キット屋コラム
サブウーハーの追加

 皆さん、新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。今回はサブウーハーについて考えてみたいと思います。

 サブウーハーとは一般的に主スピーカーの低域を補う為に使うスピーカーを言い、スーパーウーハーと呼ばれる場合もあります。ユニットの特性によって低域レスポンスが不足する場合や、エンクロージャー形式によって低域の量感を補う必要がある場合に有効です。主スピーカーに追加するというよりは独立したエンクロージャーとスピーカーが一体となったかたちで設置することが殆どです。

一般に人間の鼓膜は20Hzまでの感知能力があると言われますが、実際には50Hz以下は音というよりも空気の揺らぎとして感じられる帯域で、私たちが耳で感じる低音感は60Hz~90Hz前後の周波数の音で判断されることが大半です。従って単に超低音のレスポンスを伸長させるだけでなく、聴感上の低音感を改善することが本来のサブウーハーの追加目的となります。

サブウーハーはバスレフ型あるいはその発展型を採ることが多く、ツィーター同様、理論的にはLCネットワークによって帯域分割が可能ですが、ツィーターの場合と異なり高い方の音をを急峻に減衰させる必要があり、-18dB~-24dB/oct.という急峻な特性を得る為、素子数が増え、音質の劣化も懸念されます。従って多くの場合、サブウーハーは専用のチャンネル・デバイダー(帯域分割器)とドライブアンプを内蔵した「アクティブ型」となります。またクロスオーバー周波数が100Hz以下の場合、低い周波数では聴感の指向性が鈍くなることを利用して左右信号を合成して再生するモノラル方式も多く見られます(このようなケースを"2.1ch"と呼称する場合もあります)。

 使いこなしに関して言えば、前回述べたツィーターも今回のテーマであるサブウーハーも"レベルを上げ過ぎない"ことが極めて重要です。特にサブウーハーのレベル調整はツィーター以上にシビアで、逆説的な表現になりますが"鳴っていないように鳴らす"ことが主スピーカーの個性を活かしつつ再生レンジを広げる為の最も有効な手段となります。

サブウーハーの効果として期待できるのは、

・ホールトーン的な残響感
・音の深み、自然さ
・演奏会場の空気の揺らぎ
・低音量再生時の帯域バランスの補完

などですが、単に低音が大きく出るという単純なものではないことを充分に理解し、慎重な調整が求められます。

 前回,今回と再生音の広帯域化に有効なツィーター,サブウーハーの追加について考えてみた訳ですが、その使いこなしは非常に難しいものです。使い方を誤ると主スピーカーの持ち味を損なう場合もありますが、調整次第で驚くような空気感とスケール感を得ることも可能で、オーディオという趣味の楽しさ、奥深さを満喫するのに格好の材料となると思います。
皆さんも是非挑戦してみてください。

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