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LEGO SPEAKER 第7報 ≪第6報 第8報≫ |
LEGOスピーカーの製作 第7報

LEGOスピーカー
14号機「ライト」
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1. ニューモデルは「Light:ライト」コンセプト |
前回報告した12号機はクオリティ的には大成功であった。やれるだけやった感がある。しかし、コストもかかり、コストパフォーマンス的には?である。10万円以上かけたら、もっと魅力的な製品が買えるのではないか?もちろん世界にただひとつのオリジナルを造る魅力はあるのだが・・・。
そこで、今回はもっと軽いイメージで作成することにした。
コンセプトは「ライト」である。
これまでも小型の機種は製作してきた。8号機は8cmユニットを用いたバスレフのコンパクトモデル。11号機はほぼ同じデザインでスパイラルホーンを実現したものであった。 しかしながら、これらの機種は低音再生においては十分とは言えなかった。小型化からくる制限があったことは事実である。
今回は違う。ニューテクノロジー「スパイラルド・バスレフ」がある。
音の良い最小のデザインに挑戦しよう。
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2.「スパイラルド・バスレフ」実験機 |
前報でも10cmユニットを配した実験機、13号機を紹介した。キューブスタイルでコンパクトなモデルだが、やはり8cmユニットで造ってみたい。8cmユニットといえば、以前記したように(第2報)96mmキューブの標準ヘッドユニットがある。まずはこれを用いて実験を行おう。
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2-1 実験機の製作 |
11号機からDIY AUDIOを付けたヘッドユニットを持ってきた。マグネシウムコーンの強力ユニットである。実験機はこのヘッドユニットの下部に1.5倍の容積のボックスと3ポートのバスレフポートを配した設計である。写真2に構成パーツを示す。
スパイラルド・バスレフでは最適なポート設計はどうなるのであろうか?スパイラルピースの挿入により、バスレフポートの実効体積は減少する。とすると、スパイラルド・バスレフでは通常のバスレフモデルよりも大きなポートが必要なのではないか?ということで、3ポート作って、それぞれにスパイラルピースかクローズピースを挿入して音質変化を確認すると言う計画である。
写真3は下部ボックス組み立ての様子である。活性炭吸音材は写真では詰め込んでいるが、1つに減らした。このようにスパイラルピースとクローズピースを入れ替える(写真4)。なんとも不恰好なデザインだなあ。まあ実験機だからよしとしよう。
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2-2 評価結果 |
今回のリポートでは、この実験機の評価結果を詳細にリポートしようと考えていた。だが、結果は予測に反したものであった。ポート3本はもちろん、2本でも多すぎたのである。通常のバスレスとすると1本でほぼベストチューニングである。この状態でスパイラルピースを挿入したものの特性が良かった。ポートを増やすとバスレフの最適チューニングから低いほうに外れ、スパイラル化してもこの傾向が残った。
実を言うと、13号機も2本あるポートの1本を試聴の結果塞いである。
7号機の改造も通常のバスレフ状態でバランスが良かった。これらの結果からすると、どうも普通にバスレフをチューニングしておいて、スパイラルピースを挿入すればよさそうである。また、この実験機は不恰好なだけでなく、問題もあった。
(1) 接続ケーブルと干渉してピースの抜差しが容易でない。(誤算であった)
(2) ポートの長さ調整ができない。
(3) 容積が大きすぎてスパイラルド・バスレフのスピード感が出ない。
しかたない。第2実験機を作ろう。
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2-3 第2実験機 |
ポートは1本で十分と解ったので下部ボックスの容積をヘッドユニットと同じにして、ポートを外部に設けた。これは長さ調整を容易にするためである。
写真5に構成パーツを示す。スパイラルピースは前報の7号機の実験から均等ピッチにしてある。ヘッドユニットにはPARC Audioのウッドコーンを用意した。
このようにコンパクトなモデルが完成した(写真6)。
スパイラルピースの有無では確実な変化がある。ポートの長さも変えてみたが(もちろんスパイラルピースも同時に長さ変更)、どうもスパイラルド・バスレフではあまりポート長にシビアでは無いようである。
この実験結果からヘッドユニットによらずポート長は8cmで良さそうであると判断した。 スパイラルピースは3ターンである。
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2-4 試聴とバリエーションモデル |
正月休みにSUNVALLEY AUDIOさんのSV-16Kを作ってみた。出力1.2Wの最小真空管アンプキットである。ライトなLEGOスピーカーにはベストな組み合わせと思っていたが、正直音を聴くまではあまり期待はしていなかった。ところが・・・このアンプはすごい。とても1.2Wとは思えない(使い古された表現ですみません)。大飯食らいの小型スピーカーを実に朗々とドライブしてしまう。これは気に入った(製造完了はとても残念)。
製作過程も手配線ということで工夫ができてとても面白かった。
ということで、バリエーションモデルも造って、自室のサブシステムで試聴、というよりは楽しんでいる(写真7、8 写真では撮影の都合でアンプに近接しているが、アンプの熱によるトラブルが考えられるので、もっと離して配置してほしい)。
マグネシウムコーンのタイプAではバスレフ効果による迫力の低音が聴ける。もちろんスパイラル化でハイスピードである。ペーパーコーンのタイプBでは軽快な音調である。BGMにはこのほうが好み。今も心地よく鳴っている。
よし、このモデルを14号機として発表しよう・・・。と思ったが、ちょっと縦長のデザインが気になる。標準ヘッドユニットを用いているのでデザインの自由度が制限されているのである。L型に曲がったポートも気になる。効率が低下しているだろう。うーん、作り直すか。
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3.14号機の設計と製作 |
標準ヘッドユニットを用いないならば、13号機のようなホリゾンタルタイプの方がポート設計の都合が良い。スピーカーユニットはどうするか?
