具ですが、これを素材にしてハコを作り、スピーカーユニットを入れることで実用的なスピーカーシステムを作ることができます。さらに、LEGOブロックは組み合わせることで余計な振動が無くなり、音の良いスピーカーシステムにできます。せっかく自由な形を作れるブロックですから、シンプルなハコではなく複雑な構造を持ったスピーカーシステムを作ってみましょう。
    
         
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         2. 設計しよう  | 
    
       図1はこれから作るスピーカーシステムの正面と側面(内部)図です。
      バックロードホーン方式という構造を持ったスピーカーシステムです。この方式はスピーカーユニットの背面から出る不要な音をホーンというラッパ状の構造で導き出し、低音だけを外に出すことでコンパクトスピーカーが苦手な低音の再生を増強するものです。この方式で幅9.6cm高さ19.2cm奥行き16.6cmというデスクトップに置けるようなコンパクトで良い音の出るスピーカーシステムを作ります。
       SA/F80AMGと書かれた部品がスピーカーユニットで、これは8cm径の小型ユニットです。この後ろにLEGOブロックで作られた音の道があり、しだいに広がって前方に開口している構造がわかると思います。後ろに付いている赤い部品はスピーカーケーブルをつなぐターミナルです。
          バックロードホーン方式ではホーンの長さと太さが設計上重要ですが、このコンパクトなサイズの中に図2に示すように長さ約55cm、太さの広がり5倍のホーンを組み込んでいます。こんなに複雑な構造はLEGOブロックを利用しなければ簡単には作れないでしょう。
    
         
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         3. 準備しよう  | 
    
      3-1 必要なLEGOブロック
       LEGOブロックにはとても多くの種類がありますが、比較的入手のしやすいブロックを使って作ります。LEGOブロックは高さ9.6mmの基本的なものと、この3分の1の高さの3.2mmプレートブロックがあります。大きさは最小単位の1ポッチが8mm×8mmなので、この倍数になります。また、ブロックのポッチをカバーして見栄えを良くするタイルというブロックもあります。さらに、ネジ穴に利用できる穴の開いた穴あきブロックもあります。ここでは呼び方として基本ブロックにはBを付けてB4-2と表記したら大きさ4×2ポッチ、つまり32mm×16mmとします。プレートブロックはP4-2 、タイルブロックはT2-2としましょう。特殊な穴あきブロックにはHを付けてP6-2Hとしました。
       表は使用するLEGOブロックのリストです。
      タイルブロックは青で、基本ブロックは水色で、プレートブロックは薄い青で表現し、それぞれのブロックのサイズと使用数を記載しました。これは1台分なので、左右の2個のスピーカーシステムを作るには総数1,486個のLEGOブロックが必要です。
       表でEmblem、BadgeとあるタイルブロックはテープライターでLEGOスピーカーのロゴと「Super Small BH」という文字を入れてカッコ良く仕上げます。
       使用するブロックの色は自由でカラフルなモデルも楽しめますが、入手がしやすく、使いやすい黒色のブロックで製作しました。黒色のLEGOブロックは艶出しクリーナーで磨くとピアノ塗装のような高級感があります。
    
      3-2 その他の部品
       LEGOブロック以外の部品としては、まず8cmフルレンジスピーカーユニットのDIY AUDIO製「SA/F80AMG」を2個用意します。このスピーカーユニットは8cm径としてはマグネットも大きく、低音の出る優秀なユニットです。他にターミナル、これはM4(4mm)ネジで取り付けられるネジの長めの部品を用意します。また、内部接続のケーブルは余裕を見て長さ50cmとして、一端にスピーカーユニットに接続する端子をもう一端にM4の端子を圧着(またはハンダ付け)しておきます。また、端子がショートしないように絶縁処理もきちんとしておきます。スピーカーユニットの端子に直接ハンダ付けすることは組み立て時に困難なので端子を使いましょう。ちなみにスピーカーユニットの端子は大きさが異なりますが、大きな方が+で赤色を用います。
       スピーカーユニットを固定する8本のネジはM4 6角穴付ボルト、長さは30mmにしました。M4ナットは緩み防止のために2個ずつ使うので16個用意します。さらに大き目のM4ワッシャも8個使用します。
       スピーカーシステムの足になる丸い10mm×1mm程度のウレタンシールも用意しましょう。また、スピーカーユニットと前面パネルとの隙間を埋めるスペーサーにもこのウレタンシールを使います。
       製作に必要な工具はM4ナットを締める小型のレンチ、ハンダごて、タイルブロックの角を削るためのニッパーです。
       製作にかかる費用はLEGOブロックの購入費が平均1個25円で3万7千円程度、スピーカーユニットが2本で約8千円、その他の部品が約2千円で総額約4万7千円でした。
    
         
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         4 部品を製作しよう  | 
    
       スピーカーのハコは6つの部分に分けて製作します。スピーカーユニットを固定するスピーカーフレーム、ハコの前面になるフロントフレーム、中央部はミドルフレームA、B、Cの3つに分かれ、背面のリアフレームの6個です。
      このように分ける理由は組み立てやすさのためで、内部にケーブルを通すためにも必要なのです。
      4-1 スピーカーフレームの製作
       図3にスピーカーフレームの組み立て図を示します。この部品はブロック8段で作られており、図は側面図と各段のブロックの配置図、使用ブロックリストから成ります。
      ブロックの表記色は先に述べたように青色がタイルブロック、薄い青色がプレートブロックです。赤字の注記が追加作業で、8箇所のタイルブロックの角がスピーカーユニットに当たるので2mm程度ニッパーで削ります。また、スピーカーユニットとの隙間がわずかに開くので図の位置にウレタンシールのスペーサーを貼りますが、この作業は行なわなくても大きな問題はありません。
       LEGOブロックは互いに十分に接合するように注意して組み立てます。
      完成したスピーカーフレームを図に示します。使用するスピーカーユニットのマグネットが大きいので内部を広くしてあります。
    