ミクセルさんが面白そうなユニットを多数扱っている。今回は竹繊維混入コーンのTang Bandの8cmフルレンジ W3-1364SA を選んでみた。この円形のフランジはLEGO装着に都合が良い。小型のネオジウムマグネットも内容積確保に好都合。なにより竹繊維が期待できる。ウッドコーンのような方向性が生じ、癖が無いだろう。振動板質量増加と言った問題もなさそうである。
少し背を低くして、その分奥行きで容積を稼ぐ。ポートは背面としてストレートタイプ。ポート長8cmでスパイラルピースは均等ピッチ3ターンと実績構成。吸音材はいつもの一袋である。
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3-1 構成パーツ |
構成パーツ一式を写真9に示す。実にシンプルで製作も簡単である。コスト計算はしていないが、使用パーツは8号機よりも少ないだろう。
スピーカーユニットの固定の様子(写真10)。円形フランジは使い易い。アルミのフェイズプラグがカッコ良い。
スパイラルピースはいつもの構成。青いのはイメージカラーである(写真11)。
フレーム(写真12)。これでメインキャビネットとスピーカーユニット部を接合する。スピーカーユニットと干渉しない構造。
メインキャビネット(写真13)。下部にバスレフポートが仕込んである。16X32X80mmのポートである。
フロントベゼル(写真14)。ただのフタ。
バックパネル(写真15)。ポート末端とターミナルが装着されている。弱くなる部分であるが、今回はコンパクトなので、プレートブロック3枚構造でよしとする。
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3-2 製作過程 |
まず、フレームにスピーカーユニット部を接合(写真16)。これにフロントベゼルを付ける(写真17)。バックパネルを組み付けたメインキャビネット(写真18)。小型なので、特別補強しなくても十分な強度がある。
スパイラルピースの挿入(写真19)。ピースは前後で固定される。抜差しを容易にするためにフローティングにしたことがあるが、中で踊って音質低下を招いた。固定が必要である。
吸音材はこのように入れる(写真20)。入れすぎは逆効果。このくらいで十分である。
フレームとキャビネットの結合(写真21)。吸音材がポート口を塞がないように両面テープで固定した。
インシュレーターのフェルトシールを底面に貼る(写真22)。
完成!(写真23)。キュートな外観である。
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3-3 リスニング |
歴代LEGOスピーカー最小の14号機「ライト」(写真24)。
外形寸法H160mm、W96mm、D130mm。こんなにコンパクトなのにバスレフの効果で十分な低音感がある。それでいてスパイラル化で低音にキレがある。この竹繊維スピーカーユニットもすばらしい。期待どおり癖が無く、軽くて明るく、大音量での破綻も少ない。
コンパクトな外観だからステレオイメージも申し分ない。
これはLEGOスピーカー研究の1年半の成果だと思う。
そう。こういうスピーカーが作りたかったんだ。

「ライト」外観
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4.追加報告 |
正月休みにSV-17Kも作ってしまった(写真25)。このアンプもまた良い。「ライト」につないでエージング中であるが、GT管の4Wということで、さらに低音が出るかな?と、思ったが、そういう感じではなく、懐の深い本物の音と言う感じでこれはまた楽しめる。 アンプでスピーカーのキャラクターが大きく変化するのはとても楽しい。これだからオーディオがやめられないのである(このアンプも製造完了ということでとても残念)。