      4-2 フロントフレームの製作
       図4のフロントフレームはブロック7段でできています。9.6mmの標準ブロックを使用するので大きな部品になります。図で一部のタイルブロックが空いていますが、ここにはエンブレムとバッチを付けます。この部品はホーンの開口部になりますが、正面から見える部分にはタイルブロックを付けて見栄えを良くします。標準ブロックは交互に上手に組み合わせないと強度の無い構造になってしまうので注意します。
       完成写真にあるようにエンブレムには薄紫のタイルブロックを使用してみました。
    
      4-3 ミドルフレームの製作
       ミドルフレームA(図5)はブロック5段で作られた薄い部品です。先にプレートブロックの部分を作っておき、最後に標準ブロックを後ろに取り付けると作りやすいでしょう。
       ミドルフレームB(図6)も8段ですが同様な構造です。板状の部分はP4-4のプレートブロックをずらして重ねるようにして2段でも強度が得られるようにします。
       7段のミドルフレームC(図7)も同じように製作します。
    
      4-4 リアフレームの製作
       図8のリアフレームは8段ですが、前面に注記のB4-1ブロックを2個追加します。
      この部品にはターミナルを取り付ける穴が2箇所必要なので、穴あきプレートブロックを使います。ターミナルは力のかかる部分なので十字に組んで強化しますが、ケーブルの付け外しには注意しましょう。
       パネル状の部分はプレートブロックを3段使用すると高い強度が得られるのですが、ブロック数が増えることと、厚さが増すので階段状にして2段で済むように工夫しています。
    
         
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         5. 組み立てよう  | 
    
       製作した部品を組み立てます。まずはスピーカーフレームにスピーカーユニットを取り付けます。このスピーカーユニットの固定はLEGOスピーカー製作で最も難しい部分で、本来はスピーカーユニットのネジ穴に合わせて穴あきブロックを調整したいところですが、とても困難なので今回は四角いマドの四隅に引っ掛けてワッシャで固定することにします。
       写真のように4本の6角穴付ボルトで固定しますが、LEGO ブロックは丈夫なABS樹脂でできていますがナットを強く締めすぎると簡単に割れてしまいます。力加減に注意しましょう。また、緩い固定ではすぐに外れてしまうのでナットを2個用いてダブルナットで固定します。こうすると緩むことがなくなるのです。
    
       次にリアパネルにターミナルとケーブルを取り付けます。同様に締めすぎに注意します。使用するレンチは写真のようなドライバータイプの物が便利です。ケーブルが上向きに固定されるようにします。
    
       リアフレームにミドルフレームCを取り付けます。周りを接合するだけなので簡単ですが、隙間の無いように十分に押し付けましょう。上下の向きに注意してください。
    
       ミドルフレームBを取り付けます。ケーブルがたるまないようにスリットから引き出します。
    
       さらにミドルフレームAを取り付け、上のスリットからケーブルを引き出します。
      ホーン部分の固定がしやすいように、一部のブロックをミドルフレームAから外して先に付けてしまうと作業がしやすいでしょう。隙間のできないように十分に押し付けます、
    
       フロントフレームを取り付けます。スピーカーボックスの形になってきました。
    
       スピーカーユニットにケーブルを配線してスピーカーフレームを取り付けます。スピーカーユニットの端子は右下の位置に来るように固定しますが、隙間が無くぎりぎりなので端子をユニット側に曲げておきます。このとき端子とマグネットがショートしないように絶縁に十分に注意してください。
    
       最後に足になるウレタンシールを底面に貼り付けて完成です。
    
       完成したLEGOスピーカーは複雑な構造のバックロードホーン方式とは思えないコンパクトで使いやすいモデルに仕上がりました。 
    
         
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         6.聴いてみよう  | 
    
       自作のオリジナルスピーカーで聴く音楽は楽しいものです。このスピーカーはとても小さいですが音は本格的です。ぜひ良質なアンプにつないで聴いて見てください。バックロードホーン方式の効果でコンパクトなサイズからは想像できない豊かな低音を聴くことができます。スピーカーユニットが良質なので高音も歪み感が少なく、コンパクトスピーカーのメリットである音の広がりを感じることができました。
    
       今回製作したLEGOスピーカー41号機はバックロードホーンの構造を持つ限界の小型サイズに挑戦したものです。実用的な音質でなおかつ製作がしやすく、コンパクトに設置できるスピーカーシステムを目指しました。
      第29報で報告したミニスピーカー39号機と比較してみても、これだけコンパクトになっています。
    
         
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         7. おわりに  | 
    
       LEGOスピーカーの楽しさは作って終わりではありません。いくらでも改造ができます。LEGOブロックを追加してホーンの長さを増加することや、バスレフ方式や密閉型など他のスピーカーシステムに改造することも簡単です。そしてなによりも実用品として良い音を楽しめることがこのLEGOスピーカーの魅力なのです。
       ぜひ、あなたもLEGOスピーカーの製作にトライしてみてください。
      
        (2014.5.18)
      
        

            


      
      





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